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透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

「きことわ」

2013-08-30 | g 読書日記




 このところ文学作品を読んでいない。昨日(29日)久しぶりに松本駅前の丸善に立ち寄って、芥川賞を受賞した朝吹真理子の『きことわ』新潮文庫 を買い求めた。時には若い感性に触れるのもいいだろう・・・。まあ、鄙里に暮らすカールおじさんとは全く異なる世界の作家の作品を理解できるかどうか分からないが。

「悲しみよこんにちは」、「ブラームスはお好き」などサガンの作品の翻訳で知られる朝吹登水子は朝吹真理子の大叔母にあたる。このことは基礎的な知識として抑えておきたい。

確かNHK Eテレの「週刊ブックレビュー」というもう終了してしまった番組だったと思うが、彼女が出演していて、物静かに作品について語っていたことをおぼろげながら覚えている。

この秋は漱石の作品を読みなおそうと思っているけれど、鈍くなりつつある感性を刺激するためには若い作家の作品に触れることも必要だろう・・・。


 

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なぜ秋田県は成績がいいのか

2013-08-29 | g あれこれ考える〇

 全国学力テストの結果が先日公表された。今年も小学生の成績は全科目秋田県がトップだった。なぜ秋田県は成績がいいのだろう・・・。昨年、このことについて書いた記事を再掲する。私の眉唾な推論は今も変わってはいない。成績の良い秋田県に学ぼうと視察・研修が盛んなようだが、子どもたちの帰宅後の生活の様子も把握すべきだと思う。秋田は塾通いをしている子どもの割合がなんと全国で最も低いそうだ。

*注)以下は昨年の結果に関する昨年書いた記事で今年のものではない。


1

 2012年4月に全国の小学6年生と中学3年生を対象に行われた全国学力テスト(全国学力・学習状況調査)の結果が2012年8月22日の朝刊に掲載されていた。


平成24年8月22日付信濃毎日新聞より転載(部分)

国語A、国語B、算数(数学)A、算数(数学)B、理科のテストの結果が都道府県別に一覧表で示されている。

成績をみると小学生の成績は全教科で秋田県がトップ。中学生の成績も理科を除く教科で秋田県はトップだ。ちなみに中学の理科の成績が秋田県より上位なのは、富山、石川、福井の北陸3県のみ。

なぜ秋田県は成績がいいのだろう・・・。 教える側、教師の能力の違いによるのだろうか。それとも教わる側、子どもたちの能力の違いによるのだろうか。

私は後者、子どもたちの学習能力の差によるところが大きいのではないかと思うのだが、このことを実証する、根拠を示して説明することはできるだろうか・・・。

小学生の夏休みの自由研究からノーベル賞級の研究まで、仮説を立て、それを明快な理路によって実証するという基本的な構成は同じだ。

なぜ秋田県は成績がいいのか実証するのは無理だとしても仮説を立てることはできるだろう。以下、眉唾な仮説。

公立校の教師より私立校の教師の方が教え方が上手く、いや上手いかどうかは別として子どもたちによい成績を収めるように教えることに長けている(と思われている)。

でも上表に示された国公私立と公立の全国平均正答率に有意な差がないことから(って解釈していいのかどうか、統計学の素養が全くないから分からないが)、テストの成績には教える教師の能力はほとんど関係ないということが分かる(これ、ホントかな)。

テストの成績はやはり子どもたちの学習能力によるのだ。では一体、学習能力に差をもたらす要因ってなんだろう・・・。

私は国語の能力が大きく関係していると思う。数学の問題や理科の問題も言葉で考えるのだから。そう、論理的な思考は言葉、国語力が基本になるのだ。そういえば数学者には優れたエッセイを書く人が多い(ってホントかな)。

確かに秋田、富山、石川、福井の小学生6年生たちは国語の能力が高いことがテストの結果に出ている。国語B(基礎的な知識を問うのがA、活用力を見るのがB)の成績はこの4県だけが60点を超えている。ちなみに中学3年生の国語Bの結果も秋田県がトップで唯一70点以上の得点。

一体何がこれらの県の子どもたちの国語の能力を高めているのだろう・・・。

家庭環境が大きく影響していると考えるのが妥当だろう。子どもたちは普段の生活時間の大半を家庭と学校で過ごしているのだから。

秋田県は三世代同居率が高い(平成19年の調査では山形、福井に次いで全国で3番目)。このことから三世帯が同居する家庭内で活発に交わされる会話が子どもたちのコミュニケーション力を高めているのではないかという仮説が浮かぶ。

確かに山形県や福井県の中学3年生の国語Bの成績も高い。福井は2番、富山が3番、山形は富山に次いで4番。


■ 以前書いた関連記事に加筆してここに再掲する。

何年か前のこと、東京で開催されたあるセミナーで興味深い調査結果が報告された。宮城県内のある都市(確か仙台だったと思う)の小学校の子どもたちにあるミッションが課せられた。それは、学校の近くの老人福祉施設のおじいちゃん、おばあちゃんと知り合いになっていろいろ話しをするというものだった。

子どもたちは施設に何回か通ううちにおじいちゃん、おばあちゃんと知り合いになって学校での出来事などを話すようになっていく。内気でなかなか話し掛けることができない子どもには、施設の職員がサポートをしたそうだ。

親しくなったおばあちゃんがある日突然いなくなってしまう・・・。おばあちゃんが亡くなってしまったことを知らされると、子どもはポロポロ涙をこぼして泣き出してしまう。寂しさや喪失感を初めて感じる子どもたち。

さて、冒頭の興味深い調査報告というのは施設に通ってお年寄りといろんなことを話すようになって、子どもたちの成績が向上したということだ。この調査をしたのは主に学習参考書などを出版している会社だった。

自分の気持ちを相手に伝え、相手の話を聞く。こうして内容を共有して一緒に喜んだり悲しんだりという、コミュニケーション力が次第についてくる。そのことが成績の向上に繋がっているのではないかとする見解が示された。

核家族化の進行、地域の人たちの交流の希薄化などに伴って、子どもたちがお年寄りと話す機会が減ってしまっているのが現状だ。お年寄りに限りらない、友だちや家族とも会話する時間が減ってきているという全国的な傾向の中にあって、三世帯同居率の高い秋田県は家庭内で会話が活発に行われている(という現状認識が正しいと仮定)。この環境が全国学力テストで好成績を収めることにつながっているのではないか。

秋田県や北陸3県の子どもたちが好成績を収めている理由は決して単純なものではなく、いろんな要素が関係しているとは思うが、家庭内の良好なコミュニケーション環境が子どもたちのコミュニケーション力を高め、そのことが好成績と大いに関係しているというのが、私の眉唾な仮説だ。

さてこの仮説、風が吹けば桶屋が儲かるということわざより理路は明快だろうか・・・。


 

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人間にとって家とは何か?

2013-08-27 | g 読書日記



 ホームレスのブルーシートハウスでの生活をレポートした『TOKYO 0円ハウス 0円生活』大和書房。その生活に魅せられた著者・坂口さんが、たった3万円でモバイルハウス(動く家)をつくる。そして家とは何かという本質的な問いについて考える。



繰り返し語られるのは都市全体を自分の家のように利用するということ。住居は寝室とちょっとだけ仕事をするスペースに絞りこむ。電気は小型ソーラーパネルでまかない、水道は公園、トイレはスーパー、ガスはカセットにすると、インフラに繋がっている必要性はない。家の要素を外在化するという考え方。車輪をつけて建築基準法が規定する建築に当て嵌まらないように考えたのも「ミソ」。現行法を変えるのではなく、法律の適用外の世界に移行してしまおうという発想。

なかなか興味深い試みではある。ただ、これで社会というシステムが成り立つのかどうか。いや、このように考えることが既成概念にとらわれている証拠かもしれない。

人間にとって家とは何か?自分に最低限必要なものは何か?


 

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「終戦のエンペラー」

2013-08-18 | g 読書日記

「こんにちは~」
「Kちゃん 久しぶり。毎日暑いね。夏バテしてない?」

駅前から徒歩で某居酒屋に向かう。人気店で夕方早い時間に満席になってしまう。

「私は元気ですよ、U1さんこそ大丈夫ですか? 熱中症にかかるお年寄りが多いですけど」
「こら、こら 年寄り扱いするんじゃないって(笑)。でもまあ確かにいつまでも若くないからね。先日はお祝メール、ありがと」
「あ、いえ、おめでとうございます。でもU1さん 若く見えますよ」
「いまさらそんなこと言われてもね。でも僕としてはあっちもこっちも生涯現役でいたいけどね」

「キャハ、何ですか、若い娘に向かってあっちもこっちも生涯現役だなんてHっぽいことを」
「若い娘、ね~」
「え?今何か言いましたか?」

歩くこと7、8分。

「ここがおすすめの店」

「初めてです」

「良かった、まだ空いている。まずはビールで乾杯しよう。ジョッキでいいかな?」
「あ、はい」
「ここは焼鳥が美味いんだよ。焼鳥を適当に何本か頼もう。馬刺しも美味いけど、Kちゃん大丈夫?」
「好きですよ」

紺のTシャツ姿の店員さんに注文。

 カンパ~イ!

「Kちゃん、夏休みにどこか出かけた?」
「はい、彼氏とグアムに行ってきました、なんて言いたいところですけどね。学生時代のサークルの仲間と妙高に行ってきました。 あの、こういう質問をするって、同じことを訊いて欲しいっていうことなんですってね。U1さんはどこかに行きましたか?」
「訊いて欲しいと思っていることをまず相手に訊く?そうかな」
「ええ、そうらしいですよ」

「ここ何年も夏休みに出かけたことは無いんだよね。夏休みの宿題やってた」
「え? 宿題、ですか・・・?」
「そう、庭の草むしりと、塩尻の火の見櫓観察。それから映画」
「宿題って・・・。相変わらずヤグラーオジサンしてますね、ヤグラー爺さんか。映画って「風立ちぬ」ですか?」
「何だかいつもと違って今日はキツイね、まだそんなに飲んでないのに。宮崎駿じゃないよ」
「じゃあ「少年H」?」

「僕は中年H。「少年H」は前に原作を読んでいるから映画はいいよ。「終戦のエンペラー」を観た」
「「終戦のエンペラー」ってあの缶コーヒーのCMに出ている、え~と、何ていいましたっけ。何とかジョーンズがマッカーサー役で出ている映画ですよね」
「そう、トミー・リー・ジョーンズ」
「どうでしたか?」
「マッカーサー、連合国軍総司令部マッカーサー元帥か、の部下のフェラーズという人物が昭和天皇の戦争責任について調査するという話でね、10日間で調査して報告書にまとめて提出せよと命令されてさ。そこに戦争前に日本からアメリカに留学していたアヤっていう女性との恋愛話がからんできて・・・」

「ということは単に戦争終結時の謎解きミステリーではないんですね。天皇とマッカーサーのツーショット写真が撮られた経緯がはっきりするというような・・・。そんな映画だって聞いてますけど」
「戦争で引き裂かれた男女の悲恋ものがたりとしても観ることができる、そういう映画」
「そうなんですね。やはりラブストリーの要素は映画には欠かせないですよね。「風立ちぬ」もそうでしょう?確か中村雅俊も出てますよね。しばらく前偶然テレビで見ましたけど。撮影の時のエピソードを語ってました。出演料を1週間単位だったかな、現金でもらっていたとか、かなりの額」

「あ、そう、知らなかった。彼は近衛文麿の役だった。西田敏行もなかなかいい演技してたな。役づくりでかなりやせてね、浜ちゃんとはまるで別人。東條英機役の火野正平や夏八木勲、伊武雅刀・・・。日本人俳優もなかなか存在感のある落ち着いた演技をしてたよ。これはお盆に観る映画だと思う。玉音放送を巡る陸軍兵士の反乱というか、クーデターか、これも出てくる。これは「日本のいちばん長い日」っていう映画にもなったけどね。加山雄三がまだ若くて、アナウンサー役で出てたっけ」

「私知りません、その映画」
「たぶんKちゃんが生まれる前の映画だと思う」
「私若いですから。私も映画観ようかな。最近観てないんですよ」

「大空襲を受けて焼け野原と化した東京の街って、東日本大震災の被災地から映像的なイメージを得たらしいから、どこか似てたような気がする」
「すごいオープンセットですって?」
「そう。どこだっけ、ニュージーランドだっけ」


「西田敏行が戦争が始まる直前に日本に来た、帰国してしまった彼女に会いにね、それだけが目的じゃないと思うけど、フェラ―ズに日本人とは何か、欧米人が知りたがる日本人の根底にある精神性、それも神道に関わる精神性、さらに天皇陛下への特別な忠誠心とかをレクチャーする場面があるけど、そのような面の解説」
「ええ」

「なんだろうこの映画のメッセージは・・・。まあ、戦災で焦土と化した国を立て直した日本よ、日本人よ、大震災にもめげず、ガンバレってことかなあ」

「まじめな話をしながら飲むと酔いませんね、おかわりしましょうか?」


 

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並び立つ庚申塔と道祖神

2013-08-16 | g 道祖神〇


塩尻市上西条の庚申塔と道祖神

庚申塔は大正9年(庚申の年)の建立。道祖神は右側面に建立年が彫り込んであったが読みとれなかった。



庚申塔の手前の線香立ては黒御影石を加工したもの。後年設置されたのだろう。三猿を三尸になぞらえている。眼や耳や口をふさいでいるので悪事が見えない、聞こえない、天帝に報告できない。



  

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428 429 塩尻市西条の火の見櫓

2013-08-16 | g 火の見櫓観察記

 
428

上西条 松原区公民館の敷地に立っている簡素な火の見櫓です。




見張り台の床にエキスパンドメタルが使われています。手すりは平鋼を付けただけの簡素なもの。


 
429



JRのみどり湖駅のすぐ近くに立っている火の見櫓?

 よく見かける火の見櫓とは印象が違います。これは別の用途(例えば送電鉄塔とか無線アンテナ用鉄塔とか)の鉄塔を櫓に転用したのではないか、と推察します。いやこれはそもそも火の見櫓ではなくて、防災無線鉄塔なのかもしれません。

半鐘があれば間違いなしですが、半鐘を撤去してスピーカーを替わりに設置した火の見櫓もあるので判断というか区別がつかないのです。でもまあ、同類ということで挙げておきます。
既に書いたように(過去ログ)これは認識論に関わる問題です。

本来、機能によってものが何であるのかを認識すべきところを、外観、つまり見た目によって判断・認識してしまうという問題です。 例えば使わなくなったバスを公園の隅に停めて、そこでカフェを始めたとしましょう。 近くを通りがかった人はカフェではなくバスと認識するでしょう。仮に中でカフェをしていることが分かったあとでも「バスでカフェをしている」という認識になるでしょう。

火の見櫓から半鐘がとり外され、防災無線用スピーカーが設置された時から、火の見櫓ではなく、防災無線塔なのです。にもかかわらず火の見櫓だと認識してしまう・・・。同様に上の写真を見た時、火の見櫓だと認識してもあながち×だとはいえないでしょう。

火の見櫓とは何か 再定義が必要なのかもしれません。


 

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― 火の見櫓観察 屋根の飾り

2013-08-16 | g 火の見櫓観察記

本稿では前稿に挙げた火の見櫓観察ポイントのうち、
 火の見櫓を構成する各部の様子 
30 屋根の飾り(避雷針と飾り、蕨手、その他)に注目してみます。




屋根のてっぺんには避雷針が付けられています。その避雷針に飾りが付けられていることが多いです。飾りのデザインは様々です。①はハイテクな印象の飾りで、なかなか凝っています。



この屋根飾りはあっさりしていますが、まあこのくらいが普通かもしれません。下り棟の先(立体図形の言葉で言えば、稜の下端)に例の「くるりんちょ」、蕨手(わらびて)が無いのでなんだか落ち着きません。




これは①とはデザインが違います。①は平鋼を曲げ加工した飾りですが、こちら③は丸鋼を使っています。蕨手も同材でしょう。このように同じ材料が使われていると屋根の飾りに統一感が出ます。私はこのタイプが好きです。

このデザインの要素を増やさないということに関しては ミース・ファン・デル・ローエという建築家の巨匠が唱えた「Less is More」という美意識に通じるものがあるかもしれません。いや、ミースはこのような装飾には否定的でした。ロバート・ベンチューリがミースの言葉に異を唱えた「Less is Bore」という美意識と解すべきかもしれません。

火の見櫓観察はまだまだ続きます。


 

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只見線沿線の民家

2013-08-15 | g 茅葺きの民家〇




民家 昔の記録  只見線沿線の民家 撮影日19821003

 30年も前に出かけた時の記録。会津若松の宿では蔵座敷に泊めてもらった遠い記憶がある。

この時は只見線を走る列車の窓から何枚も民家の写真を撮った。サービスサイズのプリントで整理してあるが本稿に載せたのはその内の2枚。

下は棟に置き千木を15以上も載せてある茅葺きの民家。こんな健全な状態の民家はもう残っていないだろう・・・。

ローカル色豊かで窓外の景色が美しいことで知られる只見線。また出かけたい・・・。


 

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「ヒマワリはなぜ東を向くか」

2013-08-13 | g 読書日記



 なぜヒマワリは東を向いて咲いているのか・・・。先日同僚のI君と某カフェで窓の外のヒマワリを見ながらこのことを話題にした。

『ヒマワリはなぜ東を向くか』瀧本 敦/中公新書を読んでいたが、もう何年も前のことで(読んだのは1986年)、理由をはっきり覚えてはおらず、きちんと説明することができなかった。

自室の書棚からこの新書を取り出してパラパラとページを繰ってその理由が書かれているところをさがした。

**ヒマワリは芽生えのときだけでなく、つぼみをつけたあとも依然として太陽を追って首を振っている。しかし、つぼみの中に黄色い花弁がちらほらと見え出すころから、西方向への首振り角度が日に日に小さくなり、首振り幅をだんだん小さくしながら花はどんどん東に傾く。そして完然に開いたころには、花は東を向いたまま運動をやめてしまう**(32頁)

なぜか?

その理由について著者はオーストラリアの学者の説をひいて**東を向いていると朝日があたり、夜露が早く乾燥するので、病原菌のまんえんを防ぐことができる**(34頁)と書いている。

更に続けて**この説明を納得するかしないかは読者の自由である。**と書いている。実はこの本については以前も取り上げていて、その時にはこの説に納得したのだが、今回はどうも納得できない・・・。

花の向きによって本当に夜露の乾燥時間に差がでるものだろうか。このことについては本書では触れていない。まあ、差は出るかもしれない。だがそれが病原菌の蔓延に差が出るほどの違いとなるものだろうか。このことについて実証されているのだろうか・・・。

 


**花が東を向くというのは、茎の先端に一つだけ花をつけるヒマワリの場合でして、一本の茎にたくさんの花をつける品種ではそうはいきません。**(26頁) 前稿の写真参照


 

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― 残暑お見舞い申し上げます

2013-08-13 | g 火の見櫓のある風景を撮る〇


朝日村西洗馬にて 撮影日130812

 昨日(12日)、高知県の四万十市で国内観測史上最高の気温41.0℃を記録したそうですね。長野県でも飯田市南信濃で県内観測史上最高の39.1℃を記録したと今朝の新聞記事にあります。

まだまだ暑い日が続きそうです。皆さん、くれぐれもご自愛ください。


 

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「伊勢神宮」を読む

2013-08-12 | g 読書日記

 前稿に書いたが先週末東京駅前の丸善で『伊勢神宮 日本人は何を祈ってきたのか』三橋 健/朝日新書を買い求めた。オアゾの丸善は何年か前までは比較的空いていてじっくり本探しができた。が、この頃はだいぶ混雑するようになった(なってしまった)。

当然のことながらこの本は式年遷宮のことにも紙幅を割いていて、式年遷宮の年表も載っている。690年に最初の式年遷宮が行われ、その後はほぼ20年ごとに行われてきたことが分かる。戦国時代に120年以上も行われなかった遷宮は江戸時代にはきっちり20年毎に行われていて、明治42(1909)年、昭和4(1929)年と続く。次の昭和24(1949)年は戦後の混乱で延期され、4年後の昭和28(1953)年に行われた。ここにも縁を感じる。4年延期されたことで昭和28年になったのだから。

*****

伊勢神宮の神域という聖なる空間に身を置いてみて、ここが日本人の心のふるさとなのかもしれないな、ここが日本人のふるさとなんだと言われたら受け入れてもいい、と思った。

さて、これからは来年の秋に予定されている高野山詣でに備えて空海に関する本を読んでみようと思う。これは知らないことを知りたいという欲求に因るのもで、その対象は何でもいい。別に信心深いわけでもなんでもない。




 

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トラヤで「猫」を読む

2013-08-11 | g 読書日記


KITTE内に復元されている旧東京中央郵便局長室から東京駅を望む
撮影日 130810

東京の夏はやはり暑い。少し涼もうと東京駅の2Fにあるトラヤトウキョウへ。トラヤは上の写真に写っているドーム状の屋根の手前の所にある。

カウンター席に案内される。人工大理石の白いカウンターに竹の集成材のトレーがセッティングされている。コーヒーを飲みながら『吾輩は猫である』を読む。



隙間時間読書で何日もかかったがようやく読了。今回はこの長編小説を苦沙弥先生と友人たちが交わす教養談義録と括っておこう。(過去ログ

その後、東京に出かけると必ず立ち寄るオアゾの丸善へ。『伊勢神宮』三橋 健/朝日新書を買い求めて新宿へ向かう。


 昨日(10日)は松本発6時51分のスーパーあずさで出かけたが、大月を過ぎてまもなく(鳥沢、梁川間)踏切事故が起きて列車が急停止。私の乗っていた車両の進行方向左側に事故を起こした青い軽トラックが止まっている・・・。現場検証で45分くらい遅れて運転再開。新宿駅に1時間20分くらい遅れて到着した。この事故の影響で中央線のダイヤが終日乱れた。



 

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「マンボウ思い出の昆虫記」

2013-08-09 | g 読書日記



 このところ多忙を極めており、書店に出かける時間もない日が続いている。今朝、出勤時にようやく24時間営業の書店に立ち寄って北杜夫の『マンボウ思い出の昆虫記 虫と山と信州と』信濃毎日新聞社を買い求めた。

上の写真に写っているが、この本の帯には**永遠の昆虫少年 北杜夫の原点へ**とある。続けて**少年時代の昆虫採集、松本高校での生活 北アルプスへの登高、軽井沢での交流、昆虫愛好家との晩年のつきあい・・・・・旧制松本高校時代に書いた幻の記録『思出之昆虫記』を特別収録**と記されている。

北杜夫ファンとして、これは自分の書棚に並べておきたい本だ。

明日、所用で千葉まで出かける。往復の列車内でこの本を読むか、まだ読み終えていない漱石の『吾輩は猫である』を読むか、迷うところ。


 

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ブックレビュー 2013.07

2013-08-04 | g ブックレビュー〇

■ この頃あまり読書に時間を割いていない。7月の読了本は2冊のみ。



『植物のあっぱれな生き方 生を全うする驚異のしくみ』 田中 修/幻冬舎新書 

花粉がメシベの先端についたら、どのようにして精細胞を卵細胞に到達させるのか?

花粉がメシベの先端につくと卵細胞のごくかたわらまで花粉管と呼ばれるごく細い管を伸ばし、管の中を精細胞を移動させて卵細胞に到達させて合体させる。しかもメシベに自分の花粉がついたときには花粉管を伸ばさない「自家不和合性」と呼ばれる仕組みを備えている植物もある。

この本には「へ~、知らなかった。植物ってすごい!」という情報が満載。

全編を通じて植物に対する著者の深い愛情が感じられる。


 



『どんぐりハウス 3.11生活復興支援プロジェクト』 杉本洋文/東海大学出版会

木造建築を専門とする著者が開発した仮設建築システムの紹介。たった3種類の部材から成る構法。必要な材料は木柄が小さく、間伐材を利用できるから地元で調達も可能。もちろん素人で建設可能。自立型の太陽光発電システムとバイオトイレを備える。

被災地の実態が考慮されたシンプルで合理的なシステム。すばらしい!拍手!


 

 

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妻垂れ

2013-08-03 | g 民家・町屋の観察〇

   
伊勢の張り出し南張り 撮影130729

 伊勢神宮の式年遷宮の御白石持行事に参加したことは既に書いた。おはらい町で奉曳の開始を待つ間、路上観察した。通りに妻面を向けた民家が連なる。

伊勢の民家の外壁はささらこ下見板張りという構法。張り出し南張りと呼ばれる垂れ壁を見ていて「妻垂れ」を思い出した。妻垂れは鹿児島から高知、和歌山、三重の南部、飛騨、諏訪など、広く分布している。


民家 昔の記録 高知にて 撮影198003 

昔 四国の民家巡りをしたとき、高知で妻垂れを見たことを思い出した。30年以上も昔の写真をこのように公開することになろうとは・・・。

塩尻にて 撮影100412


飛騨高山にて 撮影090724

妻壁に雨がかからないようにするとなると、このような方法に限定されるのだろう。


 

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