ツトムさん家の写真日記。

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第658回 熈代勝覧。

2012-01-25 12:36:31 | 写真・旅行・日記・コラム

東京日本橋の三越百貨店を散歩がてらに訪ねてみました。

三越本店正面入口の両脇に置かれているライオン像(ロンドンのトラファルガー広場にあるネルソン記念塔下のライオン像を模した。)の背にのると念願が叶うと伝えられ、“必勝祈願ライオン”として受験生に人気があるとか・・・。
 
人通りが多いので背にまたがる人はいませんでしたが、背中が擦れて光っていましたから乗る人もいるのでしょう。

日本橋三越本店に入店して先ず目に付くのは一階中央に置かれた巨大なオブジェ。
佐藤朝山先生作の“天女像”、日本人の感覚を超越した感性が作り出した極彩色の造形美!
  
正面(暖色系が多い)・真横(意外に薄い)・真裏(寒色系)の画像。 天女像については ⇒ ここクリック。

三越本店の地下道コンコース(東京メトロ三越前駅)で展示されていたのが熈代勝覧”(きだいしょうらん)の絵巻物(複製・ベルリン国立美術館所蔵)。

熈代勝覧は江戸時代の文化2年(1805年)、11代将軍・徳川家斉の治世下の江戸日本橋大通りを描いた貴重な美術品。
この熈代勝覧は長さ幅44cm・12mという長大な絵巻物。
翌年の文化3年に起きた「丙寅(ひのえとら)の大火」でこの一帯は全て消失したので、それ以前を知る貴重な資料でもあります。

熈代勝覧とは「熈(かがや)ける御代(みよ)の勝(すぐ)れたる景観」という意味。
題字は佐野東州の書と思われ、絵師は山東京伝説が有力ですが、今のところ作者不明となっています。
三越前駅地下道に展示された熈代勝覧はガラスケースに大切に収納されて公開中。
 



熈代勝覧の最初は日本橋付近の風景から始まっています。
沢山の人達でにぎわう木造太鼓橋が当時の日本橋。下を流れる日本橋川には大小の舟が浮かび、接岸して米俵などを運んでいる米蔵もあります。
魚河岸は日本橋の下流岸でこの絵巻には描かれていません。
中央の槍の上方に木々に囲まれた江戸城と聳える富士山が薄っすらと描かれています。


江戸時代の江戸の町の情景が手に取るように・・・。
通りに面した商家の様子や往来を行き来する庶民・武士など、天秤棒で荷物を担ぎ、路上で商いに精出す者もいます。

右側で木組みしているのは祭り舞台の準備でしょうか? 
木戸の左側で天秤棒を担いで煙草を売っているのは「国分煙草売り」、当時は薩摩の国分産の煙草葉が特に有名でした。
民謡のオハラ節にも「花は霧島 煙草は国分」と唄われています。

菓子金山寺味噌なども路上販売です。 右隅の商家では蒲鉾の製造中。


白銀町界隈。黒木戸と番所で町を仕切り、通行人を管理していた当時の様子が垣間見えます。 


度々の大火に遭った江戸では瓦葺が奨励され、描かれている商家・民家は全て瓦屋根の家が軒を並べています。
下画像は三越百貨店の前身“越後屋”、町の一角を占有する大店(おおだな)だった事が判ります。


十軒店の路上に並んだ藁葺き仮店には赤い雛壇がありますから人形屋でしょうか?(季節は春?)
大八車や武家駕籠、右隅には小さな車輪のイザリの姿も見えます。


日本橋から始まる“熈代勝覧”絵巻の巻末は神田今川橋でした。下を流れるのは神田川でしょう。
(正式には巻頭が神田今川橋で、日本橋界隈が巻末です。七町760mの景観が描かれています。)
今川橋の上には出仕の武士や辻駕籠、橋の左では陶器屋なども描かれ、さながら江戸の町にタイムスリップしたような気分が味わえますた。


熈代勝覧の詳細は ⇒ ここクリック。


熈代勝覧(きだいしょうらん)-江戸の絵巻図9分30秒のパン映像


無料で展示している三越前駅地下道コンコースで、爛熟した江戸時代の文化の華「熈代勝覧」を楽しんでは如何でしょうか・・・。


2012 01 25(水)記。    前橋市     最高気温 8.3℃  最低気温 -2.3℃


おまけコーナー。

見事なストリートアート。下画像クリック。


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