おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

住むところの確保

2021-08-26 | 〔法規 ・ 法制〕

 

 

 

改正によって 

配偶者は 遺産分割が確定するか 相続開始の時から6か月を経過するまでは 

その家に無償で居住する権利があるし その家が第三者に遺贈されていたとし

ても 第三者からの明け渡しの申し入れから6か月の間は 居住を継続できる

という権利を持つ(配偶者短期居住権 : 民1037)

とはいっても 短期間の保障にすぎない ともいえそうな権利です

 

遺言や遺産分割で 配偶者に終身の 無償の居住権(配偶者居住権)を与えら

れる という制度が登場しています(1028)

 

 

今までだって そして これからも 配偶者をその建物の所有者とする遺産分割

ができることに変わりはないので 住むところの確保はそのようにすれば済む

ことだ との考えもあるでしょう

でも 家だけが自分のものになっても 生活費を得られ続けるか という問題が

高齢の配偶者などには 特に 心配となることでしょう

不動産を得て それで自分の相続分をつかいきってしまうことになって 預金の

分割には参加することができなくなったりします

そこで 配偶者居住権という負担を付けた分価値の下がる所有権を他の相続人に

得てもらい 自分は居住権を得つつ預金も 分割されるようにする というよ

うな 仕組み です 

例えば 相続人が妻と子一人 3000万円の自宅 と 預金も3000万円

1対1で分けるということで 妻に自宅を となると 預金は全部 子へ

そこで 配偶者居住権(賃借権と類似した法定の債権)を妻に 配偶者居住権

という負担の付いた所有権を子が得る という遺産分割をする

配偶者居住権の価値を1500万円 として 子が得る負担付きの所有権の価値

を1500万円とする

そうすれば 妻は 1500万円の預金を得られる

住むところを確保できて かつ 預金も得ることができる

 

 

 

配偶者居住権 であって 〔の居住権〕ではなく 

賃借権 でも 使用借権〕でもありませんし 

〔法定の債権〕であって 〔契約で発生するもの〕ではありません 

 

配偶者居住権の特徴としては

・ 配偶者短期居住権と違い 居住建物の使用だけでなく収益の権限も持つ

・ 存続期間中 使用・収益に対しての賃料相当額の対価の支払義務がなく
  無償

・ 建物の全部について配偶者居住権が成立する(相続開始前は一部に居住
  ということだったとしても全部について使用・収益できることになる)

・ 配偶者は 居住する建物の使用・収益に必要となる限度で敷地の利用を
  することができる

というようなこと

 

 

 

そういえば

前回のマンション管理士試験では 令和2年4月1日施行の 新設の「第8章」

だというのに 「配偶者居住権」 という言葉が サッソク 登場したりしました   

しかも 広い出題範囲の試験にもかかわらず 2問に 登場 でした

 

他の試験でも 要注意ですね

 

 

ポイントをシッカリと ということですが いつも記すことですが 削りに削った

モットモシンプルな表現のものは <条 文> だと考えます

 

まず 1028 と 1037 は シッカリと眺める


第八章 配偶者の居住の権利
第一節 配偶者居住権
(配偶者居住権)
第千二十八条 
被相続人の配偶者(以下この章において単に「配偶者」という。)は、被相続人の財産
に属した建物に相続開始の時に居住していた場合において、次の各号のいずれかに該当
するときは、その居住していた建物(以下この節において「居住建物」という。)の
部について無償使用及び収益をする権利(以下この章において「配偶者居住権」とい
う。)を取得する。ただし、被相続人が相続開始の時に居住建物を配偶者以外の者と共
有していた場合にあっては、この限りでない。
一 遺産の分割によって配偶者居住権を取得するものとされたとき。
二 配偶者居住権が遺贈の目的とされたとき。
2 居住建物が配偶者の財産に属することとなった場合であっても、他の者がその共有
持分を有するときは、配偶者居住権は、消滅しない。
3 第九百三条第四項の規定は、配偶者居住権の遺贈について準用する。
 
 

第二節 配偶者短期居住権
(配偶者短期居住権)
第千三十七条 
配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、
次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた
建物(以下この節において「居住建物」という。)の所有権を相続又は遺贈により取得し
た者(以下この節において「居住建物取得者」という。)に対し、居住建物について無償
で使用する権利(居住建物の一部のみを無償で使用していた場合にあっては、その部分に
ついて無償で使用する権利。以下この節において「配偶者短期居住権」という。)を有す
る。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したと
き、又は第八百九十一条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、
この限りでない。
一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割
により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか
遅い日
二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から六箇月を経過する日
2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その
他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。
3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住
権の消滅の申入れをすることができる。

 
 
 
 
第八章 配偶者の居住の権利
第一節 配偶者居住権
 
(審判による配偶者居住権の取得)
第千二十九条 遺産の分割の請求を受けた家庭裁判所は、次に掲げる場合に限り、配偶者が
配偶者居住権を取得する旨を定めることができる。
一 共同相続人間に配偶者が配偶者居住権を取得することについて合意が成立しているとき。
二 配偶者が家庭裁判所に対して配偶者居住権の取得を希望する旨を申し出た場合において、
居住建物の所有者の受ける不利益の程度を考慮してもなお配偶者の生活を維持するために特
に必要があると認めるとき(前号に掲げる場合を除く。)
 
(配偶者居住権の存続期間)
第千三十条 配偶者居住権の存続期間は、配偶者の終身の間とする。ただし、遺産の分割の
協議若しくは遺言に別段の定めがあるとき、又は家庭裁判所が遺産の分割の審判において別
段の定めをしたときは、その定めるところによる。
 
(配偶者居住権の登記等)
第千三十一条 居住建物の所有者は、配偶者(配偶者居住権を取得した配偶者に限る。以下
この節において同じ。)に対し、配偶者居住権の設定の登記を備えさせる義務を負う。
2 第六百五条の規定は配偶者居住権について、第六百五条の四の規定は配偶者居住権の設
定の登記を備えた場合について準用する。
 
(配偶者による使用及び収益)
第千三十二条 配偶者は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使
用及び収益をしなければならない。ただし、従前居住の用に供していなかった部分について、
これを居住の用に供することを妨げない。
2 配偶者居住権は、譲渡することができない。
3 配偶者は、居住建物の所有者の承諾を得なければ、居住建物の改築若しくは増築をし、
又は第三者に居住建物の使用若しくは収益をさせることができない。
4 配偶者が第一項又は前項の規定に違反した場合において、居住建物の所有者が相当の期間
を定めてその是正の催告をし、その期間内に是正がされないときは、居住建物の所有者は、当
該配偶者に対する意思表示によって配偶者居住権を消滅させることができる。
 
(居住建物の修繕等)
第千三十三条 配偶者は、居住建物の使用及び収益に必要な修繕をすることができる。
2 居住建物の修繕が必要である場合において、配偶者が相当の期間内に必要な修繕をしない
ときは、居住建物の所有者は、その修繕をすることができる。
3 居住建物が修繕を要するとき(第一項の規定により配偶者が自らその修繕をするときを除
く。)、又は居住建物について権利を主張する者があるときは、配偶者は、居住建物の所有者
に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。ただし、居住建物の所有者が既にこれを
知っているときは、この限りでない。
 
(居住建物の費用の負担)
第千三十四条 配偶者は、居住建物の通常の必要費を負担する。
2 第五百八十三条第二項の規定は、前項の通常の必要費以外の費用について準用する。
 
(居住建物の返還等)
第千三十五条 配偶者は、配偶者居住権が消滅したときは、居住建物の返還をしなければなら
ない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場合は、居住建物の所有者は、配
偶者居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還を求めることができない。
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により
配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居
住建物の返還をする場合について準用する。
 
(使用貸借及び賃貸借の規定の準用)
第千三十六条 第五百九十七条第一項及び第三項、第六百条、第六百十三条並びに第六百十六
条の二の規定は、配偶者居住権について準用する。
 
 
第二節 配偶者短期居住権
 
(配偶者による使用)
第千三十八条 配偶者(配偶者短期居住権を有する配偶者に限る。以下この節において同じ。)
は、従前の用法に従い、善良な管理者の注意をもって、居住建物の使用をしなければならない。
2 配偶者は、居住建物取得者の承諾を得なければ、第三者に居住建物の使用をさせることが
できない。
3 配偶者が前二項の規定に違反したときは、居住建物取得者は、当該配偶者に対する意思表
示によって配偶者短期居住権を消滅させることができる。
 
(配偶者居住権の取得による配偶者短期居住権の消滅)
第千三十九条 配偶者が居住建物に係る配偶者居住権を取得したときは、配偶者短期居住権は、
消滅する。
 
(居住建物の返還等)
第千四十条 配偶者は、前条に規定する場合を除き、配偶者短期居住権が消滅したときは、居
住建物の返還をしなければならない。ただし、配偶者が居住建物について共有持分を有する場
合は、居住建物取得者は、配偶者短期居住権が消滅したことを理由としては、居住建物の返還
を求めることができない。
2 第五百九十九条第一項及び第二項並びに第六百二十一条の規定は、前項本文の規定により
配偶者が相続の開始後に附属させた物がある居住建物又は相続の開始後に生じた損傷がある居
住建物の返還をする場合について準用する。
 
(使用貸借等の規定の準用)
第千四十一条 第五百九十七条第三項、第六百条、第六百十六条の二、第千三十二条第二項、
第千三十三条及び第千三十四条の規定は、配偶者短期居住権について準用する。