キカクブ日誌

熊本県八代市坂本町にある JR肥薩線「さかもと駅」2015年5月の写真です。

「父の初七日(父後七日)」2010年台湾

2018年02月28日 | ☆エンタメ-映画
父の初七日 [DVD]

マクザム


先日講座を聴いた釈徹宗さんのラジオ番組で紹介されていた映画。
台湾のですが、タイトルも知りませんでした。
たまたまGyao!という動画配信サービスで日本語字幕付きが無料で公開されていたので、見てみました。


おもしろい!!!!


台湾にかれこれ20年ほど通っていますが、全く知らない台湾の一面を見ました。そういえば、お葬式とか出たことないもんね。
邦題は「初七日」となってますけど、初七日と言うより「お葬式」そのものです。台湾の伝統的なお葬式の進み方が、幾分コメディータッチで描かれています。伊丹十三の「お葬式」と言う映画もコメディー要素ふんだんでしたね。
作中の葬儀は「道教」により執り行われます。キョンシー映画でおなじみの「道士」が指導してくれます。(道士さんは葬儀社を営んでいます。)「七日」なのは、占い(と言うか暦?)で、葬式の日どりを決めたら、たまたま7日後が出棺と言うことに決まったからです。「初七日」のように「7日」と決まっているわけではないですね。日取りは遺族の生まれた日などの組み合わせで決めるらしい。(なので、邦題の「父の初七日」はいただけないですね)

道士さんの彼女(葬儀社の共同経営者)も「泣き女」をやったり、葬儀につきものの鼓笛隊の指揮をしたり、お供え物の営業をしたり、祭壇をつくったり、お経(?)をあげたり大活躍です。

映画の舞台になっているのが「彰化県田尾」です。私の友人が住んでいる町ですが、花の栽培が盛んなところで、電照菊(花の種類は不明だけど)畑やバラの露地栽培の畑などが登場します。友人の家も花農家です。ずいぶん前になりますが、その友人の家に遊びに行ったとき、その家庭は完全なベジタリアンで、家では精進料理しか食べないということでとても驚いたのを覚えています。家の敷地内に廟もあり、宗教に基づいた生活が営まれている場所でした。

言葉はほとんどが台湾語。
主人公の女の子は台北で勤めているのできっと台北では北京語を話しているはずですが。そのほか、日本の演歌や変な日本語も登場します。いかにも台湾の田舎の感じです。


以下、「へーっ」と思ったこと。
・病院で亡くなった人を自宅に送るのに、救急車がサイレンを鳴らしていくんですね。
・棺にすがって泣くのも儀式の一部で、時間が来たら「ハイ泣いて」「よしおわり」「ハイ泣いて」と繰り返されます。
・紙の家や車を燃やす儀式、死者の足元で紙のお金を絶え間なく燃やす儀式、そしてその灰を川に流す儀式。
葬式の前には、鼓笛隊がやってきたり、道士さんが踊ったり(エレキギターの伴奏もついてる!)
・占いで決まった納棺が3日後、出棺が7日後。納棺までご遺体は遺体用冷蔵庫に保管されます。(南国だ!)冷蔵庫は自宅まで運ばれてきて、ガンガンヒューズを飛ばしまくります。


どれもこれも興味深いものでした。
おそらく、台湾の若い人も知っているようで知らないことなのじゃないかな。

台湾では、小品として公開され始めたものの、どんどん人気が出て異例のロングランになった作品なのだそうです。映画賞もとったようです。
日本のお葬式も、私もまだ知らないことたくさんあるでしょう。
地方によっても違うでしょうし。
宗教によってもちがうでしょうし。
また、今は仏式でもどんどん変化しているらしいし。



この映画がズシンとくるのは、この一連の儀式は淡々とこなしていた主人公が、葬儀の後日常生活に戻り、ずいぶん経ってから、ふとしたタイミングで父親の死を実感して泣き続ける。と言うくだりだと思います。
わたしには経験がないですが、うちの夫もまえに父親を亡くした時、葬儀の間中は儀式や来客の対応等に追われまくって、全く涙も出て来なかったけど、すべてが終わって、家に母親と二人になったタイミングで号泣したと言っていたのを思い出しました。


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