昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(125)絶望なんて贅沢

2012-07-30 05:30:54 | エッセイ
 昨日の朝、NHKテレビ桂文珍のスペシャル対談で山本一力氏が語っていた。
 
「やるしかない人間にとって絶望なんて贅沢だ」
 彼が作家になる前、3億円もの巨額の借金を抱えていたことを始めて知った。
 その借金を解消するには<書くこと>しかないと決意する。
「幸せは自分で作る」「足ることを知る」
 彼のひと言ひと言がぼくの心にずしりと響いた。

 ぼくは彼の本を読んだことがない。彼の作品を求めて図書館に向かう。
 暑い! 行きは歩きだったが、帰りはバスにする。
 コンビニで新聞とアイスを二個買う。
 帰ると空気が通うようにドアが空かしてある。
 家内はベランダへ出ていた。
「泥棒に入られるよ」と声をかけると「だいじょうぶよ」と返される。
 たしかに取られるものなんてない。
「お昼はないわよ。自分で考えて」と突き放される。
「アイス買ってきたからこれでいいや」「アイスなんていらない」とすげない。
 不機嫌だ。自分の分を食って、もう一個は冷蔵庫に入れる。
 借りてきた山本一力氏の<蒼龍>の解説の部分を読む。
 ・・・今度こそは、今度こそは、とこうやって幾度家族そろって原稿を出版社に届けに来たことだろうか・・・
 あれだけ借金を抱えていながら、家族の支えがあったんだ。
 奥さんは彼の才能を信じていたんだ。・・・ウチは? ぼくは何をやっているんだ。
 <のんきな父さん>の評価しかない。
 暑さにくたびれてベッドで仮眠する。
 突然、上でドスンという鈍い音。
 調べてみると頭上の神棚の支えがバカになっている。

 神棚を下ろして直しにかかる。
 神棚の上にホコリが積もっている。
 神さんだって、たまには掃除してくれよ!って怒鳴るわけだよな。
 場合によっては頭に落ちてきて、わが人生一巻の終わりだったかも・・・。

「何やってるの? おにぎり作ってあるから・・・」
 家内から声をかけられた。
 まだまだ<のんきな父さん>で頑張るしかない。
 <絶望>だなんて贅沢は言ってられない。
 山本一力さん、ありがとう!

 耐え忍んで、耐え忍んで、U23日本男子サッカーが、スピードの永井の勝利弾でモロッコに勝利。ベスト8に勝ち進んだ。
 
 起きていてよかった!