昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(124)文明の進化路線に逆らえるか(31)野田首相と橋下市長)

2012-07-17 08:52:45 | エッセイ
「確実に決める政治をされている。野田首相はスゴイ」
 と野田首相に対する評価を最近一転した橋下大阪市長に対し、野田首相は昨日フジテレビの番組で「切磋琢磨できる印象だ。本質をすぱっと分かりやすい言葉で話し、素晴らしい資質を持っている」と応じた。
 
 

 これにより「民主党が前回の選挙で国民から受け入れられた<国民のための生活>という理念を放棄したと批判し離党した小沢新党が、期待していた橋下氏から袖にされたことが明白となった。

 <増税反対><脱原発>など、国民に迎合して選挙に勝利することこそ最優先の課題であると主張してきた点では小沢氏と同じ立ち位置にあったはずの橋下氏がなぜここへきて姿勢を一転させたのか?

 野田首相が選挙の際のマニフェストを無視したのは、政権の座に就いて<理想>だけではいかないという<現実>に直面したからだ。
 今や日本の国民生活も、グローバルな政治、経済にグリップされている。
 国際的な影響力を無視して、鎖国的な<理想論>に身を委ねるわけにはいかない<現実>がある。
 国民生活もグローバルな国際経済競争に晒されている。

 <原発問題>も否応なく関わってくる。
 <脱原発>は人類の大きな課題として世界に問いかけていかなければならないが、現状は経済的な<国民の生活>重視に足を引っ張られているという<現実>がある。

 「橋下氏は野田首相の政策に賛成したのではなく、党を分裂させるという小沢氏の脅しを押し切って増税に踏み切った実行力に共感したのだろう。大阪市の労働組合との闘いを続けている橋下氏の直面する課題は、野田氏と同じで、日本の根強いタコツボ構造による過剰なコンセンサスを断ち切ることにある」(経済学者、池田信夫氏)
 という見方もあるが、橋下氏は評論家的な<理想主義者>ではなく、政治家としての<現実主義者>の本質を備えているという点で野田氏と共感するのであろう。