透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

充実の2時間!?

2007-02-28 | A 読書日記



 新潮社の雑誌「波」に新潮新書の広告が載っていた。「現代を知りたい大人のために700円で充実の2時間
 
どうやら新潮新書1冊を読了するのに要する時間を2時間と想定しているらしい。新書は平均すると200ページくらいだろうか。それを2時間で読了する。内容によっては不可能ではないと思う。

総じて中公新書や岩波新書などは中身が濃いから2時間で読了するのは無理ではないか、少なくとも私はそう思う。広告のコピーは「充実の数日間」くらいの方が相応しいような気がする。必ずしも中身の濃さと読了に要する時間は比例関係にはないかもしれないが、私にはなんとなくそんなイメージがある。

だから「700円で充実の2時間」というコピーは内容はそれ程濃くありませんというメッセージを発しているように思えてしまう。


 


サイン

2007-02-27 | A あれこれ



● 久しぶりにアルコールな夜だ。

今年もプロ野球のテレビ中継がまもなく始まる。最も長時間、しかもアップで画面に登場するのはピッチャーだ。ピッチャーがサインを送る相手はキャッチャーだけだろうか・・・。

答えは否というケースもあるだろう。ピッチャーがテレビを観ている恋人にサインを送る。胸に手を当ててから帽子を直したら、今夜マンションに行くから というサイン、順番が逆なら、ゴメン今夜は行かれない。 こんな約束をしているかもしれない・・・。

別に電話をしてもいいわけだが、何十万人と観ている中で一人にしか分からないサインを送る・・・。それをテレビの前で確認する恋人。嬉しいだろうと思う。アルコールな夜、ふとそんなことを考えた・・・。


駅前商店街は美しいか?

2007-02-25 | A あれこれ



 この本の著者中島義道さんは、商店街(別に商店街に限ったことではないが)のコンクリートの電柱や「黒々と幾重にも絡み合いもつれ合って」延びる電線、広告が醜い!と最も感じている方なのかもしれない。

そして商店街(これも商店街に限らないが)のスピーカーから流れる「音」をうるさい!と最も感じている方なのかもしれない(『うるさい日本の私』)。そんな著者が書いた「日本人の美意識」論とでも紹介したらいいだろうか。

美に敏感な日本人が商店街の電柱を、電線を、巨大な広告を受け入れてしまうのは何故なのか、醜悪で無秩序な街に寛容なのは何故なのか・・・。

日本人に限らずアジア人は混沌とした状態が好きなのだ、という指摘がある。都市の姿はその意識の反映ということだが、なるほどと思う反面、説得力に乏しいとも思う。

著者は多田道太郎の「日本の盛り場の原型は縁日だ」という指摘を紹介して、更にこう書く。**裸電球が揺れる縁日の光景は、横町の赤提灯の光景に連なり、それが自然なかたちで(この部分を著者は強調している)下北沢に、吉祥寺に、渋谷センター街に成長して行く。(中略)村祭りを懐かしむ感受性がそのまま、歌舞伎町や六本木を受け入れる感受性に繋がっている。**

慧眼! 

また、日本人は襖の向こうの声は聞かなかったことにするという暗黙の了解があるという指摘(『「しきり」の文化論』柏木博/講談社現代新書)を踏まえて商店街の電線を「見ない」という「心のもちよう」もとり上げている。

著者は電気通信大学の人間コミュニケーション学科の教授。建築や都市計画の専門家ではないので、テーマに対する独自のアプローチが興味深かった。本書は5章から成るが商店街、更に都市の景観については2章しか割いていないのが残念ではあった。

ある写真家の写真集に書いた磯崎新のあとがきに対して **「おいおい、寝言をほざくなよ」と言いたい** と手厳しい。「やかましい」ジイサンぶりはこの本にも出てくる。なかなか面白い本で、一気に読了した。

『うるさい日本の私』を刊行したとき、「うるさい」は「日本」と「私」のどっちにかかるのかと多くの人に面白半分に尋ねられたそうだが、「両方にかかるんです」と答えてきたという。今回のタイトルの「醜い」も両方にかかる、と著者は書いている。


 


民家  遠い昔の記録

2007-02-25 | A あれこれ

 ①
● カブト造りの民家 東京都檜原村 (197811)
 ②

 久しぶりに民家 遠い昔の記録です。

ここは東京! 西多摩郡檜原村数馬、山梨県と堺を接する緑豊かな山村。人口約3千人という小さな村です。私がこの村を訪れたのは1978年11月のことでした。既に合併したに違いない、そう思って調べてみるとまだ村として健在でした。東京都の数少ない村のひとつですね(って他には村は確か伊豆七島の各島のみ、だったと思います)。

多摩川の源流の山間部に位置する檜原村には、①の写真の左側手前に写っているカブト造りと呼ばれる民家がありました(過去形でいいのかな、民宿などとして現存している民家もあるかもしれませんね)。

それにしても風景によく馴染んでいますね、電柱が邪魔ですが。このような風景の多くが既に失われ記憶や記録のなかに辛うじて在るのみ、というのは寂しいかぎりです。

手元にある参考図書によるとカブト造りの民家はかつては山梨県下富士五湖周辺などにも点在していたようです。富士山を背景とする忍野村の民家は写真や絵の対象として好まれたようで、私もよく目にしました。


●「春陽富士」 山梨県忍野村忍草
  民家を描いて四十年の集大成 向井潤吉展 の図録より 

②の写真の民家、入母屋造りで破風(△の部分)が大きくなったものと考えるのか、切妻に庇をつけたものと考えるのか、判断に迷いますが、入母屋造りの変形、その原形は寄棟造りであろうと私は思います。関東地方に限らず全国的に寄棟の民家が多いですから。尤も塩山あたりには櫓造りという切妻の民家(写真③)もありますからその影響を受けているとすると・・・

 ③
● 棟の一部を突き上げた民家 塩山市(197910)


参考文献
『地域と民家 日本とその周辺』杉本尚次/明玄書房
『民家巡礼 東日本篇』溝口歌子・小林昌人/相模書房


市民交流センター

2007-02-24 | A あれこれ

 塩尻市の「市民交流センター」のワークショップが開催されました。基本設計段階でのワークショップは今回が最後だそうです。プロポーザルのときからこのプロジェクトに注目しています。今回初めてワークショップに参加してきました。今まで毎月1回、計4回実施されて述べ130人の参加があったそうです。


● 全体模型(手前)と部分模型


● 全体模型 2階の様子


● 太陽のコートと呼ばれている吹き抜け空間 
  部分模型 縮尺1/50


●パワーポイントを使っての計画内容の説明


● 提言などを書いた付箋紙が貼られた平面図 

はじめに設計者の柳沢潤(コンテンポラリーズ一級建築士事務所)さんから設計の内容についての説明がされ、続いて家具の設計担当の小池ひろのさんから家具について基本的な説明がされました。小池さんは時々建築雑誌に登場する方で伊東さんの事務所に在籍していた時は「せんだいメディアテーク」の家具の設計を担当されたとの事です。

今回は3つのグループに分かれて1階、2階、3階の計画について検討し、ハード、ソフトの両面についていろいろな希望や提案を出し合いました。今までのワークショップの資料によるとかなりの提案が基本設計に反映されているようです。

これからの公共施設の設計にはワークショップという手法によって住民が参加することが当たり前になるような気がします。「みんなで考えるみんなの施設」ということですね。

その都度、変更内容を反映した模型や図面、資料をつくるという作業は設計者には大変な負担でしょう。しかし内容を参加者にきちんと理解してもらうためには欠かせない作業、設計者の頑張りどころでしょうね。

プロポーザルのプレゼンテーションも柳沢さんはなかなか明快で分かりやすかったですが、今回の説明も同様でした。

来年度1年かけて実施設計に取り組むとのことです。建築的な特徴は工場生産される壁柱による構造システムと4ヶ所のコートと呼ばれる吹き抜けの空間。そしてインキュベーションリーダーがサポートするというソフト面。今回ワークショップに参加したことで最終的にどんな建築が出来るのかますます楽しみになりました。

実施設計の段階にも内容を検討する機会を設けるようです。関心のある方、参加してみませんか。


繰り返しの美学、その多様性

2007-02-24 | B 繰り返しの美学

 

 昨年の4月に東京で行なわれた赤坂喜顕さんの講演(三協立山アルミ建築フォーラム)を収録した冊子をいただきました(右)。一昨年に行なわれた第一回目の講演も冊子になっています(左)。 講演記録を冊子にするのはサッシメーカーだから、なんてつまらんシャレを書いちゃったりして。

赤坂さんの講演を聴くために東京へ出かけた際、国立近代美術館で藤田嗣治 生誕120年の展覧会を観たのですが、あれからまもなく1年、早いものです。

建築における窓の意味やデザインの多様性について赤坂さんが竹中時代(現在は早大教授)に設計した作品やヨーロッパの初期近代建築を例示しながら講演をしていただきましたが、冊子を読んで改めて内容の濃い講演だったと思いました。



スライド(上の写真)を示して、ストックホルム庁舎の外壁の窓の全体の構成について赤坂さんは次のように解説しています。**上中下で垂直軸が通らず、外れているし、上の小さな窓の数も異なるなど、くずしが見事で、各層が別々のリズムでつくられている印象を受けます。(中略)心地良いいらだちというか、クラシック特有の硬さのない、柔らかさを感じます。(後略)** 

各階の窓の繰り返しがそれぞれ違うことによる、壁全体としての印象を説明しているわけですが、繰り返しもどのレベルに注目するかで、いろんな捉え方があるということが分かります。

「繰り返しの美学、その世界は広く、奥行きは深い」と先のブログに書いたことを繰り返しておきます。


繰り返しの美学

2007-02-24 | B 繰り返しの美学

● **1間ピッチに架けられた大屋根の登り梁が、リズミカルでいいねえ
低く抑えた玄関側下屋のバランスも、絶妙だねえ。** 偶々読んだ「安曇野建築日誌」(おびなたさんのブログ 07/02/05 http://obing.exblog.jp/ )
にこんな文書を見つけた。

「リズミカル」 よく使うことばだ。ではリズムの意味は・・・、「rhythm の訳語で 規則的な繰り返し意味」 ネットで検索して明快な説明を見つけた。 おびなたさんも繰り返しに美を感じているようだ。なんだか嬉しくなった。 ということで今回も繰り返しの美学について。



松本市のMウイング(設計は確か東京の久米設計)のエントランスホールの壁と天井のデザイン、「繰り返しの美学」なのだが、おそらく意図的にリズムを外したのだろう。「幅」を変えている。設計者はこの方が好ましい、美しいと考えたのであろう。

同一の建築構成要素をきっちりと規則的に繰り返す方が、より「繰り返しの美学度」が高いと考えている私だが、「意図的なリズム外し」もありだなと思った。

繰り返しの美学、その世界は広く、奥行きは深い。


単純な幾何学からの離脱

2007-02-22 | A あれこれ


春を感じた日、勤務先の窓から常念を望む (070222)

 ああ、春になったなと感じる日がある。今日がまさにその日だった。昨年のダイアリーを見ると3月8日に「春を感じた日」と記録してある。

さて今回は・・・
先日とり上げた『建築家という生き方』で槇さんは「モダニズムの造形言語の洗練を追及し続けてきた人だ」という評価があるが、自身ではどう受けとめるか、という質問に **抽象的な図形を基盤としながらどれだけ豊かな空間を生み出せるか、絶えずチャレンジしていきたい。抽象というのはユニバーサルなものだけれども、どう使うかで、時代や場所の特異性をも表現できるんです。(中略)抽象言語によって新しい時代の精神とか、地域やプログラムの持つ特異性を表現できるし、人々の共感を生むような空間がつくれると確信しています。** と答えている。

槇さんはこれからも単純な幾何学的形態による建築表現を追及し続けることだろう。槇さんと同じくモダニストの谷口吉生さんも同様だろう。

それに対して伊東豊雄さんは単純な幾何学から離脱してしまって、「うねうね建築」を追及し出した。このことについては既に何回か書いたので繰り返さない。黒川さんは、単純な幾何学と柔らかな幾何学を共生させる試みをこれからも続けるだろうと思っていたのだが・・・、「都知事選に立候補」だって? 

磯崎さんもどうやら伊東さんと同様、単純な幾何学からの離脱を目論んでいるようだ。 繰り返しの美学は単純な幾何学による建築に頻出する。それは感性を磨かなくても知覚できる美学。

伊東さんや磯崎さんが目指すうねうね建築の美学、それは感性を磨かないと知覚できない美学。この続きはまたいつか、ということにして今回はこの辺で。


分かりやすい表示?

2007-02-20 | A あれこれ


今回は以前から気になっている録画時刻の表記について。以前も書いたような気がしますが・・・。

テレビ画面を撮りました。NHK衛星第2で夜中、「ドクトル・ジバゴ」を放送します。放送時間は午前0時40分から午前4時5分までです。観ることが出来る時間帯ではありませんから録画の予約をしました。休日に観ようと思います。

我が家のデッキの表示はご覧の通り、12:40AM  04:05AMとなります。12:40AMって、午前?午後? とにかく分かりにくいです。そもそも12:40AMって、存在するんでしょうか。00:40AMとなるのでは、と思うのですが。因みに新聞のテレビ欄では0.40となっています。

他にも分かりにくいことがあります。予約を取り消すにはどうすればいい? リモコンの操作ボタンも分かりにくい。とてもじゃないけれどユニバーサルなデザインではありません。尤もこれらは私の老人力のせいかもしれませんが。

世界中で使われているメーカーの製品ですから、表示や操作の分かりやすさなどについては当然充分検討していると思うのですが・・・。正月に観た「007」でボンドが使っていたパソコンもこのメーカーのものでした。

「山の上ホテル物語」

2007-02-19 | A 読書日記



● 山の上ホテルに関するエッセイ集。白水uブックスを手にする機会はほとんどなかった。なかなか洗練されたいいブックデザイン、田中一光氏によるものと知って頷けた。

本書には何人もの作家が書いたこのホテルの魅力が紹介されている。

三島由紀夫**東京の眞中にかういふ静かな宿があるとは知らなかった。設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人っぽい処が実にいい。(後略)**

石坂洋次郎**山の上ホテルは足場がよく閑静で眺めがよく料理もおいしい。そして清楚な雰囲気がなによりも好ましい。**

山口瞳**私が山の上ホテルに求めるのも、山の上ホテルが私に与えてくれるのも「安心感」である。私は、そもそも町なかの小さなホテルが大好きなのだが、こんな山の上ホテルのようなホテルが現代に残っているのは奇蹟のように思われて仕方がない。(後略)**

井上靖、檀一雄、松本清張、中村眞一郎、吉行淳之介、五味康祐、小林秀雄、池波正太郎、高見順、舟橋聖一、・・・。

なるほど、これらの指摘でこのホテルの魅力や、多くの作家がこのホテルを第二の書斎にした理由もなんとなく分かった。

むかし、このホテルの外観だけは見たような気がするが、中に入ったことはない。やはり実際に体験してこのホテルの魅力をきちんと知りたいものだが、そんな機会があるだろうか・・・。


雑誌も美しくなくては・・・

2007-02-17 | A 読書日記

  

「INAX REPORT」と「TOTO 通信」は共に住宅設備機器メーカーの広報誌(季刊誌)です。両誌が優れているのはグラフィックデザイン、誌面がとにかく美しい。内容も充実しています。

「INAX REPORT」の167号(2006年7月発行)に、建築家の磯崎新さんと内藤廣さんの対談が載っています。時代を画した書籍という企画の初回で、『空間へ』磯崎新/美術出版社がとり上げられています。

この本が書かれた1960年代の建築や社会をめぐるいろいろな事柄について磯崎さんと内藤さんが対談しています。内容が深まっているのは、聞き手の内藤さんが当時の状況を詳しく把握していることに拠ることは明らかです。その点、昨日書いた『建築家という生き方』は、聞き手がどんな人なのか分かりませんが、物足りなさを感じてしまったことも事実です。

以前とり上げた『現代建築の軌跡』川向正人/鹿島出版会 でも川向さんが対談相手の作品をよく見ていたし、文章もよく読んでいて非常に興味深い内容になっていました。やはりインタビュアーの能力に大きく左右されるんですね。

ところで以前定期購読していた建築雑誌の出版社から、再購読をすすめる電話がありました。購読を止めたのは、ビンボウ中年、購読料の支払いがキツイことが一番の理由だったのですが、電話では  **写真なら「新建築」の方がいいと思うし、技術的なテーマの掘り下げは「建築技術」、広範な建築情報を分かりやすくとり上げているのは「建築知識」、○○○はどれもなんだか物足りなくて・・・**  と理由を告げました。さすがに「INAX REPORT」や「TOTO 通信」の方が誌面が美しいですとは言えませんでした。

先日電話の向こうで落胆していた女性へ、「個人的に購読はしていませんが、もちろん読んでいますよ」 


びっくり

2007-02-17 | A あれこれ


信濃毎日新聞(070217)朝刊より

 松本清張の「地方紙を買う女」、ドラマ化されて先日放送されたようですね。原作は読みましたがそれがいつ頃のことなのか思い出せません。

女が地方紙を買う理由は以前犯した殺人(だったと思うけれど)のその後が知りたいから。 事件直後は全国紙にもとり上げられますが、時の経過と共に紙面から消えていきます。それで「その地方」の新聞でその後の情報を得ようということなんですね。もちろん表向きは別の理由で購読を申し込むのですが。作品についてはこの位のことしか記憶にありません。

はじめから全国紙にはとり上げられないローカルな話題ももちろんあります。その一例が今朝の「地方紙」が報じたこの記事。

松本出身で現在長野県外に在住で、このブログを読んでいただいている方は、ここで初めて知ることになるのでは。松本の老舗書店の自己破産申請を報じる記事です。高校生のとき漢文の先生がこの書店の名前の由来を教えてくれたことを覚えています。 な方、「鶴林 お釈迦さま」で検索してみて下さい。由来が分かります。

本のネット注文に馴染めない私はいつもこの書店に電話で注文していました。一昨日も1冊注文しています。びっくりしました。もう何年も前のことになりますが映画館の「中劇」が姿を消してしまいました。そしてまたひとつ松本の文化が消えてしまう、と思うと残念でなりません。


繰り返しの美学

2007-02-16 | B 繰り返しの美学



 今回の「繰り返しの美学」の採集地は埼玉新都心です。写真は切り取りました、縦横比がいつもと違います。ちょっと分かりにくい写真になってしまいました。奥に写っているのが合同庁舎1号館、たぶん。

試みに繰り返しの美学で検索してみました。音楽にも繰り返しの美学ってありますね。 以前、「脳は秩序を歓迎する」と書きました。繰り返しの美学な音楽を聴いて心地よく感じるのも脳が歓迎している証かもしれませんね。

 


「建築家という生き方」

2007-02-16 | A 読書日記



 昨晩は横着をして、タイトルも考えずにアップしてしまいました。

『建築家という生き方 27人が語る仕事とこだわり』日経PB社  建築雑誌「日経アーキテクチュア」創刊25周年を記念して2001年に発行された本です。表紙に建築家の似顔絵が採用されていますが、よく特徴を捉えています。

25年間、同誌に掲載されたインタビュー記事を1冊にまとめたものです。日本を代表する建築家へのインタビュー記事が収録されています。前川國男、丹下健三、村野藤吾、吉村順三、磯崎新、黒川紀章、槇文彦、菊竹清訓、原広司、谷口吉生、伊東豊雄、安藤忠雄・・・と全員挙げてしまいたくなります。 既に故人となられた建築家もおられますから、これは貴重な本といっていいでしょう。

見出しが的確に建築家のコメントのポイントを押えています。

モダニズムの抽象言語で新しい時代精神を表現できる」槇文彦
実物ではなくコンセプトこそが歴史の中で生き残る」磯崎新 
仕事がない、条件が厳しいなどは「夢」放棄の言い訳にならない」安藤忠雄

インタビュアーのつまらない質問がないわけではありません。例えば原広司さんには何かと話題になった京都駅について訊いているのですが、「具体的に、どんな人に支持してもらいたいと思っていますか」「子供たちに建物(京都駅)をどのように受け止めてほしいですか」など。限られた時間、ジャーナリスティックな質問ならもっと他に訊くことがあっただろうに。

関西国際空港旅客ターミナルビルのコンペ当選者のレンゾ・ピアノ氏のコメントが印象的でした。**私は自然の摂理にかなった有機的なディテールやデザインについて言及したわけですが、それは自然そのものを再現するという意味合いで言っているのではありません。私が主張しているのは、そのプロセスを再現することであって、それがもたらす結果が有機体に近いということです。**

雑誌に掲載された小説やエッセイをまとめて単行本にすることはめずらしくありませんが、25年もの長い期間の掲載記事をまとめたものはめずらしいでしょうね。

友人がメールしてくれなかったら、この本を再読することがあったかどうか・・・、感謝です。


2007-02-15 | A 読書日記




 今回は無理やりBモードに替えました。

上の2冊が現在読んでいる本、下の2冊がこれから読もうと思っている本です。

『建築家という生き方』は6年前に一度読んだ本です。友人からのメールに4冊の本がとり上げられていましたが、そのうちの1冊がこの本です。

伊坂幸太郎の『アヒルと鴨のコインロッカー』は表紙の雰囲気から集英社文庫だと思っていましたが、創元推理文庫でした。この本は別の友人のおすすめの1冊。

『山の上ホテル物語』 神田駿河台にあるこのホテルは何故か昔から作家に人気があります。この本で人気の秘密を知ろうと思っています。このホテルでお茶するのもいいかもしれません、機会があれば・・・。