■ 9月の読了本5冊。
『安曇野 道祖の神と石神様たち』西川久寿男/穂高神社
安曇野には二十三夜塔、庚申塔、馬頭観世音などが道祖神とともに祀られている。これらの石神・石仏がどういうものなのかを説いた本。 今後の道祖神巡りの資料にしたい。今年開業した長野の古書店で買い求めた。
『製本工房から』栃折久美子/冬樹社
昭和53(1978)年発行の古い本。 著者の栃折さんはブックデザイナー。 1960年から1977年までに書かれたエッセイをまとめたもの。 このくらいの年代に書かれた、少しかたい文章をもっと読みたいとこの頃思う。
松本のカフェ マトカで行われた古本市で買い求めた。本の天の変色が他の部分より進んでいることから長い間きちんと書棚に並べられていたと思われる。どんな人が所有していたのだろう・・・。
『龍宮』川上弘美/文春文庫
先日の日帰り東京に持っていった本。都内を移動する地下鉄と帰りの「あずさ」で読んだ。昔蛸だったと称する男の自慢話。海から出てきて人間と交わった「生き物」。ほんとうはここにはいないもの、別の世界から訪れたものとの交情。
『此処 彼処』川上弘美/新潮文庫
「私の場所」の想い出を綴ったエッセイ集。
『「想定外」の罠 大震災と原発』柳田邦男/文藝春秋
柳田氏はこの本の中でもヒューマンエラー、まさかと思うような人間のミスがシステム(航空機も複雑なシステムだ)全体を破局に陥れるような大事故を招くことを指摘している。
9月6日に那覇から羽田に向かっていた全日空機が浜松市沖で一時背面飛行をしていた、と報ずる新聞記事を読んで、柳田氏が指摘していたヒューマンエラーのことを思い出した。
副操縦士が操縦室のドアの解錠スイッチ操作するところを、間違えて方向舵の調整スイッチを操作したために機体が大きく傾き、一時ほぼ背面状態になったのだという。ふたつのスイッチは十数センチ離れていると記事にある。が、この配置が「ヒューマンエラー」を誘発したと言えるのかもしれない。ふたつのスイッチは十数センチしか離れていなかった、こう捉える方が認識としては正しいのではないか。
人は時にミスをする、間違える、誤った操作をする。このことを前提とした設計、そこには想定範囲をより広げる設計者の優れた想像力とそれをどこまで設計に反映させるかということに関する優れた判断力が必要、ということだろう。
9月29日付信濃毎日新聞朝刊の記事
さて、10月はどんな本と出会うことができるだろう・・・。