透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

411 白馬村の火の見櫓

2013-02-28 | A 火の見櫓っておもしろい

 
411 北安曇郡白馬村神城佐野にて

 国道148号線を車で走っていてこの火の見櫓に気が付いた。3本脚の櫓に円形の屋根と見張り台。よく見かけるタイプの火の見櫓だ。



屋根の下がゴチャゴチャしているのは残念。半鐘が吊るしてあるが、叩くことがあるのかどうか。火の見櫓の周りを除雪してないから、既に叩かなくなっているのかもしれない。


 


トキワ荘

2013-02-25 | D 新聞を読んで


信濃毎日新聞 130225付朝刊 11面

■ 今日(25日)の朝刊に藤子不二雄の「まんが道」の完全版刊行に関する記事が載っていた。

この漫画は読んだことがないが、記事によると**少年時代を富山県高岡市で過ごした少年2人が上京し、人気漫画家コンビ「藤子不二雄」になるまでを描いた成長物語。**だそうだ。

2人はまだ新人の頃、出版社の依頼を全て引き受けていたそうだが、正月に帰省して気が緩んで原稿の8割を「落として」しまったそうで、各出版社に「藤子不二雄は使うな」というおふれが回り、その後2年間、仕事がなかったという。

藤子さんはトキワ荘の仲間がいなかったら、この時の2年間は耐えられなかったかもしれないと語っている。このエピソードも「まんが道」には描かれているそうだ。



『若者が無縁化する』宮本みち子/ちくま新書 に出てくるが、つまずいている子どもや若者は孤独にならない生活の場や人と共に食事ができる場を喪失し、仲間がいなくて、他者から必要とされない状態にあるという。 これは孤立化、無縁化という言葉の説明そのものだが。

漫画家たちが共同生活をしていたことで有名な「トキワ荘」は上の条件とは全く無縁な環境で、まさに理想郷だったのだろう・・・。


 


春を感じた日

2013-02-24 | A あれこれ

■ 今日から春!などと季節に線引きなど出来ないとは思います。季節は日々連続的に変化していくのですから。でもあるんです、そう感じる日が。昨日、23日がまさにその日でした。

ブログの過去ログを見ると2006年が3月8日、2007年と2010年が2月22日となっています。不思議なものでほぼ同時期に春の始まりを感じる日があるんですね。

美ヶ原をはじめ松本平を囲む山々、その山肌が紫がかって見えます。常念岳やその先の北アルプスの峰々はまだ雪化粧していますが、なんとなく冬とは違って見えます。春霞みの始まりでしょうか。それから、日射しが柔らかいというのか、暖かく感じます。空の色も違って見えます。そんな様子から、春になったなと感じるのです。

野山はまだ雪に覆われています。でも、まもなく福寿草や梅の花が咲き出して、ここ信州、松本平も本格的な春になるのです。


 


ラン 

2013-02-21 | B 繰り返しの美学



 構成要素そのもののデザインは特にこれといった特徴もなく凡庸なものであっても、それを繰り返し並べると、「あ、きれいだな」という感情を抱く。

シンプルなルールによって、ものが秩序づけられた状態、様子を脳が歓迎しているのだ。

ラン、繰り返しの美学


 


孤立無業者

2013-02-21 | D 新聞を読んで

■ 18日付朝刊の1面に「「孤立無業者」全国162万人」という見出しの記事が載った。20~59歳の働き盛りで未婚、無職の男女のうち、社会と接点がない「孤立無業者」が、2011年時点で162万人に上ったそうだ。

社会と接点がないとは、具体的には無作為に選んだ2日間ずっと1人か、一緒にいたのが家族だけという状況のことだそうだ。2日間知人、友人らと接触がないことくらい十分あり得ると思う。「孤立」の条件が厳しすぎるのではないか。まあ、それはともかくそのような人がこの10年でほぼ倍増しているという。ネット上の仮想的な繋がりばかりで、リアルな現実の世界での繋がりの希薄化が進んでいる、という状況なのであろう・・・。



この新聞記事を読んで『若者が無縁化する』宮本みち子/ちくま新書を読み始めた。

**高校中退し、アルバイトにさえ就くことができない。家族と離れ、路頭に迷い、ホームレスになる。そのような若者の急増に対して、私たちはなにをなすべきか?若者の実態を明らかにし、彼らを孤立させない方法を提示する。**(カバー折り返しの文章からの引用)

**もっとも脆弱な層である不就業の状態にある若者は、職業教育の充実だけでは救済できない重層的な困難を抱えている。働く意欲を失ったケースも少なくない。そのため、雇用対策が効果を発揮するには、家族支援と福祉や医療も含めた包括的な支援が必要である。つまり、ニート問題は労働に関する問題に矮小化できないという点に注意すべきである。**(54頁)

問題の全てを若者個人に帰着できないというところに事態の深刻さがあるようだ。

読了後、また書こう。


 


人物評伝 「田中角栄」

2013-02-17 | A 読書日記



 田中角栄。「日中国交正常化」「日本列島改造論」「ロッキード事件」といったキーワードがすぐ浮かぶ。

朝日新聞の記者だった早野透氏が、間近に見てきた田中角栄の表と裏、明と暗を戦後政治史をベースに詳細に描く『田中角栄』中公新書を読み終えた。

平成5年12月16日、田中角栄は「眠い」という言葉を残して息を引き取る。**角栄邸で、角栄の亡骸に対面した政治家は、細川護熙首相、河野洋平自民党総裁、そして土井たか子衆院議長の三人だった。土井は角栄の顔をのぞいて、「とてもいいお顔をしているわね」と言った。さまざまな苦労を抜け出て、ほんとにいい顔をしていると思った。そばで娘眞紀子が「お父さん、土井さんが来てくださったのよ。起きて」と泣いていた。**(389頁)本書で最後に紹介されるエピソードだ。

衆議院議長という立場、儀礼を超えて土井たか子は政敵の田中角栄と人間として向き合った。その誠実さを田中角栄が引き出したのかもしれない・・・。図らずも目が潤んだ。

何でも読んでやろうで、いい本に出合った。


 


「隕石で多数の負傷者」からの連想

2013-02-17 | D 新聞を読んで

  
16日付朝刊1面の見出し(特記無きは信濃毎日新聞)

 「ロシアに隕石1000人負傷」 昨日(16日)の朝刊1面のトップはロシア南部、ウラル地方のチェリャビンスク州の上空で隕石が爆発、強い衝撃波で建物の窓ガラスが割れるなどして多くの負傷者が出たという記事だった。

直径17メートル、重さ1万トンとNASAが推計した隕石が上空20~25キロで爆発したということで、エネルギーは広島原爆の30倍を超えるという。この規模の隕石は100年に1回の頻度で落下するそうだ。恐竜が絶滅したのはユカタン半島に落下した巨大隕石が原因とされている。

*****

絶滅した恐竜を遺伝子工学、バイオテクノロジーで現代によみがえらせるというアイディアをマイクル・クライトンが『ジュラシック・パーク』で示してみせた。



**「樹脂というやつは――」ウーが説明をつづけた。「しばしば昆虫をからめとり、閉じこめてしまうことがあります。すると昆虫は、化石化した琥珀のなかに完璧な状態で保存される。琥珀のなかからはじつにさまざまな種類の昆虫が見つかっているんですよ。そしてそのなかには、大型動物の血液を吸っている昆虫もふくまれます」
(中略)
「ということは恐竜の血液も・・・・・」(上巻196、7頁)

昆虫の体内に残っている血液から抽出したDNAをスーパーコンピューターで解析して、複雑な作業を経て恐竜をよみがえらせる・・・。隕石落下のニュースでこの小説のことが浮かんだ。


17日付朝刊5面(国際面)の見出し

もっとリアルなこと、あの国から核ミサイルが日本に飛んできて・・・。それだけは無いように(祈)。


 


平等院鳳凰堂の瓦

2013-02-15 | D 新聞を読んで



 宇治市の平等院鳳凰堂の修理が昨年(2012年)9月から行われている。今日(15日)付朝刊に「900年間耐えた平安の瓦」という見出しの記事が載っていた。

記事によると鳳凰堂の瓦5万2千枚の3パーセント、1553枚が平安時代後期につくられたものだという。これらの瓦は約900年間、風雨に耐え続けてきたことになる。記事はこのことに注目したものだ。だが、97パーセントの瓦は約100年おきに行われてきた修理で「交換」されたことになる。

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この新聞記事を読んでメタボりズムについて考えた。

生物学者の福岡伸一さんは『福岡ハカセの本棚』メディアファクトリー新書の第3章「生き物としての建築」のなかで新陳代謝、メタボりズムを取り上げ、黒川紀章の中銀カプセルタワーがメタボりズムの考え方を具現化した建築であるのにもかかわらず、結局カプセル(部屋のユニット)が交換されることなく取り壊しが決まったのは、部屋というユニットが「交換」の単位として大きすぎたせいではないかと指摘している。

隈研吾さんも『小さな建築』岩波新書の中でこのことについて触れ、**メタボりズムは臓器論、機械論時代のロジックから抜け出せず、「大きさ」に対するセンスが欠けていたという結論に、福岡と僕は達した。もっと小さい単位の部品の取換えをめざせば、メタボりズムは別の面白い展開を見たかもしれない。**(78頁)と書いている。

鳳凰堂の瓦の交換、これは福岡さんや隈さんが上記のように指摘したことそのものを行っていたことになる。そう、日本では平安の昔から、いやそれ以前から建築で理にかなったメタボりズムを実行していたのだ。

建築については過去に学ぶことが少なくない。


 


「田中角栄 戦後日本の悲しき自画像」

2013-02-12 | A 読書日記

**その日、雪おこしの雷が鳴り、稲妻が走った。葬儀が終わる頃、氷雨があがって灰色の空から斜陽がもれた。北国の冬がすぐそこまできていた。**

優れた小説の書き出しのようだ。それもそのはず、この本の著者・早野透氏は朝日新聞で政治部部長、編集委員などを歴任し、96年から14年間「ポリティカにっぽん」という政治コラムを執筆した文章のプロ中のプロなのだから。



『田中角栄 戦後日本の悲しき自画像』 中公新書を読んでいる。この手の本もいままであまり読んだことがなかった。城山三郎の小説『官僚たちの夏』はおもしろかったが、そのくらいか。約400頁の新書は普通の倍のボリュームだが、昨日(11日)半分ほど一気読みした。へたな小説よりよほどおもしろい。

早野氏は田中角栄の担当記者として、ときには角栄邸を訪ねてその語り口を聞いてきた。厖大な取材メモから書き起こした政治家、いや人間田中角栄。

とりあえず本稿では以下に備忘録を記しておくに留める。

**田中角栄に対するもっとも鋭い批判者となる立花隆は、「抽象思考ゼロの経験主義者」と断じた。**(11頁)

**池田(筆者注:池田勇人)が太平洋ベルト地帯の「日本の縦軸」を意識していたのに対し、角栄は太平洋側と日本海側を結ぶ「日本の横軸」を意識していた。**(161頁)

**毎朝、英字紙を読みこなす国際通、頭脳明敏なリベラル、経済に強いといわれた宮澤(筆者注:宮澤喜一)を「彼は日米間の通訳にすぎない。政治家ではない」と角栄がからかうゆえんである。**(177頁)

読了後に加筆するつもり。



 


安曇野の石神石仏

2013-02-11 | B 石神・石仏



 火の見櫓のすぐ近くに道祖神が祀られていることが少なくない。いや、年代的には道祖神の方が古いから、道祖神のすぐ近くに火の見櫓が立っていることが少なくない、とした方がいいかもしれない・・・。

この道祖神は安曇野市豊科本村、火の見櫓のすぐ近くに祀られている。安曇野には花崗岩の道祖神が多いように思う。この道祖神も比較的摩耗が少なく、前稿のものほどではないにせよ、両神の表情まで見ることができる。

男神が杯を、女神が酒器を持っているのは前稿の道祖神と同じモチーフ。アツアツのカップルには厄病神も寄りつけない、ということのようだ。




道祖神の傍らに庚申像が併祀されている。青面金剛像の下に三猿が彫られているのが分かるのはそのような知識を持って見るから。そうでないとこの写真では三猿は見えない・・・。


 


 


安曇野の道祖神

2013-02-11 | B 石神・石仏




安曇野市三郷楡にて 撮影日130210

 久しぶりに摩耗が少なく、くっきりはっきりの道祖神を見かけた。前稿で取り上げた火の見梯子の隣に文字書き道祖神と共に祠に祀られていた。安曇野には祠に祀られた道祖神が多いような気がする。

平安貴族風の衣装を纏う男神が杯を、女神が酒器を持つオーソドックスなデザインの道祖神。両神のにこやかな表情がいい。情けないことに建立年を読みとることができなかった・・・。


 

 安曇野のヤグラ―にして狛犬研究家、ぶさんのブログを参考にさせていただきました。
 のぶさんのブログ


410 火の見 櫓?梯子? 

2013-02-11 | A 火の見櫓っておもしろい

 
410 早春、いやまだ冬のフォトアルバム 安曇野市三郷楡にて 撮影日130210

これを火の見櫓とするか、火の見梯子とするか判断に迷うところ。

梯子+「つっかえ棒」とみることもできる。でも梯子と横架材で繋ぎ、ブレースを入れていることから柱3本で立体構造、すなわち櫓を構成しているとみることもできる。さてどっち?


 

 


409 安曇野市堀金の火の見櫓

2013-02-11 | A 火の見櫓っておもしろい

 
409 安曇野市堀金中堀の火の見櫓 撮影日130210







脚部の直上に踊り場がある。美しくまとまっているデザイン。そこから次の踊り場を貫通して見張り台まで1基の梯子で繋いでいる。


銘板に1959.8月と記されている。昭和34年、この頃盛んに火の見櫓が建てられた。


リベット接合


すぐ近くを拾ヶ堰が流れている。


408 安曇野市豊科の火の見櫓

2013-02-11 | A 火の見櫓っておもしろい

 
408 安曇野市豊科本村の火の見櫓 撮影日130210

胴長短足のプロポーション



見張り台と踊り場の床は平鋼でスノコ状にするのが一般的だが、この火の見櫓は鋼板が張られている。シンプルな床下地組み。飾り気のない手すり。柱材と横架材を繋ぐガセットプレートが大きくて目立つ。接合にボルトとリベットが併用されている。







股間に松。


 追記 140429 撤去され現存しない。