昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

小説「カナダ旅行」(2)成田国際空港(2)

2016-09-08 04:05:32 | 小説「カナダ旅行」
「司さま、お得意さま、こちらへどうぞ!」
 ・・・なんで名前まで分かるんだ?・・・
 車から降りると、小太りのおやじが手を取らんばかりにすり寄ってきた。
 ・・・そうか、車のナンバーでチェックしたんだ、何しろ今年、2月のハワイ、3月のイタリアそして今回と3回目の利用だもんな。お得意さまのはすだ。・・・
 小太りの男は間違いなく経営者だ。対応がスゴイ。
 
 ・・・施設の貧弱さとは対照的に客が多いはずだ。次回もここを利用しよう・・・
 受付を済ますと成田空港までの送迎バスに乗り込んだ。
 
 すでにひと家族、乗っている。
「はるみ、おじいちゃんがサーフィンを教えてやるからな」
 カワイイ女の子に話しかけている。
「ねえ、おかあさん! おじいちゃんてサーフィンできるの?」
「そんなの出来るわけないでしょ。言ってるだけよ」
 優しそうなお父さんが三世代の会話にニコニコ笑顔で混じっている。
 
 サイパンにでも行くのだろうか。
 
「まだ、時間があるわね。お腹が空いちゃった。何か食べましょう」
 空港の出発ターミナルに入ると妻が言った。
 ・・・ラ・フェスタ、ここがよさそうだ・・・
 
「チャーシューがおいしそう!」
 ボクもそれを注文した。
 
「うまい!」思わず声に出して言った。
 空港内の食堂なんか、と期待していなかったので予想外だった。
 チャーシューもうまいけど、ネギがしゃきしゃきしていい香りだ。
 のんびりかまえて時間を潰しているつもりだったが、外貨両替所が長蛇の列で思わぬ時間をとってしまった。
 目標のHカウンターに着いたのが集合時間の19時ジャスト。
 しかも並んだ近ツリの列は違う団体だ。
「違うわよ、向こうよ!」
 集合時間になんと10分も遅れてしまった。

 ─続く─ 
  
  
      




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