キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

「ときを紡ぐ(上)昔話をもとめて」(2017)小澤俊夫著

2018年06月29日 | └─恩師
ときを紡ぐ(上)昔話をもとめて
小澤俊夫
小澤昔ばなし研究所



先日「昔ばなし大学」の勉強会の2回目に参加させてもらって、その会場で買ってきた。
恩師の自伝。 
小澤昔ばなし研究所が発行している「子どもと昔話」という雑誌に連載されている、先生の文章をまとめたものだそうだ。
これまでにお聞きした話もあれば、初めて聞く話もある。
いま読んでいるのは、先生がまだ小学生だった頃のことで、満州、そして北京に住んでいらしたころの話。
おそらく、大きくなってから大人の話を聞いたりして記憶を補完したこともあるのだとは思うのだけど、小澤少年のみずみずしい感性がそのまま伝わってくる。
先生よく覚えているなぁ。


小学校の授業参観で、ほかの父兄から「君はキチョウメンね」といわれて、「キチョウメンってどんな帳面かな?僕の帳面は黄色じゃないぞ」と思ったとか。
小澤少年、カワイイ。



北京の「マントウ(中国式の万頭)売り」の売り声を楽譜で書いてある。
よほど、耳に残る売り声だったのだろう。

「ヤオチーコマントウ」と売りに来るらしい。
意味は「マントウいくついりますか~?」
中国語で書いたら「要幾個饅頭」となるだろう。

先生は幼い頃北京で育ったので、今も中国語できるらしい。


ほほえましい少年時代の思い出の中に昭和史の大事件が挟まる。
北京時代、夏休みを過ごすのに2泊3日の船旅をして大連近くの避暑地へ。
その道中も大嵐に遭ったり、弟の征爾さんが急病になったり大変なのだが、大連について「大和ホテル」(夏目漱石の写真が残されてるホテル!)滞在中、盧溝橋事件が起き、北京に帰れなくなってしまう。
こんなエピソードも授業参観と同じ口調で語られていく。


目で文字を追うだけではもったいなくて、声に出して夫によみ聞かせている。
波瀾万丈なのだけど、ほほえましい話が混ざっていて、先生の人柄を思い出し、くすりとする。
これから戦争の話はちょっとつらそうだけど、楽しみに読もうと思う。

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