哲仙の水墨画

デジカメの風景写真、四季の草花、水墨画、書、短歌などを楽しみます。

水なす(水墨画)

2010-05-16 06:11:54 | 水墨画
特産の地域とあれば道端に
拙なきながら水なすの文字         樋田哲仙

 大阪南部の泉州地域には特産の水なすがある。丈が短くずんぐりとして太目で形状はスマートとは程遠い。一夜漬けで浅漬けと呼ばれ、美味しさは土地の人が自慢する。この土地で生まれ育つと幼い頃から親しんでいるだけに格別なんだろう。私は輪切りに油炒めした方が食が進む。道端には販売所をよく見かける。かってNHKふるさと一番で取り上げられ全国放送されたこともある。  にほんブログ村 美術ブログへ

古今集第二十八番百千鳥(書)

2010-05-15 05:57:40 | 
百千鳥さへづる春はものごとに
あらたまれども我ぞふりゆく          詠み人知らず

 いろいろの鳥が楽しそうにさえずる春は地上の全てのものが生気が宿り新しく元気に見えるのに、どうして私だけが取り残されたように古びて年老いて行くことか。誠に嘆かわしいかぎりである。百千鳥(ももちどり)は沢山の鳥。ふりゆくは古びてゆくことで人に当てれば年老いてゆくこと。

平城京大極殿高御倉(写真)

2010-05-14 06:21:38 | 写真
天皇が入りて儀式を行へる
大極殿に高御倉とは         樋田哲仙

 平城京跡に壮麗な大極殿が復元されて大きさは前回のブログで記述したが、中央に天皇が坐る彩色豊かな高御倉(たかみくら)がある。ここで国家的儀式や外国使節団を迎えて面会したというが、大勢の人が参列出来る広間がない。左右は少し広くはあるが、正面が狭すぎる。これでは何百人もの臣民を招じ入れることは出来ない。御所紫宸殿とは大違いである。

トマト(墨彩画)

2010-05-13 07:01:03 | 墨彩画
食はねども娘が好きなれば菜園の
隅に一本トマトを植ゑり          樋田哲仙

 トマトは子供のころから好きになれない。嫌な匂いが鼻をつき、味もどうにもならない。体によいと親から強く言われたが、結局好きになれなかった。菜園作りは10年になるがトマトの栽培は容易ではない。肥料の加減で割れてしまう。しばらく辞めていたが、娘が好きで、もう一度挑戦する気になった。農家の人に教えを仰がねばならない。一本はミニトマトである。 にほんブログ村 美術ブログへ 

古今集第二十七番あさみどり(書)

2010-05-12 06:37:41 | 
あさみどり糸よりかけて白露を
玉にもぬける春の柳か        僧正遍照

 柳の長い枝より新芽の浅緑が糸を寄り合わせたようだが、そこへ白露が置かれてみると玉を貫いた糸のようだ。それが春の柳だ。柳が糸を引くと表現するが、この言葉は平安時代からあったことになる。白露を美しい玉とみなすも同様である。古今集には「あさみどり糸」までの句またがりに表現する方法は今までにも時々見かけた。

復元遣唐使船(写真)

2010-05-11 06:49:48 | 写真
波風に命をかけて若きらの
唐への夢を乗せしこの船        樋田哲仙

 平城京跡の歴史館に復元遣唐使船が展示されている。全長30㍍、幅9㍍、マスト15㍍トン数300㌧。原動力は人力と帆で航海するもので、破船することもたびたびあったらしい。外交使節として文化や制度を学ぶため、1団4隻で組み、約260年間に20回(諸説あり)が派遣された。この船に漕ぎ手、料理人、医師、工人を含む150人が乗船し命を張って渡航した。

金魚のカップル(墨彩画))

2010-05-10 06:34:41 | 墨彩画
                            (豆色紙)
子供らを連れて夜店に行きし日の
はるかの浮かぶ五月に入りば       樋田哲仙

 子供が小学生や保育所に通った頃の30年も前のことになるが、5月になると3のつく日に近くの商店街で夜店が開かれた。薄暮の迫る頃から小規模ながら露店が立ち並ぶ。子供が喜ぶので時々連れて出かけたものである。その中に金魚すくいが必ずあって人だかりとなる。5月に入ると昔のことがふと頭に過ぎる。おそらく今でも開かれているだろう。  にほんブログ村 美術ブログへ

古今集第二十六番青柳の(書)

2010-05-09 05:36:44 | 
青柳の糸よりかくる春しもぞ
乱れて花のほころびにける        紀貫之

 柳の枝が芽を吹いてなびいているのは、まるで緑の風の糸を寄り合わせているように見えるが、一方春というのに桜の花は乱れてほころびるとはどうしたことだろうか。花を桜としたが少し無理かもしれない。柳の芽吹きと桜の開花は少しずれている。ほころびとはつぼみが少し膨らんだことかも。

平城京大極殿(写真)

2010-05-08 06:42:39 | 写真
平城の初夏は香し華麗なる
大極殿に思ひをはせて          樋田哲仙

 平城遷都1300年祭が行われている平城京跡を連休に訪ねた。9年がかりで完成した大極殿の記念式典は皇太子も出席されて4月24日だった。高さ27㍍、正面44㍍、奥行き20㍍、瓦10万枚、総工費180億円をかけた。元明天皇が710年藤原京から遷都し、今年はちょうど1300年。天皇の即位や外国使節の面会など国家的重要行事に使用された。

奈良市街の散策(水墨画)

2010-05-07 06:15:43 | 水墨画
長袖の煩わしくて外出の
街は日傘に夏めく五月         樋田哲仙

 今年の大型連休は好天続きで、気温が上がりすっかり夏めいた。平城宮跡、遷都1300年祭に出かけると、会場は木陰も少なく女性は行列の中に日傘の花を咲かせて夏の光景となった。午後は奈良七大寺の一つ大安寺へ回った。JR奈良駅から徒歩30分木陰が恋しかった。 にほんブログ村 美術ブログへ
 

古今集第二十五番わがせこが(書)

2010-05-06 05:54:08 | 
わがせこが衣はるさめふるごとに
野辺のみどりぞ色まさりける         紀貫之

 私の妻が自分の衣を洗い張りして手入れをする季節となって、春雨が降るたびに野辺の草木が緑の色をこくしている。「わがせこ」は妻が夫を指す場合が多いが、ここでは妻を意味する。「はる」は張ると春を掛けた技巧的な手法。

当麻寺三重塔(写真

2010-05-05 08:16:45 | 写真
牡丹愛で侘びの庭にて新緑の
香りに仰ぐ三重塔         樋田哲仙

 当麻寺は関西で屈指のボタンの名所である。多数の塔頭ではボタン園を有し、行き届いた管理に有料で公開している。そのひとつ、中之坊では本道の南面に心字池を中心に構えた和風庭園がる。庭に入ってすぐ正面に三重塔を仰ぎ、新緑の樹木に浮かび立つ。当麻寺は東西双塔を有し。珍しい風情を醸し出している。

岩山に寄せる波(水墨画)

2010-05-04 06:03:37 | 水墨画
初めての夏日のけふは風なくも
切り立つ岩に波の寄せをり        樋田哲仙

 きのうは全国的に気温が上がり、夏日となったところも多かったようだ。大阪でも気温が26・1度となって初夏の感が強かった。風もほとんどないのに海ではゆったりとした波が寄せて岩場に崩れていた。海はスケールが大きく無風に近い状態でも波があり、陸上とは異なる。港から沖へ向かう漁船も活気を見せる。この時期の海は長閑でよい。  にほんブログ村 美術ブログへ

古今集第二十四番(書)

2010-05-03 05:47:08 | 
ときはなる松の緑も春くれば
いまひとしほの色まさりけり         源宗于朝臣

 一年中替わらない松の緑も、春が来るとその松までもが一段と鮮やかな緑に変わってしまう。一般に針葉樹は色を変えない。それを常盤木という。ここでは松と限定されている。落葉樹は春の芽吹きに新緑が鮮明となる。松は替わらないが、5月中旬から6月にかけて柔らかい緑色に少しだけ変化する、

中之坊のボタン(写真)

2010-05-02 05:26:33 | 写真
満開の花を撮らむと出かけしに
なかなか難き見ごろの牡丹         樋田哲仙

 ボタンの咲く寺までは車で2時間弱。見ごろの状況を確認するため事前に寺へ電話すると、受話器に出た女性は咲いています。4月末まで咲いていますとの返事。無理もない、花の精気を撮りたい目的のものとは同じ花でも見方が違う。少しでもよい写真を願望するのだから、受話器に出た女性はそんな事情は分からない。来てみると少し盛りを過ぎた花が多くて今年も残念である。