2008 01 28(月)
一年に一度きりの御開帳がありました。
国の重要文化財に指定されている宮田の不動明王。
朝から車を走らせて群馬県渋川市の郊外、名山・赤城山の中腹へ・・・。
上越本線の敷島駅近くの渋川市赤城町宮田地区。
この山村地の宮田に在する曹洞宗の名刹・宮田山不動寺の絶壁洞窟に有名な秘仏があると云うのです。
断崖絶壁の中腹に建つ不動寺の下には臨時P場も出来、参道への道筋には露店も出ていました。
目指す不動寺は小高い場所にあるので、胸突くような急な石段を登ります。
なぜか?本堂の前には舞台のようなものが張出していましたが、御神楽か獅子舞でも奉納する場所でしょうか?
朝から秘仏を一目拝もうと善男善女が詰め掛けていました。
午前11時30分から秘仏・不動明王の法要が行われる為、わざわざ東京の泉岳寺(赤穂四十七士墓所)から来た法主様が庫裏から本堂へ登って来られました。(この日の法要は4回の予定)
泉岳寺の大僧正の顔には何故か白粉と真っ赤な口紅でお化粧が施されていたのには些か驚きました!(まさか老オカマ???)
片田舎の不動寺に泉岳寺の大僧正様達が来て法要をするなんて・・と不思議に思いましたら、戦争中に泉岳寺の高僧達はここ不動寺の庫裏に疎開していた時の縁だとの事です。
たしかに小さな不動寺本堂に比較して立派過ぎる庫裏だと思いました。
泉岳寺との関係はともかく、僧侶の太鼓を合図に洞窟に向かって読経が開始されました。
随行して来た若い僧侶たちが「大般若波羅蜜多経」を扇のように広げて30回読み上げます。(約30分、長過ぎるので10回で充分と思います。)
法要・読経もつつがなく終了。 若い僧侶が秘仏にお参りしてから一般参詣者に秘仏・不動明王の御開帳です。
受付で100円支払い、ロウソクを一本頂いて入洞します。
8段ほどの階段を上がった正面に出世不動と彫った石碑。
不動明王を拝むと出世するかも・・・だって。
初めは線香と蝋燭灯明の煙で不動明王が安置された洞窟内は煙が漂っています。
煙が収まると秘仏・不動明王のお姿がクッキリと見えてきました。
黄色の写真はフラッシュを焚かないロウソクの灯りだけの不動明王立像。
巻髪を左肩の垂らし眼をつり上げた一目諦視(いちもくていし)の憤怒相の尊顔です。
右手に智剣を奉げ、左手に羂索を持ち(現在は両方消失)、「武運長久」「悪霊退散」「家内安全」「延命長寿」などの願いを叶えると信仰を集めています。
顔立ちは何処と無くインドやガンダーラの堂々とした風格が感じられました。
不動明王像は高さ166cm 胴回り157cmの石造。
真に迫る量感は日本の石像の中でも屈指のものとされ、昭和38年2月14日に国重要文化財に指定されました。。
躍動感溢れる迫力で、見る人を圧倒する立ち姿は彫の深いギリシャ彫刻を見ているようです。
石英斑岩(凝灰岩質)に彫り込まれた不動明王立像は1251年(建長3年)この地の領主・里見氏義(新田一族)の発願により藤原文化(代表・平等院鳳凰堂)を伝承する院派の仏師・院隆と院悦に制作依頼し、1252年宮田の地に建立安置されたそうです。
(石英斑岩は西群馬の安中市の天神山の産。宮田から直線距離で35kmもあります。)
鎌倉幕府時代は慶派全盛期なのに京の院派とは・・何やら反逆の匂いも・・・・。
因みにここの里見一族は南総里見八犬伝の祖先でもあるとか。
等身大の石造不動明王像は2石を丸彫りにし、腰の下で接合する技法が採られています。
衣の裾・襞と足元まで、今にも歩き出すかの様に優雅に彫り上げていました。
不動明王像のある洞窟には首無し地蔵像も祀られていました。
首無しで可愛そうなので蝋燭灯明一本を献灯。
国指定の重要文化財の秘仏・不動明王立像を見させて頂いたお礼に不動寺破魔矢を購入。(500円)
同じ境内の不動寺本堂左奥に国旗を飾った宮田神社があります。古からの神仏混交の名残りでしょうか。
不動寺と宮田神社の中間に苔生した石灯篭をみつけました。
“宮田の石灯篭”と云い、1443年(嘉吉3年8月)の奉納灯篭で室町時代中期の特徴を良く表した四角石灯篭、600年近い風雪に耐えた貴重な石灯篭です。
高台にある宮田山不動寺からの眺望は大変素晴しい。
向かい側に聳える榛名山中腹の伊香保温泉街もはっきりと望めます。
左の前橋・渋川方面から正面に榛名山と浅間山・白根山、右手に吾妻川に小野子山・子持山、更には谷川岳と大パノラマが存分に楽しめます。
年に一度(1月28日のみ)の不動明王御開帳ですが、力感あふれる素晴しい尊石像です、皆様にもぜひお奨めいたします。
2008 02 01(金)記。 前橋市 最高気温6℃ 厳寒。
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宮田山不動寺の秘仏・不動明王の石の件ですが、古い事なので明確には思い出せませんが、たぶん不動寺の説明板か寺のパンフに記されていた様な気がします。
不確かな返事しか申し上げられませんが、資料を調べ直して確実な物がありましたら、お知らせいたします。
なを、今月の28日が秘仏御開帳ですので、参詣され調べられては如何でしょうか・・・。
不動明王立像の石英斑岩は西群馬の安中市の天神山の産。宮田から直線距離で35kmもあります。
・・とありますが、申し訳ないですが、その根拠(どこの本・文書で参考にした)
でもしわかれば、お知らせいただき、お願いいたします