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透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

ブックレビュー 2022.04

2022-04-30 | g ブックレビュー〇



 角田光代現代語訳の『源氏物語』を読み進めながら、他の小説なども読んでいる。4月の読了本は6冊だった。買い求めたまま、読んでいない作品を読み終えたら、『源氏物語』と源氏関連本だけにしようかとも思うが、新聞の書評欄などを読むと読みたいと思う本が次々出てくる。

『本所おけら長屋 十八』畠山健二(PHP文芸文庫2022年)
このシリーズ、いつまで続くのか分からないが追っかける。

『人新生の科学 ニュー・エコロジーがひらく地平』オズワルド・シュミッツ(岩波新書2022年)
**人類のさまざまな活動は、「人新世」と呼ばれる新たな地質時代をもたらした。その影響を世界規模で考え、持続可能な社会を維持するには、人間と自然を一体として捉える思考、ニュー・エコロジー(新しい生態学)が必要だ。社会経済のレジリエンスを高め、人類が「思慮深い管財人」として自然と向き合うための必読書。** カバー折返しの本書紹介文にはこのように書かれている。決して無関心ではいられないテーマについて書かれた本だが、ひたすら字面を追うだけだった。

『さがしもの』角田光代(新潮文庫2021年第26刷)
9編の本の物語。
表題作。「その本を見つけてくれなきゃ、死ぬに死ねないよ」病床のおばあちゃんに頼まれた本を探し求める私。

『マザコン』角田光代(集英社文庫2011年第3刷)
8編の短編で描きだされる母親の諸相。

『九紋龍 羽州ぼろ鳶組③』今村翔吾(祥伝社文庫2022年第14刷)
火消時代小説で江戸の火消事情を知る。**半鐘の打ち方によって意味が異なる。一打は「火元遠し」、二打は「火消出動」、連続して打てば「火元近し」、鐘の中に木槌を差し込んで搔きまわす乱打は「火焔間近」の意である。**(92頁)
**源吾は櫓の下から呼びかけた。方角火消は通常より高い火の見櫓の設置が許されており、よく遠くが見通せる。**(201頁)
※ 文中太文字化は引用者による。

『昭和の名短篇』荒川洋治 編(中公文庫2021年)
収録された14篇の中では小林 勝の「軍用露語教室」と佐多稲子の「水」、深沢七郎の「おくま嘘歌」 この3篇が印象に残った。敢えて1作品を挙げるなら「おくま嘘歌」。
おくまには子どもがふたりいる。ある日、おくまは娘のサチ代の嫁ぎ先へバスに乗っていく。

**サチ代が、
「あれ、おばあちゃんが来たよう、坊の顔を見たくて」
と言ってこっちを向いた。孫の顔を見たくて来たのだとサチ代は思ってるので、
「坊の顔を見たくて来たのオジャンけ」
とおくまは嘘を言った。シゲオの顔も見たいが娘のサチ代の顔を見たくて来たのである。
だが、シゲオの顔を見たくて来たと言った方がサチ代は喜ぶだろうと思ったからだった。**(134頁)

この短篇には娘や嫁、家族に思慮して暮らすおくまの様子が描かれている。いいなぁ、昭和の静かな小説。


 

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「紅葉賀」

2022-04-27 | g 源氏物語〇

「紅葉賀 うりふたつの皇子誕生」

 光君が若柴と出会った時、その少女はまだ10歳だった。この7帖では57,8歳の熟女が光君の恋(?)の相手。この熟女、次のように紹介されている。**さて、年配の典侍(ないしのすけ)がいた。彼女は家柄も立派で才気があり、気品もあって人から尊敬もされているが、ひどく好色な性分で、その道ではじつに軽々しいことをする。**(240頁)「光君はいろんな女性と恋をする」紫式部はこのように考えていて、この女性も登場させたのだろう。

「紅葉賀」は藤壺が光源氏にうり二つの男の子を出産するという大切な帖なのだが、ラブコメディの観がある。ラブコメを演ずるのは、光君と頭中将と熟女の3人。

60歳近いのに色恋が現役の典侍だと聞いた光君は、好奇心からこの女性と一夜を共にする。女性のことを聞きつけた頭中将は**女のことなら隅々まで手抜かりのない自分でも、あの女のことは考えもつかなかった、とはっとする。いくつになっても衰えない典侍の好き心に、にわかに興味を覚えた頭中将はとうとう典侍と懇ろな仲になってしまった。**(242頁)

典侍は頭中将とのことを光君にひた隠しにしている。ある夜更け、典侍の部屋に光君がいるところに頭中将がそっと入りこむ。**頭中将は、自分だとわからせないように何も言わず、ただすさまじく怒っているふうを装って、太刀を引き抜いた。**(244,5頁)*

この後、修羅場にはもちろんならず、**二人とも恨みっこなしの、同じくらいしどけない姿でいっしょに帰っていった。**(246頁)

翌朝、典侍から光君に届いた手紙には、うらみてもいふかいぞなきたちかさね引きてかへりし波のなごりに とあった。典侍って恋の経験が豊富な熟女だねぇ。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋

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「九紋龍」読了

2022-04-27 | g 読書日記



■ 
晴読雨読な日々。昨日(26日)は羽州ぼろ鳶組シリーズ第三弾、『九紋龍』今村翔吾(祥伝社文庫2022年第14刷)を読んだ。

本作のメインキャストのひとりは本のカバーに描かれている男(写真)。**辰一は不敵に笑うと、右手を寅次郎の股の間へ差し込んだ。そして野獣の如く咆哮すると、何と重さ四十五貫目(一六八キロ)もの巨漢の寅次郎を高々と持ち上げてしまった。**(110頁)という「に組」の頭、九紋龍の辰一、最強の町火消。尚、寅次郎は元幕内力士、ぼろ鳶組の壊し手の要。

それから、御家老に代わり江戸に入ってきた出羽新庄藩の御連枝、戸沢正親(三代藩主の孫)。御連枝という身分でありながら、**領内の村で遊び惚けたり、城下で酔いつぶれたり、酷い時などは鉄火場で博打を打っていることもあった。**(45頁)という男。

この御連枝、**「鳶の俸給を減じ、その他火消道具などへの費(つい)えを五箇年差し止める」**(84頁)と宣言。しかも主人公・松永源吾が率いる新庄藩の方角火消について**「方角火消のお役目は、免じられるようにお頼みするつもりだ」**(86頁)と。これには源吾も肩を落として項垂れるばかり・・・。

辰一といい、この御連枝の正親といい、登場した時の印象は全く良くないが、終盤になると読んでいて涙が出るほど好い人物になっている。ストーリーの展開がなかなか面白い。

今回、ぼろ鳶組の「相手」は盗賊、千羽一家。**まず夜更けに一軒ないし二軒に火を付ける。それが燃え上がれば、火消たちが太鼓や鐘を打ち、庶民は一斉に野次馬に出るか、避難を始める。その隙を衝いて盗みを働くのだ。**(13頁)その時一家皆殺しにするという極悪非道ぶり。

やがて明らかにされる辰一の悲しい過去、千羽一家との関係。

物語の最終第六章「勘定小町参る」を読んで、それまで緊張していた気持ちが和む。テレビドラマの事件ものでは事件が解決した後に、しばらくまえからはやっている医療ものでは難しい手術が無事終わった後に、スタッフが冗談を言い合って和むシーンがあるけれど、この最終章はその拡大版といったところ。

新庄藩の特産品・工芸品を、全国各地から集めた商人相手に披露、彼らに競わせ少しでも高く売る商人披露目の義。新庄藩の財政立て直し策の一環。その交渉役に源吾の妻、深雪が指名される。談合を防ぐために深雪が取った、なるほど!な策。途中、誰がつくったものか、という商人の質問に深雪が窮する。その時、襖が勢いよく開け放たれて、あの正親登場! 具体的な説明から、正親が領民に精通し、民に寄り添っていたことが明らかに。好い場面だ。それにしても海千山千の豪商を相手に入札を仕切った深雪はすごい。ますます惹かれる存在になった。そしてラストの落ちが好い。読者には深雪ファンが多いようだが、この章は作者、今村翔吾のファンサービスだろう。


 

 

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「末摘花」

2022-04-26 | g 源氏物語〇

 **こんな荒れ果てたところにこそ、思いがけないほどうつくしい人が住んでいて、恋が生まれるといった話が物語にはよくあるのだし、何か言葉をかけて近づいてみようか。**(192頁)こんな思い込みが光君にはあるようだが、時には落胆することもあるようで・・・。

「末摘花」

紫式部はこの長編にいろんなタイプの女性を登場させる、ということがここまで読んできただけでも分かる。

光君は宮中に仕える大輔命婦から、亡き常陸宮が可愛がって育てた末摘花という娘、いや姫君と表記すべきか、が琴を友として心細く暮らしていることを耳にする。さっそく訪ねる光君。 この積極性!

いくそたび君がしじまにまけぬらむものな言ひそと言はぬ頼みに(201頁)引っ込み思案な姫君、手紙を出しても返事がない。

ある冬の寒い夜、久しぶりに常陸宮邸を訪ねた光君。翌朝早く**「朝の空が美しいから見てごらん。いつまでも心を許してくれないのはつらいよ」**(208頁)と姫君に声をかけ、雪明りの中で初めて顔を見る。

**(前略)その次に気になったのは、その異様な鼻である。真っ先に目につく。普賢菩薩が乗っている像が思い浮かぶ。あきれえるくらい長い鼻で、咲のほうが垂れて赤く色づいているのがなんとも不細工である。(後略)**(209頁)

登場する女性に落胆することもある。

**もしあの姫君が人並みの平凡な容姿ならば、忘れ去ってしまっただろうが、あの異様な姿をはっきり見てしまってからは、かえって哀れに思え、光君は暮らし向きのことにも終始気を配るようになった。**(212頁)

このあたりが光君の優しさだろう。


120

4月25日付信濃毎日新聞朝刊の投稿欄に「源氏物語」の原文を半年以上かけて読み終えたという投稿が掲載されていた。まず原文を読んで、難解な語句を注釈で確認し、それでも意味がはっきりしない場合は現代語訳を参照したとのこと。すばらしい! 本当はこういう読み方が良いのだろうが、私には無理。角田源氏の通読で良しとし、できれば他の作家の現代語訳も。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋

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「短編小説と世界」荒川洋治さんの講演

2022-04-25 | g 読書日記


「本の寺子屋」リーフレット 写真:えんぱーく

 11期目の「信州しおじり 本の寺子屋」が始まった。今期(今年度)は全17講座が予定されている。聴きたいな、と思う講演を以下に挙げる。

佐野眞一(ノンフィクション作家)「コロナは日本の何を見せたのか」   
田中優子(法政大学名誉教授・前総長)「絵と文字で読む江戸の本」
立花珠樹(共同通信社編集委員)「戦後日本映画の名優たち ―高倉 健、吉永小百合、渥美 清ら―」
小泉今日子(女優・歌手)「本と本屋とわたし」
加古陽治(東京新聞編集委員)「文芸取材の流儀」
矢崎節夫(金子みすゞ記念館館長)「童謡詩人、金子みすゞのまなざし ―よみがえりの軌跡―」
島田雅彦(法政大学教授・作家)「フィクションの方が現実的」

※ 講師の肩書を一部省略した。

こんなにすごい講座が地方都市で企画できるというのはすごいこと。「文藝」の編集長をされていた長田洋一さんが講座のナビゲーターを務めておられる。会場はえんぱーく3階・多目的ホール、定員は60人(*1)、参加費 無料。早めに申し込まないと定員に達して参加できなくなってしまう。

「短編小説と世界」

昨日(24日)第1回目の講演の講師は現代詩作家の荒川洋治さんだった。荒川さんは「日本全国8時です」という民放の朝のラジオ番組に長い間(1991年~2013年)出演されていた。火曜日の朝、通勤途中で荒川さんの話を聴くのが楽しみだった。久しぶりに聞く荒川さんの声、懐かしい。

講演は配布された資料のウクライナを中心とするロシアの地図をもとに、ロシアの文豪の多くの生地がモスクワからウクライナ東部の都市・マウリポリまで、線状に並ぶ都市である、ということから始まった。なるほど資料を見ると、プーシキンはモスクワ、ゴーゴリはウクライナ・ボルタバ近郊、ツルゲーネフはオリョール、ドストエフスキー モスクワ、トルストイ トゥーラ、チェーホフ タガンログで、これらの都市は北から南に並んでいる。

荒川さんの「話芸」にすっかり魅せられた。面白く語る人だということはラジオ番組で知っていた。午後2時から4時まで、有意義な時を過ごした。紹介された短編小説の全てが実に優れた作品だと思ってしまった。で、ぜひ読んでみたい作品は次の通り。

シュトルム「みずうみ」岩波文庫、光文社古典新訳文庫
ブッツァーティ「七階」/『七人の使者・神を見た犬』岩波文庫
国木田独歩「画の悲み」(現在の表記「画の悲しみ」/『運命』岩波文庫
小林 勝「軍用露語教程」/『小林 勝作品集』第1巻 白川書院
佐多稲子「水」講談社文芸文庫
瀬戸内寂聴「南山」/『場所』新潮文庫(解説・荒川洋治)



講演会終了後に会場で荒川さんが編者・解説者の『昭和の名短篇』(中公文庫2021年)を買い求めた。上掲したリストの太文字表記した2編が収録されている。これは助かる。

『源氏物語』も読み続けたいし(いや、自分に課した義務だから読み続けなければならない)、他にも買い求めた小説、『あ・うん』向田邦子(文春文庫2006年第4刷)、『九紋龍 羽州ぼろ鳶組③』今村翔吾(祥伝社文庫2022年第14刷)『鬼煙管 羽州ぼろ鳶組④』今村翔吾(祥伝社文庫2022年第11刷)がある。

読む本、読みたい本があることはうれしいことだ。


*1 小泉今日子さんの講演に限り会場はレザンホール、コロナ対応で分からないが、定員はかなり多いと思う。

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「若紫」

2022-04-24 | g 源氏物語〇

「若紫 運命の出会い、運命の密会」

 光源氏18歳。病気がなかなか治らず加持祈祷を受けるために北山に赴いた光源氏。そこで可憐な少女を垣間見る。継母・藤壺の姪に当たる子で実母亡き後、祖母に育てられていた。藤壺によく似たその少女(若柴)に心奪われた光源氏、性急にも若紫を引き取りたいと思う。

高校3年生くらいの男の子が小学4年生くらいの少女に恋したなどと現代に置き換えて捉えると、源氏ってロリコン? なんて思ってしまうが、平安時代は今とは年齢の感覚が違うし、歳の差婚なんて当たり前だったということも考え併せれば、そうではないのだろう。プラス10歳くらいだと考えればしっくりくる。

**ねは見ねどあはれとぞ思ふ武蔵野の露分けわぶる草のゆかりを**

若紫(紫の上)に心奪われる一方、藤壺と密通する光源氏。やがて藤壺は懐妊。祖母を亡くした若柴を父親は自邸に引き取ることにした。が、光源氏は父親に先んじて若紫を二条院に連れ帰ってしまう。

この内容、「源氏物語」ってすごい小説だ。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋

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1334 塩尻市桔梗ヶ原の火の見櫓

2022-04-24 | g 火の見櫓観察記

 この火の見櫓は2012年に1月28日に既に見ている。だが、その時勘違いして通し番号を振っていなかった。昨日再訪して観察したので、新たに通し番号を付けた。通し番号については昨日再確認したが誤りがあるかもしれない。ただあったとしてもごく少数のはずだ。

以下、過去の記事(削除済み)に手を加えて載せる。

 
1334 塩尻市宗賀桔梗ヶ原 3脚663型 撮影日2022.04.23



塩尻市宗賀の桔梗ヶ原公民館前の狭い道路脇に消防団詰所と一緒に立っている。少し傾いているのが気になる。製作精度の問題か、建設後に傾いたわけではないと思う。見張り台の高さはおよそ11メートル。



見張り台の床面の開口が大きい。梯子の上端が見張り台の床面止まりだが、1メートルくらい上まで伸ばして欲しかった。スピーカーが無いのでスッキリしている。


見張り台床面直下の様子

 
撮影日2012.01.28(左) 2022.04.23(右)

10年ぶりの再訪だった。同じところを同じようなアングル、同じようなフレーミングで撮るものだ。

10年前には鉄骨がだいぶ錆びていた。その後、錆止め塗装がされたことが分かる。メンテナンスされていることは大変好ましい。 梯子桟に巻かれていた縄は撤去されている。

360

詰所の2階と火の見櫓の踊り場をつなぐ梯子。梯子から踊り場に入るところの櫓のデザインがいい。ちゃんと人を迎え入れる表情をしている。


脚部 脚間寸法約2.6m 


 

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大切にしたい小さな幸せ

2022-04-23 | g サクラと火の見


長野県朝日村針尾にて(火の見櫓が立っているところは古見地区) 撮影日2022.04.20


長野県朝日村針尾にて 撮影日2022.04.20 


21日(木)の日本経済新聞朝刊最終面(文化面)に火の見櫓好きな私の紹介記事が掲載されました。記事を読んでいただいた知人・友人から電話やメールをいただきました。全国紙ですから、地元だけでなく県外からも。大変うれしい一日でした。お読みいただいた皆さん、ありがとうございました。

これからも小さな幸せを(今回の件は私にとって決して小さくはありませんが)大切にしていきたいと思います。


 

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「マザコン」

2022-04-23 | g 読書日記



『マザコン』角田光代(集英社文庫2011第3刷)を読んだ。

角田光代が描き出す母という存在の諸相。娘や息子から見た様々な母親像が描かれる。収録されている8編の短編の中で印象に残ったのは最後の「初恋ツアー」。

私は夫の洋文と、洋文の母親の三人で旅行にいくことに。母親が夫(私の義父)を亡くして、一切の気力を失ったように家から出なくなってしまったので、旅行に誘ったのだった。行き先は義母の希望で札幌。

**「洋文には内緒にしてほしいんだけど」義母は上目遣いに言う。
「え、なんですか」
「私、会いたい人がいるのよ。それでね、この旅行のあいだにその人をさがしあてたいんだけど、匡子(きょうこ)ちゃん、手伝ってくれない」**(205頁)
ずっと昔につきあっていた人が、札幌に住んでいるらしいことを知った義母。**「(前略)あのね、会ってどうこうしようなんて思ってないの。ただ、ちょっと遠くからでも、姿を見てみたいなってそのくらいの気持ちなの。(後略)」**(205頁) 札幌に来た理由が明かされる。

母が高卒後に上京して繊維工場で経理の仕事をしていたことを札幌の喫茶店で聞かされた私たち。経営者夫婦の自宅に間借りしていた伊本幸子(婚前の母の名前)は、近所の大学生でしょっちゅう経営者宅に遊びにきていた大学生と交際を始めた。ところがその学生・藤枝秀一郎は大学を卒業して就職した会社の一人娘と結婚してしまった。秀一郎の子どもを身ごもるほどのつきあいをしていたのに・・・。

秀一郎のいきつけの飲み屋が見つかって、私は母とふたりでその飲み屋にいくことに。**「私ね、試してみたいことがあるの。黙ってあなたと飲んでるの。そこへあの人がくるとするじゃない?そうしたら私に気づくかどうか。ねえ、どう思う」**(219頁)その後、私は母だけ残して夫が待つホテルに帰る。ホテルの近くの居酒屋のカウンターで飲み始めた私と夫。

**(前略)隣に座ってハイペースで飲んでいる自分の夫を、力の限り胸に抱きしめてやりたいと思った。母を放棄した母をはじめて見たのであろう、この気の毒な男を。そうして、そんな気持ちがなんだか母のようであると気がついて苦笑する。(後略)**(234,5頁)
 
この短編の最も重要なというか、作者が描きたかったテーマがこのくだりに表現されている(と私は思う)。

母が娘時代の恋人と再会できたのか、明かされないまま小説は終わる。 


 

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精密とは適応限界をわきまえていること

2022-04-22 | g 読書日記



 **物理学者が太いチョークを使うのは少しもさしつかえない。物理学が精密科学であるというのは、細い鉛筆を使うことではなくて、使った鉛筆の太さを最後まで忘れずにいることなのである。** 

ぼくはこの言葉をずっと覚えていて、時々使うことがあった。だが、どこに書かれていたのか覚えていなかった。昨日、自室の書棚から当たりをつけて取り出した『時間・空間・物質』小野健一(三省堂選書1977年)の「はじめに」にこの言葉が載っていた。この本を読んだのは今から43年前、1979年の1月だったことが巻末に記したメモから分かる。

この本にはA、B、C、Dの「はじめに」がある。上掲の言葉が載っているのはBの「精密ということ」(4頁)。ここで著者の小野氏は物理学は精密科学であるとし、続けて**精密とは一口で言うと適用限界を心得ていることであって、有効数字の桁数の多いことではない。**(3頁)と述べ、次のような具体的な例を挙げている。

少し長くなるが引用したい。**実験値をグラフの上にプロットした結果が散ってしまって、あまりきれいに一つの曲線の上に乗ってくれなかったとしよう。物理学者ならば目分量で大体の傾向をにらんでなめらかな曲線を一本引くであろう。あるいは、鉛筆の代わりに太いチョークを使って、どの実験値も曲線の上に乗るように太い線を引くであろう。**(3頁)

著者はこんなやり方に対して反応のしかたに二つのタイプがあるようだ、という。ひとつは測定値をそのままぎざぎざの線で結ぶべきだ、と反対するタイプ。もうひとつははじめのデータが散っていて、それを太いチョークで結んだことを忘れて少数点以下何桁でも計算するタイプ。後者は技術者に多いと指摘している。

精密とは適応限界をわきまえていること。この言葉を改めて肝に銘じたい。


 

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「夕顔」

2022-04-21 | g 源氏物語〇

「夕顔 人の思いが人を殺める」

 源氏物語を読み始めて、そうか、この長編は連作短編集だと思って読めばいいのか、と思う。

昨日(20日)の午後、「夕顔」を読んだ。源氏物語には多くの女性が登場するが、夕顔という名前は以前から知っていた。

光君(ひかるくんと読んではいけない、そこまで物語を現代化してはいない)が夕顔と出会ったのは病気の乳母を見舞うために出かけたとき。乳母の家の隣に白い花の咲く家があった。

**「白く咲いておりますのは夕顔と申します。花の名前はいっぱしの人間のようでございますが、こうしてみすぼらしい垣根に咲く花でございます」**(92頁) 光君の問いにお供をしていた随身がひざまずいて、このように答えると、光君は**「かわいそうな運命の花なんだね。一房折ってきてくれないか」**(92頁)と言う。光君のこの感想がその家の主の女性(夕顔)の運命を予見的に示している。夕顔は頭中将との間に娘(玉鬘)がいたけれど、正妻から身を隠していたのだった。

光君は夕顔に心惹かれ・・・。

**白浪の寄するなぎさに世を過ぐす海士の子なれば宿もさだめず** 光君と夕顔はお互い素性を明かさないまま逢瀬を重ねていく。

もっとこの人を知りたい。もっと気兼ねなくいっしょにいたいと思った光君(恋すればみんなそう思う)は夕顔を某の院に誘う。日が暮れてしばらく経った頃のこと。美しい女のもののけが現れ、夕顔は息絶えてしまう。

読者はこの儚い恋に惹かれて、夕顔という名前を覚えているのかな・・・。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋

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木曽義仲 松本成長説

2022-04-20 | g あれこれ考える〇

 NHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で青木崇高が演じる木曽義仲が注目されている。木曽義仲、幼名・駒王丸。出生地は武蔵国、現在の埼玉県と伝えられる。義仲の父の義賢は義朝(義賢の兄)との対立で、義朝の息子・義平(義仲のいとこ)に討たれる。まだ2歳の駒王丸にも義平から殺害の命が出されたため、義仲の乳母の夫・中原兼遠と共に信濃国に逃れ、木曽で育ったとされる。この通説「義仲の木曽成長説」に異を唱えた歴史学者がいた(過去ログ)。

その歴史学者の名は重野安繹(しげの やすつぐ)。このことについて調べて、重野博士が明治27年9月30日に旧制松本中学(現松本深志高校)で「木曽義仲の松本成長及佐久挙兵説」を講演していること、そしてその抄録が「松本市史」に収録されていることが分かった。

ではその「松本市史」はどこにある? あるとすれば松本中央図書館だろうと、同図書館のサイトで蔵書を検索するとヒットした。昨日(19日)松本中央図書館に出かけて「松本市史」を閲覧した。


松本中央図書館 撮影日2022.04.19

「松本市史」(上下2巻)は昭和8年(1933年)に発行されている(編集兼発行 松本市役所)。上巻の第五章 鎌倉時代の第一節に「義仲の松本成長説」という見出しの記事があり、講演の抄録が掲載されていた(103~105頁)。


「松本市史」上巻103頁

重野博士は木曽山中を義仲の成長地とする説について**余は其必ず誤謬なるを思ふ者なり。**と強く否定している。抄録を読み進むと、**兼遠は當時信濃國の權守なりしが故に信濃に來りしなり。**と信濃国に逃れた理由を説明している。で、当時の木曽について**兼遠の時代には中々人を成長せしむべき處に非りき。**としている。**中原兼遠は名こそ權守なれど其實は國守なりしなり。**だから、**若し義平が攻め來るとも四方の嶮崕を鎖して之を防がば、毫も恐るべきに非ず、何を苦んで人跡稀なる木曾山中に育てんや。**(104頁)と説き、**義仲は決して木曾山中に成長せし者に非ずして、必ず此松本に成長せし者なるべしと思うなり。**と結ぶ。(太文字化、筆者)重野博士は義平は義仲をさほど厳重に捜索しなかったとも述べている。

義仲は兼遠の息子の樋口兼光、今井兼平と共に遊んだとされている。このことについて重野博士は**義仲四天王中の樋口兼光、今井兼平は共に中原兼遠の子なり。**と紹介、続けて**兼光の居住したる樋口村は鹽尻村の彼方に今も尚残り、兼平の居住したる今井村は現に東筑摩郡中に在り、義仲は實に松本今井樋口の間に成長し、兼光兼平と共に遊びたりし人なり。**としている(104頁)。

抄録の後半は義仲が木曽ではなく佐久で挙兵したことについて記されている。義仲が木曽ではなく、佐久で挙兵したとする説については本稿では触れない。

抄録中の鹽尻村(現塩尻市)の先にあるという樋口村は現辰野町樋口、東筑摩郡今井村は現松本市今井(今井には今井兼平が中興の開基といわれる宝輪寺がある)。義仲、兼光、兼平の3人が子どものころ一緒に遊んで育ったということになると、義仲が木曽で育ったとする説には無理があると思う。距離的に離れすぎている。義仲が今井の近くに、今井兼平が今井に暮らしていて樋口兼光が現辰野町樋口から出てきていたとするなら頷ける。当時の移動手段からして、辰野町樋口あたりは辛うじて日常的な徒歩圏内だったと思うので。

では義仲が暮らしていた今井の近くとは具体的にどの辺りなのか・・・。これに関して、ウキペディアには東筑摩郡朝日村(朝日村木曽部桂入周辺)という記述がある。現在の塩尻市小曽部(木曽部→小曽部?)かその西側、朝日村西洗馬辺りで成長したと考えるのが妥当、ということになりそうだ。朝日村西洗馬には義仲によって中興されたとされている古刹・光輪寺がある。この寺の起源の古薬師は光輪寺薬師堂(前稿のヒヨドリの写真を撮ったところ)の裏手にあったようだが、そのあたりは桂入と呼ばれていた。


信濃毎日新聞4月8日付朝刊22面(地域面)

ところで朝日村には御馬越(おんまご)、御道開渡(みどがいと)という地名がある。木曽で挙兵した義仲が馬で山越えして朝日村に至り(御馬越)、自ら道を開いて進んだ(御道開渡)という説に因む地名とされているという。このことが先日、信濃毎日新聞に掲載された記事で紹介されていた。しかし残念ながら、記事では義仲が松本で育ったという本稿で紹介した説については触れられていなかった。

実証的な史料がない古い歴史は言ったもん勝ち。義仲は朝日に立ち寄ったんじゃない、朝日で育ったんだ!と早くから宣伝していたら・・・。たらればは無しか。


松本中央図書館の蔵書に拙著『あ、火の見櫓!』がある。試みに検索してみると貸出中だった。うれしい。

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「空蝉」

2022-04-19 | g 源氏物語〇

 紫式部は和歌の才能にも恵まれていた。『源氏物語』はその才能を発揮する場でもあったのだろう。多くの和歌が物語に織り込まれている。

「空蝉 拒む女、拒まぬ女」

この帖は短い。僅か10頁。

夜の闇にまぎれて空蝉の寝所に忍びこんだ源氏。**女が上に掛けている夜着をはぎとって寄り添うと、このあいだよりは大柄な感じがするけれど、まさか別人だとは思いもしない。** でもそのまさかで、別の女性(軒端荻)だった・・・。

うつせみの身をかへてける木のもとになほ人がらのなつかしきかな (うつせみ 空蝉と漢字表記したものもある)

うつせみの羽に置く露の木隠れて忍び忍びに塗るる袖かな

**自分が昔の娘のままだったらどんなによかっただろうと詮方無いことを思う。**(88頁) 光源氏に心惹かれながらも、人妻だし身分も違うし・・・と、人目を忍んで袖をぬらすことしかできない空蝉。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋

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「さがしもの」

2022-04-18 | g 読書日記


いつものスタバ、いつもとは違う円卓で。そのわけは本のカバー装画にあり。

 何年か経って今年(2022年)を振り返る時、どんな年だけ? 何をした年だっけ? となるのはなんとも切ない。今年も来年も、その先ずっと毎年記憶に残るような年にしたいものだ。今年は『源氏物語』を読んだ年として記憶に残るようにしたいと思う。

『源氏物語』を読み始めた。デビュー作『幸福な遊戯』、直木賞受賞作『対岸の彼女』、中央公論文芸賞受賞作『八日目の蝉』・・・。現代語訳した角田光代の作品も読んでみようと先日『さがしもの』(新潮文庫2021年第26刷)と『マザコン』(集英社文庫2011年第3刷)を買い求めていた。

今日(18日)『さがしもの』を読んだ。表題作など本にまつわる短編を9編収録した短編集。

「旅する本」 古本屋に売った本(翻訳小説)と海外の古本屋で再会するという物語。

「彼と私の本棚」 アルバイト先でハナケンと知り合った私。 **ハナケンを自分のアパートに呼んだのはその二ヵ月後で、部屋にあがったハナケンはまず本棚に近づいて、うわ、と声を出した。なになに? とのぞきこむと、自分ちの本棚みたい、とつぶやいた。
実際、ハナケンのアパートの本棚は私の本棚みたいだった。さしこまれたほとんどの本に見覚えがあった。**(68頁)

ハナケンから好きな人ができたとうち明けられた私は別れることに・・・。**その人、本を読むの?**(72頁)とハナケンに訊く。 これ、分かるなぁ。

「さがしもの」 **「あんたがその本を見つけてくれなけりゃ、死ぬに死ねないよ」**入院しているおばあちゃんからこんなことを言われた私はあちこち本を探して歩くのだが・・・。印象に残る作品だった。

角田源氏は読みやすいけれど、この『さがしもの』も読みやすかった。


 

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「帚木」

2022-04-18 | g 源氏物語〇

 読み始めた『源氏物語』を現代語訳した作家・角田光代さんはまっ先に読みやすさを考えたという。確かに読み始めてみて、読みやすいと感じる。

「帚木 雨の夜、男たちは女を語る」

光源氏17歳。五月雨の夜。頭中将が宮中にいる源氏を訪れる。ふたりは気の合う友だち。物忌みに謹慎するために左間頭(さまのかみ)と藤式部丞(とうしきぶのじょう)もやってくる。**二人とももの知りで、男女のことにも長けていて、しかも話がうまい。**(36、37頁)3人で恋愛談義。 ―「雨夜の品定め」。 角田さんは男女のことにも長けていてとさらりと訳している。

**まったく歯に衣着せぬもの言いで、耳をふさぎたくなる話も多いのだけれど・・・・・。**(37頁)原文にもあるのだろうが、これは角田さんの感想のようでもある。

3人の話を聞いていた光源氏、話に出ていた「中の品」と呼ばれる中流層の女性に興味を覚える。17歳の少年はすっかり刺激されたようで・・・。

翌日、方違えで源氏が訪ねた紀伊守の屋敷には紀伊守の父、伊予介の後妻、空蝉も来ていた。源氏は空蝉と強引に関係を結ぶ、そう強引に・・・。再び紀伊守の屋敷を訪れる。もちろん空蝉目当て。でも彼女は拒否、決して会おうとはしない。


1桐壺 2帚木 3空蝉 4夕顔 5若紫 6末摘花 7紅葉賀 8花宴 9葵 10賢木 
11花散里 12須磨 13明石 14澪標 15蓬生 16関屋 17絵合 18松風 19薄雲 20朝顔
21少女 22玉鬘 23初音 24胡蝶 25蛍 26常夏 27篝火 28野分 29行幸 30藤袴
31真木柱 32梅枝 33藤裏葉 34若菜上 35若菜下 36柏木 37横笛 38鈴虫 39夕霧 40御法
41幻 42匂宮 43紅梅 44竹河 45橋姫 46椎本 47総角 48早蕨 49宿木 50東屋
51浮舟 52蜻蛉 53手習 54夢浮橋

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