透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

季来里の野菜カレー

2017-06-27 | F ダムカレー



■ 今日の昼食はJA松本ハイランドの直売所「ファーマーズガーデンうちだ」の敷地内にある「季来里」の野菜カレー。素揚げした大きな野菜のトッピングが色鮮やか、味も良い。 カレーはやや甘口。



カテゴリーを「ダムカレーを食べよう」ではなく、「カレーを食べよう」に替えた方がいいかもしれない。


 


黒部ダムカレーカード

2017-06-27 | F ダムカレー



黒部ダムカードは19種類あるそうです。

全部集める? 

いや、それは考えていません。

A✛G って何? アーチ式と重力式、黒部ダムの形式なんですね。

国土交通省のホームページに出ていました。

右上のPは? 

豚のポーク、pork かなと思いました。

違いました。

ダムの目的でPは発電、powerでした。




 


なぜ花びらが5枚の花が多いのか?

2017-06-24 | A 読書日記

 サクラ、ウメ、モモ、ナシ、リンゴ。バラ科の花は花びらが5枚。ツツジ科も5枚。ナス、ジャガイモ、トマト、スイカ、カボチャ、メロン。ナス科やウリ科の花も花びらが5枚。




下諏訪町にて

今読んでいる『ウニはすごい バッタもすごい』本川達雄/中公新書になぜ花びらが5枚の花、5弁花が多いのか、その理由(仮説)が示されている。

花弁はただ見せるだけの看板ではなくて、虫を花の中央へと導く滑走路のようなものではないか、と本川さんは考えている。私は文意から滑走路より誘導路とした方が良いのではないかと思うが、文中では滑走路という言葉が用いられているので以下の文章でも滑走路を用いる。

1本の滑走路は両方向から誘導することができるから3本の滑走路が三菱のマークの3つの菱型のように(図解しないで説明するのは難しい。このことを以前ラジオ番組で火の見櫓の形について話したときに実感した)放射状に伸びている場合は6方向誘導できる。だが6本の滑走路が放射状に伸びていても、3本の場合と同じ6方向のみ。4本の滑走路が放射状(十字型)に伸びていても誘導できるのは4方向のみ。だが、5本の滑走路が放射状に伸びていれば10方向から誘導することができる。このように偶数より奇数の滑走路の方が効率的に誘導することができることを本川さんは図解している。

--- この滑走路に左側からアプローチすれば〇(着陸ポイント)から一番離れたところに着陸してしまい、引き返してこなくてはならないのでは? と私は思ってしまったが、上述したように滑走路は誘導路であって、を頼りに---のコースを取って〇に着陸すると理解した。この場合 ---は と同じことだから1本の滑走路でも直列している2本の滑走路でも2方向しか誘導できない。このように偶数の場合は滑走路の数しか誘導できない。

3本―  6方向
4本―  4方向
5本―10方向
6本―  6方向

3枚から6枚までの花びらの数では5枚の場合が最も多い10の方向から虫を誘導でき、それだけ受粉の確立が上がり効率が良くなる。ただ、花びらが7枚以上になると隣がごく近いために誘導路の見定めが難しくなり、最適数は5枚。これが5弁花が多い理由というわけ。なるほど!

では花が横向きに咲いている場合も同じこと? 虫は飛行機とは違って下から上に向かってアプローチすることもあるのだろう、と自問自答。

この本はおもしろい。


 


きそむら道の駅 げんき屋のカレー

2017-06-24 | F ダムカレー



 木曽で所用を済ませ、食事をしようと木祖村(漢字表記は木曽ではなく木祖)の道の駅にある食堂・げんき屋へ行った。

昨年の今ごろここでダムカレーを食べた(過去ログ)。もし、今もダムカレーがあれば食べようと思ったのだが、残念ながらなかった。それならと、「普通」のカレーを注文した。ルーとごはんがきっちり分かれていて、重力式ダムに見えてしまった。 脳には対象を望むものに見ようとするクセがあるらしい。

大きなクリームコロッケと野菜入りのカレーは美味だった。カレーはごはんの量が多いから、頻繁に食べると体重が増える。要注意!





 


豚のさんぽの黒部ダムカレー

2017-06-21 | F ダムカレー

 所用で大町へ 。時間を調整して昼時に出かけるようにして、大町駅前の豚のさんぽで黒部ダムカレーを食べた。今回は2種類のルーが味わえる「あいがけ黒部ダムカレー」にした。  



黒部ダムは工事が始まってから設計変更している。両岸の岩盤が脆いことが調査によって判明し、アーチ式ダムの両翼に重力式のウイングダムを付けたのだ。このことから黒部ダムは独特の形になったのだが、豚のさんぽのライスダムにはちゃんとウイングが付いている。


スコップ形のスプーン

完成したダムの出来形検査を実施した。堤体長はコンベックスで実測したが、それ以外は目視による。

ダム型式:アーチ式ライスダム
堤体長: 約20cm(ただしウイング両端間の距離であって堤体の実長ではない)
堤体幅:   約4cm
堤体高:   約5cm
堤体重量:約300g(施工会社の仕様書による)
施工業者:豚のさんぽ(JR大町駅前)
2色のダム湖に浮かぶ遊覧船・ガルベ:ほぐしチャーシュー


施工会社の外観


 

今年度の黒部ダムカレー施工業者リストに「手打ちうどん しずかの里」という美麻にある会社が追加されていた。





「ウニはすごい バッタもすごい」

2017-06-21 | A 読書日記



 先日NHKのラジオ深夜便の「明日へのことば」で聞いた生物学者・本川達雄さんの話は実に興味深く、おもしろかった。それで書店で本川さんの近著『ウニはすごい バッタもすごい』中公新書を買い求めて読み始めた。

本川さんの『ゾウの時間 ネズミの時間』中公新書を読んだのは93年2月のことだった。ということは、それからもう24年経っていることになる。時の経つのは本当に早い。

**動物のサイズが違うと機敏さが違い、寿命が違い、総じて時間の流れる速さが違ってくる。行動圏も生息密度も、サイズと一定の関係がある。ところが一生の間に心臓が打つ総数や体重あたりの総エネルギー使用量は、サイズによらず同じなのである。(後略)**『ゾウの時間 ネズミの時間』のカバー折り返しにこの本の内容が紹介されている。興味深く読んだという記憶がある。

『ウニはすごい バッタもすごい』もおもしろい。

**クチクラは昆虫の体という「建築物」をつくっている材料であり、建築材料として見れば、繊維と基質という異なる素材が組み合わされた繊維強化複合材料とみなせるものである。(中略)繊維のようにひも状のものは、引っ張られたら強く抵抗するが押されたらへにゃっと曲がって抵抗できない。逆に基質のように塊になったものは、押しつぶす力(圧縮)にはそれなりに強いが、引っ張られるとボソッと切れてしまい、もろい。(中略)繊維と基質はそれぞれの弱点を持っているのだが、二つを組み合わせると弱点を補い合って、引っ張りにも圧縮にも強い材料になる。**(39頁)

この説明は繊維を鉄筋、基質をコンクリートに読み替えれば、このまま鉄筋コンクリートにも当てはまる。

自然が創り出したものは理に適っているから、人が後からつくるもののお手本になっている。以前書いたが、鉄骨造の柱と梁の取り合い部分は竹によく似ている。竹の節は鉄骨柱のダイヤフラムで、竹の枝は節から出ているが、鉄骨造の梁もダイヤフラムから出す。

コンクリート充填鋼管にはバナナという自然が創ったお手本がある。バナナは皮をむく前に折ろうとしてもなかなか折れない。皮をむいてしまえば、簡単に折れるのに。

**(前略)クチクラの繊維を一定方向にそろえて基質に埋めて薄板状にし、その薄い板を何枚も、少しずつ繊維の方向を回転させながら重ねて多層構造にしている。**(39頁)

建材のべニア板はこれと同じ発想でつくられているが、繊維方向を縦横90度変えて貼り合わせているだけ。昆虫のクチクラの方がすごい。

クチクラ(ラテン語がもとになった言葉)は昆虫の外骨格(脊椎動物の場合は内骨格)をつくっている材料で、英語ではシャンプーのCMによく出てくるキューティクル。

クチクラは昆虫の体をすっぽりと覆っている箱のようなものだが、羽を1秒間に100回を超すほど速く振動させることができるのもこのクチクラのおかげだという。この本にはそのメカニズムが図解を交えて分かりやすく説明されている。

確かにバッタはすごい!!

この本はおもしろい。


 


「スマイル!」を読んだ

2017-06-18 | A 読書日記

 沢木耕太郎の『深夜特急』を単行本で読んだのは何年前だろう。本に出てくる都市の名前を世界地図で確認しながら読んだことを覚えている。



昨日、自転車で世界一周した岡谷市の小口良平さんの講演を聞いたことは前々稿に書いた。講演の後、買い求めた『スマイル!』河出書房新社を昨晩読んだ。

本には小口さんが訪ねた世界の国々で撮ったカラー写真が何枚も載っている。交通事故に遭って前歯を折ってしまったり、感染症にかかったり・・・。でもどこの国にも親切な人が必ずいて、トラブルに手助けをしてくれたという。

**言葉もほとんどわからず、何もかも初体験だったアフリカ。そんな中でも「こんにちは」「ありがとう」「おいしい!」という“魔法の3つの言葉”と、とびきりの笑顔さえあれば、すぐにみんなと仲良くなることができた。僕はここでの出会いを通して、「世界に人種や言語の壁などない」ということを実感した。** アフリカの子どもたちと一緒に撮った写真にはこのような言葉が添えられている。昨日(17日)の講演でも小口さんは「人に国境はない」と語っていた。

第1章 地球一周旅への助走
第2章 アジア・オセアニア
第3章 ヨーロッパ・アフリカ
第4章 南北アメリカ
第5章 夢の持つ魔法の力

この本には約8年半に及んだ自転車旅の記録がこのような章立てで綴られている。

一度きりの人生、こんな風に使える人が羨ましい。

この手の旅行記が好きで今までに何冊か読んだ。命を失うかもしれないようなトラブル覚悟で旅に出る勇気のない私は本を読んで追体験(にもならないのかな)するのみ。

第4章の最後の世界地図に移動ルートと訪ねた国名リストが載っているが、この地図がもっと大きくて(大陸別でもかまわない)、通過した都市名まで記入されていればなぁ、と思った。

小口さんは本に百聞は一見にしかず、百閒は一験にしかず と書いている。実感だろうなぁ。


書棚を探すとこんな本が見つかった。読んだことも忘れていた『シルクロードがむしゃら紀行 女ひとり一万キロ』大高美貴/新潮社 奥付けに記された発行日は2001年1月20日。この本が出てきたのも縁、再読してみよう。




 


834 木曽町三岳の火の見櫓

2017-06-18 | A 火の見櫓っておもしろい

■ 今月10日に木曽方面へ火の見櫓とマンホール蓋のツーショットを撮りに出かけた。

この日はあらかじめ火の見櫓の所在地を調べていた。木曽町三岳(旧三岳村)のこの辺りにも火の見櫓が立っていることが分かっていたので、王滝村からの帰りに行ってみた。県道20号から脇道に入り坂道を車で進んで行くと道が二手に分かれていた。右は下り坂、左は上り坂。さてどっちだろう・・・。上り坂を進んできたので、その連続性を意識したのだろう。左、と判断して進んで行ったが見つけることができなかった。この日はあきらめて帰った。帰宅して改めて調べて右の道を進んだところにあることを確認した。昨日(17日)の午前中にまた行ってきた。たった1基の火の見櫓を見るために往復100km。


834 木曽町三岳橋渡 撮影日170617

 4角形の櫓に4角形の屋根と見張り台。屋根の反りが大きい。カンガルーポケットの踊り場。見張り台と踊り場の床は鋼板張り。梯子段の数とその間隔により、見張り台の床の高さはおよそ10.5m、そこから屋根のてっぺんまでのおよそ3mを加えて総高をおよそ13.5mとみた。



下の踊り場に半鐘が吊り下げてあるが、これは見張り台から移したものだろう。ここまでは櫓の外側に梯子が掛けてある。

火の見櫓の向かいの家のおばさんと話をした。この辺りの地名を訊いたのがきっかけだった。

「危ないから撤去して欲しいと町にお願いしているんですが、この上に住む人からこれは貴重なのもだから残した方がいい、と言われているんです」
「長野県は火の見櫓が多いんです。でも、もう使わなくなりましたからあちこちで撤去しています。できればこのままにしておいて欲しいです。昭和30年ころから盛んにつくられましたが、このくらいの火の見櫓だと、当時のお金で15万くらいかかっていると思います。今のお金だと500万くらいになりますかねぇ」
「そんなに・・・。これ、倒れませんか?」
「大丈夫でしょう。住宅のような壁がないから、風も抜けてしまうし、こういう形って地震にも強いんです。でも一番下の奥の✖(ブレースのこと)が外れていますから、直した方がいいと思います」




柱と梯子に水平材を架け渡して半鐘を吊り下げている。消防信号板を梯子に付けてあるから、見張り台まで登ることはもう無いと判断したのだろう。



露出柱脚は珍しい。


 


89 自転車で世界一周した冒険家

2017-06-17 | C 名刺 今日の1枚



89枚目  自転車で世界一周した小口良平さん

2007年3月から約1年かけて自転車で日本を一周し、その後2009年3月から7年半かけて世界を一周した小口良平さん(長野県岡谷市出身)の講演会が17日の午後1時半から塩尻のレザンホールであった。

講演で印象に残ったのは、「こんにちは」「ありがとう」「おいしい」この3つのことばと笑顔さえあれば世界中の人たちと仲良くなれるという話だった。

「こんにちは」ということばで相手に関心を持ってもらい、何かしてもらったら「ありがとう」で自分の心を開く。「おいしい」ということばは相手の国の食文化をほめて、その文化を受け入れることになる。

それから「百聞は一見にしかず、百見は一験にしかず」ということばにも説得力があった。

講演会のあと買い求めた小口さんの著書『スマイル! 笑顔と出会った自転車地球一周 157ヵ国、155,502km』にサインをしてもらった。その際渡した名刺が89枚目だった。


 


― 丘の上に立つ火の見櫓

2017-06-17 | A 火の見櫓っておもしろい


(再)木祖村小木曽の火の見櫓 撮影日170612

 昨年(2016年)の5月、木祖村から旧奈川村に向かって県道26号を走っていてこの火の見櫓を見つけた。脇道に入り狭い生活道路を上っていき近くまで行ってきた。(過去ログ) その時、いつか再訪して下に見えていた県道から丘の上に立つ様子を撮りたいと思っていたが、先日その機会があった。

火の見櫓の立地条件として集落を一望できることが挙げられるが、その一方でいち早く火の見櫓に駆けつけることができることも挙げられる。このふたつの条件は相反する場合が多く、後者の条件を優先している場合が多い。従ってこのような小高い丘に火の見櫓が立っていることは少ない。木祖村のこの辺りは民家がまとまって集落を形成しているわけではなく、分散している。このような状況を踏まえて遠くまで半鐘の音が伝わるように、と丘の上を選んだのかも知れない。

いや、このような明確な理由で選んだわけではなくて、たまたま丘の上に敷地が見つかった、という単純なことなのかも知れない。世の中、案外このようなことが多いのではないかと思う。


 


833 筑北村坂井の火の見櫓

2017-06-17 | A 火の見櫓っておもしろい


833 筑北村坂井 撮影日170611

■ 松本から上田へは三才山トンネルを抜けて行く国道254号のルートが一般的だが、麻績村から旧坂井村(現筑北村坂井)を通って青木村へ抜ける県道12号のルートもある。このルートは多少距離は伸びるが、三才山経由より交通量が少なく、途中きついカーブが何ヶ所かあるが走りやすい。今月11日に上田へ出かけた時はこのルートで往復した。

帰路、筑北村坂井でこの火の見櫓を見つけ、狭い坂道を上って近くまで行ってみた。

この様なこげ茶色の火の見櫓は緑豊かなこの季節には風景に同化していて目立たない。



空き家もある小さな集落に立つこの火の見櫓、存在すら忘れられてしまっているのではないか、しばらく眺めていて感じた。こげ茶色から錆を連想してしまうこともそう感じてしまう一因だろう。やはり火の見櫓はシルバーに輝く、凛とした姿の方が好ましい。


 


832 上田市仁古田の火の見櫓

2017-06-16 | A 火の見櫓っておもしろい


832 上田市仁古田 撮影日170611

サントミューゼから帰る途中で出合った東信方面でよく見かけるタイプの火の見櫓。



逆光気味だったが、たまたま露出が適切で屋根下が暗くならず半鐘を吊り下げている様子が写っていた。柱の上端を繋ぐ部材に水平部材を掛け渡し、その中央に取り付けたU形のフックに半鐘の龍頭を掛けている。

見張り台の手すりの飾りはエレガント。梯子を見張り台の床面から更に上に伸ばし、更に端部を曲げている。端部を曲げておかないと消防団員の法被が引っ掛かったりする。その高さで柱に手すりを取り付けてある。この辺りの扱いに安全上の配慮、気配りが感じられる。


 


「ナマコに学ぶスローライフ」

2017-06-14 | A あれこれ

■ NHKラジオ深夜便の朝4時過ぎからのコーナー「明日へのことば」を今朝(14日)も聞いた。

今朝のゲストは生物学者の本川達雄さんだった。本川さんは『ゾウの時間 ネズミの時間 サイズの生物学』中公新書で有名になった。

話の中で興味深かったのは、生き物は多様だけれど形の上での共通性は円柱形だという捉え方、認識。ヒトの指も円柱形、首も円柱形、胴体も円柱形。ヘビもミミズも円柱形、木の枝も円柱形。ここで言う円柱形は幾何学的な形として厳密なものではもちろんなく、輪切りにした時の形が円形ということだと理解した。タコの脚も、バナナもこの意味では円柱形だ。

なぜ生き物は円柱形なのか?

平たい形は薄い方向に弱いけれど、円柱形には弱い方向が無いというのが答え(ということでよかったと思う)。

この話題の他にはハツカネズミもヒトもゾウも心臓の鼓動が15億回で寿命だということ(この話は『ゾウの時間 ネズミの時間』に出ていたような気がする)。ヒトの場合、60回/分として電卓を叩いて自然の寿命を計算すると47年半くらいになる。話の中では自然の寿命は41、2年とのことだった。安静時は60回くらいだが、もっと多いことももちろんあるから納得できる数字だ。

その倍くらいの今の寿命は技術がつくり出したもので人工生命体だという話に、なるほど、確かにと納得した。便座は温まっているし、冷暖房の効いているのも寿命を延ばす。たくさんのエネルギーを使って寿命を技術的に伸ばしている。

本川さんは35年間ナマコの研究を続けてきて、ナマコに人生のあり方を学んだ、というかナマコの生活から人生を考えたそうだ。ナマコは海底に天国をつくっていると本川さんは言う。何もしない、じたばたしない、エネルギーをほとんど使わないナマコ的生活は今の社会、現役時代には無理。でも定年後は生活を便利にしてきたものをできるだけ遠ざけてそのような生活をすべきだと語っていた。

話の内容に感じ入り、本川さんの著書『ウにはすごい バッタもすごい』中公新書をさっそく買い求めた。


 


わかりにくいのであれば

2017-06-14 | A あれこれ








 上田市のサントミューゼには先月(5月)出かけ、吉田博展(~6月18日)を鑑賞してきたが、今月11日に再び出かけた。吉田博展に行ってきた人から館内が分かりにくいという声を聞いて、なぜ分かりにくいのか、その理由を知りたいと思ったから。

模型(写真⓪、①)で分かる通り、サントミューゼは円環形の回廊に沿って劇場・ホール、美術館をはじめ必要諸室を配置する構成だ。

駐車場に車を停め(写真⓪の模型に表現されている駐車場)、正面エントランスから館内に入ると、正面に円環回廊に縁取られた美しい芝生が目に入る。このような空間は魅力的だが、その演出故、エントランスホールの正面か側面にあることが多いチケット売り場が見当たらず(写真②)、ここに初めて来た人は美術館に行きたいのだけれど、右?左? どちらに行けばよいのだろうと困惑してしまう。分かりにくいという評はこのことに因ることろが大きいのではないか。







注意して回廊を見ると、細い円柱に「吉田博展」の垂れ幕が掛けられていることに気がつき(写真②左側3人の来館者の後ろ、写真③2本の円柱)、あの先に美術館があるのだな、となんとなく分かる。

回廊が直線であれば、先まで見通せるから、③の位置から④の美術館の入口が分かるけれど、円弧状であるために先に進まないと見えない。先が見えないことを期待感が高まるということで評価する向きもあるが、不特定多数の利用者のある施設は分かりやすいことを優先すべきだと思う。(過去ログ

回廊を進むと、青い壁のところにカウンターが見えてくる(写真④)。よかった、あのカウンターでチケットを買い求めれば良いのだ、と初めての来館者なら誰しも思うだろう。ところが・・・。




このカウンターではチケットを買い求めることができない。カウンターの女性が示す先にミュージアム・ショップ(写真④で左側に写っている)があるが、そこでチケットを売っているという。このこともまた、分かりにくいという評となるだろう。ミュージアム・ショップでチケットを買い求めるという経験はしていないと思うので。

サントミューゼは2014年10月のオープンしたが、その時から美術展のチケットをミュージアム・ショップで販売してきたそうだ。ちなみにコンサートのチケットは総合案内カウンターの後ろの事務室で売っているそうだ(電話して確認した)。

しばらく様子を見ていると、カウンターでもぎりをする女性がチケット売り場を案内することが何回かあった。女性はこの日、何回このような案内を繰り返したのだろう・・・。







これだけ大きくて立派な施設に総合案内が無いはずはない。エントランスから回廊に入り、左に向かうと美術館に至るが、総合受付は右側にある。エントランスの木製ドアが写真⑦の中央に写っているが、このドアから入り、振り返って右側後方を見なければこの総合案内のカウンターには気がつかない。人の基本的な行動パターンは「前へ、前へ」だから気がつかないのだ。


⑦ 総合案内カウンターに職員が常駐していない。




サントミューゼは、劇場・ホールは赤、美術館は青というシンボルカラーを決めていて、両施設の入り口近くの大きな壁をこの色にしている。このシンボルカラーを有効に使って施設内の案内をすることを考える。例えばエントランスの真正面のガラスの壁面(写真②)にこの色で方向を示すタペストリーを吊り下げたらどうだろう。この施設の名前の由来(サント=蚕都)にもなっている上田紬のタペストリーなら最高!

要するにメインエントランスを入って右が劇場・ホール、左が美術館という情報を分かりやすく、そしてこの美しい空間に相応しいデザインで示せばよい、ただそれだけのことだ。


⑨ 表参道ヒルズの外壁に付けられた小旗、繰り返しの美学な光景 撮影2006年11月

回廊の壁面にこのように小旗を付けて来館者を誘導するという方法も有効だと思う。美術館方向へ赤を基調とした美しいデザインの小旗を繰り返し、劇場・ホール方向へ青の小旗を繰り返す。もちろん時々旗は変える。コンサートや美術展のPR旗を加えてもよいと思う。

それから青い壁の前のもぎりカウンターを美術展のチケット売り場にすればよいのだ。このようにすれば館内が分かりにくいという不評は解消されるだろう。

このような工夫によって、コンセプチュアルなプランの建築が活きてくると思うのだが・・・。


⑩ エントランスと美術館との位置関係 チケット売り場のミュージアム・ショップはこの案合図の14。




本稿のテーマには関係ないけれど、回廊の休憩スペースがこんなことになっていることも気になる。下の外観写真で分かるように、とても大きくて立派な施設なのに、地域の公民館的な運営になっているのではないか、と思う。


⑫ サントミューゼ外観 劇場・ホール 


⑬ サントミューゼ外観 美術館



⑭ 国立新美術館

東京は六本木の国立新美術館の空間構成は実に分かりやすく、この大きなホールに入ると、目指す展覧会場が一目で分かる。会場が分からないなどということはない。