透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

― 筑北村本城の火の見櫓

2014-07-30 | A 火の見櫓っておもしろい









筑北村本城支所(旧本城村役場)の敷地内に立っている火の見櫓。取り上げるのは2回目。

昭和60、61年頃、役場庁舎と同時期に建設された。新しい火の見櫓は角型鋼管を使った大味な構造が多いが、これは細い鋼管を使った立体的な「櫓」構造。

よく練られた構造デザインだと思う。でも、昔の等辺山形鋼で構成された素朴な火の見櫓が好きだ。


 


「富士山文化」を読む

2014-07-30 | A 読書日記



 早朝の出勤途中、松本市内の24時間営業の書店で本を買い求め、スタバでいつもの通り、「ホットのショート、マグカップで」とオーダーして、2階のいつもの席で小1時間読書(7月29日)。

買い求めたのは『富士山文化 ―その信仰遺跡を歩く』竹谷靱負(たけやゆきえ)/祥伝社新書。

**世界広しといえども、自国最高峰のミニチュアを二〇〇基もこしらえた国は他にないだろう。富士山に登拝できない老若男女に信仰の機会をもたらした〝ミニチュア富士〟、富士塚は、地域ならず、日本が富士山とともに世界へ誇るべき遺跡である。**(52頁) 著者は富士塚についてこのように記している。

江戸時代に富士山を登拝できる人は、時間と費用が備わった健康な成人男子に限られていた。女性や高齢者、子どもなど、富士山に登拝できない大多数の庶民と富士山とをつなぐ役割を果たしたのが江戸の各所に築造された富士塚だった。

先日、東京都江戸川区東瑞江にある豊田神社で見た富士塚はそのうちの1基だった。巻末の富士塚リストにはこの富士塚も載っている。

地方では富士山に山容が似ているランドマーク的な山は○○富士と呼ばれ、銭湯の壁には富士山が描かれ、浮世絵にも数多く描かれた富士山。そして富士塚・・・。

この本は文化としての富士山を広く論じていて興味深い。今週末はこの本を読む。


 


「モンシロチョウ キャベツ畑の動物行動学」

2014-07-26 | A 読書日記



■ 数年前に読んだ本、『モンシロチョウ キャベツ畑の動物行動学』 小原嘉明/中公新書をまた読む。

**チョウの雄は自分の子を少しでも多く残そうと、実に多種多様な戦術を駆使して競争しているのです。**(137頁)  チョウの結婚戦略がこれほどすごいとは・・・。おそらく熱心さにおいてはヒトに勝るだろう。

ヒトにはモンシロチョウの翅の色の違いは分からないが、モンシロチョウには違いがはっきり分かる。「違いの分かる雄(オトコ)」ということだが、ヒトより視力(というか分解能かな)が優れているわけでもないだろうに、なぜ? どうして?

答えはヒトとモンシロチョウとでは可視領域が違っていて、モンシロチョウはヒトには見ることができない紫外線域も見ることができるということ(本書では紫外色とよんでいる)。そしてモンシロチョウの雌と雄で翅の紫外線の反射率が違っていて、全く違う色に見えているということ。

本書にはモンシロチョウの紫外線写真が載っている。モノクロ写真を見ると雌と雄とでは翅の見え方が全く違う。雌の翅は白く、雄の翅は黒く写っている。雌の翅(正確には後翅の腹面)は紫外線を30~35パーセントくらい反射しているが、雄の翅はほとんど反射していないという。これは雌と雄で鱗粉の構造が違うことによるらしいが、翅の紫外色の化学的メカニズムはまだ明らかにはなっていないという。

モンシロチョウにもなんと個性があって、1日の婚活開始時刻や時間が違うということがキャベツ畑(ヒトなら渋谷の街あたりか)を観察して明らかになったことも紹介されている。嫁さん探し、1日30分というちゃらんぽらんな雄もいるし、その数倍も探す熱心な雄もいるとのこと。

本書の後半に、雄は交尾後、雌の交尾口を封じるということが紹介されている。貞操帯によって他の雄との交尾を防ぐという何ともすごい(?)技を使っているとのこと。でも貞操帯を取り除いてしまう雄もいるとか、って何だか夜のアルコールなブログのようになってきた・・・。

老齢雌の焦りも観察されることが本書に紹介されているが、ここでは省略。週刊現代、週刊ポストの記事になってしまいそうだから。

自作の簡単な装置による実験・観察によって明らかにされるモンシロチョウの婚活実態、結婚戦略。緻密な論考を書いているが分かりやすい。難しいことを分かりやすく書く、一般読者向けの良書の条件をクリアしていると思う。


 
白い翅のチョウは、モンシロチョウしか知らない。この後翅の腹面、モンシロチョウですよね。


米と樽の恵み

2014-07-25 | A あれこれ



 カフェ バロの週末ミニミニ講座「火の見櫓っておもしろい」ではパワーポイントで多数の火の見櫓の写真を紹介した。講座に参加していただいたある方の求めに応じて、その内の1枚をプリントしてお渡ししたところ、過分なるお礼を頂戴した(写真)。M様 ありがとうございます。

手ぬぐいサイズの布に包んであったが、それを解いてから、シマッタと思った。「包む」というカテゴリーがあるのに、包み方を確認することもなく解いてシマッタ・・・。

ラベルに「米と樽の恵み」とある。この国の文化の根幹をなす米と木。

明日は休み。今夜はこの酒と共に夜更かしするか・・・。


 


アイスチェア@新美

2014-07-24 | B 繰り返しの美学


撮影日140719

 東京六本木の国立新美術館には椅子の名作が何種類もあちこちに置かれていることで知られている。 

 アトリウムに置かれたキャスパー・サルトのアイスチェアとガラス曲面の有機的な形を構成するスチールマリオン(バックマリオンを兼ねる鋼製柱という捉え方がいいかもしれない)の繰り返しの美学な光景・・・。


 過去ログ

 この美術館については何回か書いた。


子付き・玉持ち狛犬

2014-07-23 | F 建築に棲む生き物たち

 



東京都江戸川区の豊田神社の狛犬

 狛犬は一対で神聖な場所を守護するために神社(寺院にもある)の参道の両側に設置されている。 「阿吽」、この言葉で仁王像を思い浮かべる人が多いかもしれないが、狛犬も向かって右側が口を開けた阿形、左側が口を閉じた吽形をしているのが一般的だ。これについては仁王の姿をまねた、という説もある。

ただし、例外もあって、京都の清水寺の仁王門前の狛犬は、なぜかともに口を開けた「阿形」。何年か前、「大人の修学旅行(贅沢三昧な旅行だった)」で京都に行ったとき(過去ログ)、同行したガイドさんの紹介でこのことを知った。

ところで狛犬はもともと向かって右側が獅子で左側が狛犬だったようだ。左右別の動物だったわけだが、次第に外観上の違いが少なくなって、まとめて狛犬と呼ばれるようになった、ということのようだ。

獅子は中国の動物、狛犬は中国ではない、異国の動物だったという説明もネット検索で見つけた。どうやら狛には異国のものという意味があるらしい。

少しまわり道をしたが、この江戸川区の豊田神社の狛犬は向かって左側は子持ち(子取り)で、意味はお馴染みの「子孫繁栄」。右側は挙げた手、もとい前足の下になにもない。ここには元々、玉があったのではないか。

左右共に玉を持っている狛犬や共に子どもを抱いて(?)いる狛犬もあるようだ。ネットで狛犬の画像を検索してみると、右が玉持ちで左が子付きという組合せが多いような気がする。玉には将来良いことが起こるように、物事がうまく運ぶようにといった意味があるという。

どのような理由で玉が無くなってしまったのか、なぜ狛犬と一体につくらなかったのか・・・。どうもうまい、なるほどな説明が浮かばない・・・。



この狛犬は江戸末期(文久3年)に造られ、大正時代(大正11年)に改築されたことが台座の石に刻まれている。この改築の時に玉が割れてしまった? そうだとしたら、なぜその時、新たに玉をつくらなかったのだろう・・・。

 謎が謎よぶ殺人事件 狛犬・・・。


 


富士塚

2014-07-22 | A あれこれ

 「富士塚」なるものがあることは以前から知っていたが実際に見たのは初めて。

都営新宿線を瑞江駅で下りて江戸川区東瑞江2丁目の火の見櫓を目指して歩いていてこの豊田神社の前を通り掛った。狛犬が見えたので境内に入っていくと富士塚があった、という次第。



富士塚って何?な方は下の説明板を読んでください。




 


「人はなぜ集団になると怠けるのか」

2014-07-21 | A 読書日記

 一泊東京で読んだ。行きのあずさで、都内の電車で、友人を待つカフェで、帰りのあずさで。

『人はなぜ集団になると怠けるのか 「社会的手抜き」の心理学』 釘原直樹/中公新書

「人はなぜ集団になると怠けるのか」という中公新書らしからぬタイトル。何だか1時間もあれば読了できる中身の薄い新書サイズの本のタイトルのようだ。サブタイトル「「社会的手抜き」の心理学」の方が中公新書に相応しい、と私は思う。

社会的手抜きって何? どういう意味? 著者は**集団で仕事をするときの方が1人でするときよりも1人当たりのパフォーマンス(業績)が低下する現象である。**(2頁)だと説明している。

分かりやすい例が運動会の綱引き、みんな経験していることだから・・・。1人の力を100%とした場合、2人の場合だと1人当たりの力の量は93%に低下し、3人の場合85%、4人だと77%。このように次第に低下して8人だと49%、半分以下しか力を出していないという。フランスのリンゲルマンという人が20世紀の初頭に実験によって明らかにしたそうだ。

社会的手抜きは綱引きのような単純な力仕事だけでなく、頭脳労働や社会生活など、さまざまな場面で出現しているという。 

社会的手抜きはどうして起こるのか、さまざまな心理実験などを紹介しながら明らかにしていく、というなかなか興味深い本。

ちなみに綱引きについては個々人の集団に対する貢献度が分からないので個人を評価できないから、という分かりやすい理由が挙げられている。


 さて『雁』 森 鴎外/新潮文庫の続きを読むか。


週末東京 その6

2014-07-21 | A あれこれ

旧前田侯爵邸洋館

今回の週末東京のラストは駒場公園にある旧前田侯爵邸洋館。















*****

  

   


新宿発16時のスーパーあずさ23号で帰松。 

久しぶりの1泊東京だった。ゆっくり飲み、ゆっくり語らうためには泊まらないとダメだな・・・。 


19日(土) 10349歩
20日(日) 14262歩

体脂肪率が4、5パーセント落ちるのは毎回のこと、数日で元に戻ってしまうのも毎回のこと。


週末東京 その5

2014-07-21 | A あれこれ

ヴァロットン展@三菱一号館美術館



 江戸川区東瑞江で火の見櫓を見てから、東京駅前の丸善へ。ここには東京する度に立ち寄る。4階のカフェで本を読みながら友人を待つ。

東京駅を取り壊さなくてよかったな、と改めて思う(過去ログ)。丸の内仲通りを歩く。上質な街並み。この辺り、夕暮れ時の散歩
にいいだろう。



街路樹の緑あふれる美しい通り。やはり街路樹は街並みの魅力を倍加する。他の通りもこのくらい美しければいいのに・・・。



日本で初めてのヴァロットンの回顧展を観るために三菱一
号館美術館に向かう。 

*****

この画家のことは全く知らなかった。会場で受け取ったリーフレットにフェリックス・ヴァロットン(1865―1925)はスイス・ローザンヌに生まれ、パリで活躍した画家、とある。

「20歳の自画像」。冷徹そうな目でこちらを見るヴァロットン。

 

 ポーカーに興じる親戚たち。この疎外はヴァロットンが自ら望んだのだろう。

 *

 乱れた室内、冷めた目で妻の情事を覗き見ていたのか・・・。まさか、偶々その跡を見てしまった、ということだろう。この時、ヴァロットンは顔の表情を全く変えなかったのではないか。ホラーな雰囲気。



 ふたつの視点から描いた作品、手前の子どもは俯瞰的な視点、後方の森に佇む二人の女性は水平方向からの視点。この絵には長い時間の経過を感じる。どこか不気味な雰囲気も漂っている。この女の子は行方不明になっているのではないか、女の子はいまどこに・・・。


「冷たい炎の画家」、「裏側の視線」か、なるほど・・・。

この美術館の濃密な空間、展示室のスケールがこの画家の作風によく合っていた。


* 会場のショップで買い求めたポストカード


週末東京 その4

2014-07-21 | B 石神・石仏

庚申塔 青面金剛像 

 江戸川区東瑞江2丁目、篠原街道沿いに立っている火の見櫓の横に地蔵堂があって、その前に庚申塔が3基祀られていた。どれも立体的な彫りでなかなか見ごたえがある。



天保十己亥年正月吉祥日(1839年)


延享五戊辰歳二月六日(1748年) 江戸中期となると古い部類に入るだろう。顔の損耗は残念。


文化元甲子七月朔日(1804年)


 


週末東京 その3

2014-07-21 | F 建築に棲む生き物たち










■ 都営新宿線の瑞江駅から東瑞江2丁目、篠崎海道沿いに立っている火の見櫓を目指して歩いていてこの豊田神社に遭遇。見ると狛犬がいたので立ち寄った。

2対のうち、奥のものは文久3年につくられたことが石に彫り込まれている。狛犬のことは分からないが、これは古い部類に入るのでは、江戸末期ならそうでもないか・・・。


 


495 週末東京 その2 

2014-07-20 | A 火の見櫓っておもしろい

江戸川区東瑞江の火の見櫓
495
 20日、都内某所のホテルを朝6時にチェックアウト。昨晩の適量のアルコール摂取で快調。山手線、総武線、都営新宿線と乗り継いで瑞江駅で下車。歩くこと15分、火の見櫓が現れた!東京23区内に残る貴重な1基だ。



Sカーブする道路に交番、地蔵堂、消防機材格納庫が並び、後ろに火の見櫓が立つ。



「江戸川消防団第6分団1部機材格納庫」(2階はたぶん消防団員の詰所)と火の見櫓のツーショット。



4角形の櫓、円い屋根に円い見張り台。半鐘が吊るしてある、よかった・・・。





櫓の外に設置した梯子と屋根とのクリアランスが少なく、人が昇り降りできそうにない・・・。



ブレース端部に羽子板をつけてボルトで締めているのって、いままで見たことがなかったような気がする。



櫓の下に脚は無し