おてんとうさんのつぶやき & 月の光の思案 + 入道雲の笑み

〔特定〕行政書士/知的財産管理技能士/国家試験塾講師等が生業の巷の一介の素浪人の日常

ツケ飲み 注意 ?

2021-05-25 | ◆ 業 務 参 考( 総 合 )

 

一年も過ぎると 女将さんも 『マア いいか 常連さんだもの ネ』と

ツケ飲み代をマッサラニシテ済ませてくれたことがあった かも知れないけれど

五年が過ぎるまでともなると 心変わり ? が二三年後にでも 無いとは言えない 

かも ?

それはさておき

時効のことは 日常生活でも 一応注意しなければならないことだと思われます
どちらかというと 消滅時効 の知識は備えておくと好いのでは

例えば
料理店・飲食店さんの支払を ツケ にしてもらった

DVDのレンタルを多く利用する

などを経験の方は 帳消しになる(帳消しを主張する)ことが以前より厳しくなった
ことなどを 知っておいたほうが好いということ

飲み屋さんの借り(改正前条文での 飲食店・飲食料 とか) 
レンタルしたものを借りっぱなしでのレンタル料(同 動産の損料に係る債権 とか)
については
一年の短期消滅時効 が適用されていた

工事に関する債権 とか 弁護士の職務に関する債権 とか 小売商人の商品代価債権
とか 運送賃債権 とかの 職業別の短期消滅債権(1年の・2年の・3年の)は 
削除

された

時効の改正のことで 特に気になるところを できるだけシンプルに アットランダムに 
記しておきたいと思いました

       ( このブログ内で 説明が繰り返しになるところは どうぞご容赦を )

・ 裁判を起こして支払を求めたりしたのなら 権利を行使する意思が明らかといえるので
  その手続が終わるまで時効の完成が猶予され 裁判の結果などで債権の在ることが公に
  認められると 時効の更新となり 消滅時効の進行が振り出しに戻る
                            (147・148・149)

・ 催促〔裁判外での催告〕をすると6か月間の時効の完成猶予となるけれど それだけで
  は権利の在ることが明確になったと評価できる事実が発生したことにはならないので6
  か
月以内に裁判手続などを起こす必要がある(150)

・ 「中断」という表現では いったん止まるだけなのかスタート時点に戻るのかハッキリ
  とせず不明確なので 「更新」として振り出しに戻ることをハッキリさせた
  「時効の停止」というのは一時期だけストップするだけと明確にするために「完成猶予」
  という呼び名にした

・ 時効の完成猶予の事由として 「協議を行う旨の合意」 を新しく加えた

  話し合いを続けている最中に 突然時効満了の主張があったりするのは 信義に反する
   ので  (151①)

・ 説明の繰り返しにもなるが 裁判で判決が出るまでには それなりの時間が経過する
  そこで 勝訴判決を得るための前の段階である訴訟提起は当然として 
  債務者への催告・協議の合意などがあった場合には 時効完成を猶予する という仕組
  み
を設けている

・ 短期消滅時効の廃止とともに 商法522条<商事消滅時効>も削除された

  商行為によって生じた債権に対しても 改正された新166条1項が適用になる

・ 新166条 は 消滅時効についての 二重(二段階)の期間
  《 行使できることを知った時から 5年
    行使できる時から 10年 
  の規定となった
  債権者が権利を行使できることを知っていたかどうか 知っていたとしたらその時点は
  いつなのかということが 「時効期間とその起算点」に影響を及ぼす

〔質問があったりしました   私見ですが・・・〕
・ マンションにおける管理費等の債権は 管理規約の規定に基づいて区分所有者に対して
  発生し 具体的な額は総会決議で確定し 月毎に支払われている
  これは 基本権である定期金債権から派生する支分権として改正前民法169条所定の
  債権に当たる というのが 判例です         [最判平成16・4・23]
  5年の短期消滅時効にかかるという結論が下されています

  判決に登場していた169条の内容の規定は 改正民法に登場していません
  【定期給付債権の短期消滅時効】の規定はなくなりました
  
  消滅時効の基本となる新166条の適用となり〔債権者(管理組合)が権利を行使す
  る
ことができることを知った時から五年間行使しないとき〕に時効消滅するというこ
  と
になる との理解になると考えられます
  五年の消滅時効にかかる ということに変わりはない と 考えます

・ なお 附則に 【 第10条 時効に関する経過措置 】が在ります
  特に 実務者さんに関連のことと捉えられましょうが 念のため 

(時効に関する経過措置)
第十条 
施行日前に債権が生じた場合(施行日以後に債権が生じた場合であって、
その
原因である法律行為が施行日前にされたときを含む。以下同じ。)における

の債権の消滅時効の援用については、新法第百四十五条の規定にかかわらず、

なお従前の例による

2 施行日前に旧法第百四十七条に規定する時効の中断の事由又は旧法第百五十八
条から第百六十一条までに規定する時効の停止の事由が生じた場合におけるこれら
の事由の効力については、なお従前の例による
 
3 新法第百五十一条の規定は、施行日前に権利についての協議を行う旨の合意が
書面でされた場合(その合意の内容を記録した電磁的記録(新法第百五十一条第四
項に規定する電磁的記録をいう。附則第三十三条第二項において同じ。)によって
された場合を含む。)におけるその合意については、適用しない

4 施行日前に債権が生じた場合におけるその債権の消滅時効の期間については、
なお従前の例による

                           

ということで

第一節 総則 のところは 条文の位置がズレタリ 停止とか中断の言葉が猶予とか更新
と変わったためによる改変という意味での改正 というような部分もありますが 全体的

大きく 形が変わっていると言えます

第二節 取得時効 は 条項に変化なし

第三節 消滅時効 にも 大きな改変あり

というところでしょうか

受験生の方は 特に 六法で ジックリ 確認してください

改められた条項を主として 載せてみます    ※ 項号全体・部分等の省略アリ
前にも記しているように 判例などで以前から指摘されていたことを 明文化した
というものがホトンド といってよいと考えます

総則

(時効の援用)
第百四十五条 
時効は、当事者(消滅時効にあっては、保証人、物上保証人、第三取得者その他権利
の消滅について正当な利益を有する者を含む。)が援用しなければ、裁判所がこれに
よって裁判をすることができない。
 
(裁判上の請求等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十七条 
次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(確定判決又は確定判決と同一
の効力を有するものによって権利が確定することなくその事由が終了した場合にあっ
ては、その終了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 裁判上の請求
                  
2 前項の場合において、確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって
権利が確定したときは、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその
進行を始める。

(強制執行等による時効の完成猶予及び更新)
第百四十八条 
次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了する(申立ての取下げ又は法律の規
定に従わないことによる取消しによってその事由が終了した場合にあっては、その終
了の時から六箇月を経過する)までの間は、時効は、完成しない。
一 強制執行
二 担保権の実行
三 担保権の実行としての競売の例による競売
四 財産開示手続又は第三者からの情報取得手続
 
2 前項の場合には、時効は、同項各号に掲げる事由が終了した時から新たにその進
行を始める。ただし、申立ての取下げ又は法律の規定に従わないことによる取消しに
よってその事由が終了した場合は、この限りでない。
 
(仮差押え等による時効の完成猶予)
第百四十九条 
次に掲げる事由がある場合には、その事由が終了した時から六箇月を経過するまでの
間は、時効は、完成しない。

一 仮差押え
二 仮処分
(催告による時効の完成猶予)
第百五十条 
催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定
による時効の完成猶予の効力を有しない。

(協議を行う旨の合意による時効の完成猶予)
第百五十一条 
権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げる時のいずれか
早い時までの間は、時効は、完成しない。

一 その合意があった時から一年を経過した時
二 その合意において当事者が協議を行う期間(一年に満たないものに限る。)を定
めたときは、その期間を経過した時
三 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされた
ときは、その通知の時から六箇月を経過した時

2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、
同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。
ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時か
ら通じて五年を超えることができない。

3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第一項の合意は、同項の規
定による時効の完成猶予の効力を有しない。
同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。

4 第一項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人
の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機に
よる情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合
意は、書面によってされたものとみなして、前三項の規定を適用する。

5 前項の規定は、第一項第三号の通知について準用する。

(承認による時効の更新)
第百五十二条 
時効は、権利の承認があったときは、その時から新たにその進行を始める。

2 前項の承認をするには、相手方の権利についての処分につき行為能力の制限を受け
いないこと又は権限があることを要しない。

(時効の完成猶予又は更新の効力が及ぶ者の範囲)
第百五十三条 
第百四十七条又は第百四十八条の規定による時効の完成猶予又は更新は、完成猶予又は
更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

2 第百四十九条から第百五十一条までの規定による時効の完成猶予は、完成猶予の事
由が生じた当事者及びその承継人の間においてのみ、その効力を有する。

3 前条の規定による時効の更新は、更新の事由が生じた当事者及びその承継人の間に
おいてのみ、その効力を有する。
 

第三節 消滅時効

(債権等の消滅時効)
第百六十六条 
債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。
 
二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。
 
2 債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使
しないときは、時効によって消滅する。        
 
3 前二項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のため
に、
その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。
ただし、権利者は、その時効を更新するため、いつでも占有者の承認を求めることがで
きる。


 
(人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効)
第百六十七条 
人の生命又は身体の侵害による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第一項第二号の
規定の適用については、同号中「十年間」とあるのは、「二十年間」とする。

(定期金債権の消滅時効)
第百六十八条 
定期金の債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。

一 債権者が定期金の債権から生ずる金銭その他の物の給付を目的とする各債権を行使す
ことができることを知った時から十年間行使しないとき。

二 前号に規定する各債権を行使することができる時から二十年間行使しないとき。

2 定期金の債権者は、時効の更新の証拠を得るため、いつでも、その債務者に対して承
書の交付を求めることができる。

(判決で確定した権利の消滅時効)
第百六十九条 
確定判決又は確定判決と同一の効力を有するものによって確定した権利については、十年
より短い時効期間の定めがあるものであっても、その時効期間は、十年とする。


2 前項の規定は、確定の時に弁済期の到来していない債権については、適用しない。
 
第百七十条 削除  第百七十一条 削除   第百七十二条 削除
第百七十三条 削除   第百七十四条 削除