昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(55)内モンゴル自治区

2012-06-22 05:42:51 | 三鷹通信
 昨日のFサロンは、内モンゴル自治区出身の段瑞聡慶応義塾大学教授をお招きして内モンゴル自治区について語っていただいた。
 御年45歳。日本青年のような爽やかな印象、よどみない日本語は日本人以上である。
 具体的な資料を基に、極めて客観的な講義をしていただいた。

 以下は、あくまでもぼくの勝手な感想である。
 
 
 正直、モンゴルと言うと白鵬に代表される大相撲の力士、それに大草原のイメージしかなかった。 
 

 モンゴルと言っても、モンゴル民族の居住するモンゴル高原のうち、ゴビ砂漠の北に位置する外蒙古と呼ばれる<モンゴル国>が大相撲力士の出身地で、今日話題にするのは内蒙古であって中国領である<内モンゴル自治区>である。
 そんなことすらはっきりとは知らなかった。恥ずかしいかぎりである。

 モンゴ ル国の人口が300万人余りに対して、内モンゴル自治区の人口は2,500万人余り、土地も日本の3倍もある。
 内モンゴル自治区と称しているが住民の80%は、中華人民共和国建国以来移入が増えた漢民族である。モンゴル民族は17%にしか過ぎない。
 中国政府はチベット問題など少数民族問題を抱えているので、対応には特に気をつかっている。

 自治区のトップには少数民族から起用し、党や政府機関の幹部も人口比率からすると少数民族から多く起用するなどの配慮をしている。学校の受験に際しては、少数民族はより低い点数でも受かるなどという配慮もなされている。(そういうのは不公平だという不満を引き起すタネにもなっているが・・・)
 しかし、共産党一党支配の中国にあっては、自治区と言えども党のトップが少数民族から起用されることはない。大元では、しっかりと中央に支配されている。自治区とは名ばかりのようだ。

特に内モンゴル自治区は天然資源にめぐまれていて、石炭の他、レアアースなどの希少鉱石の大半はこの地区で得られるので、そういった観点からもモンゴル族独立運動は徹底的にチェックされるだろう。
 

中国が北朝鮮に肩入れしていることは周知の通りだが、もし、南北朝鮮が統一されることになれば、現在中国が支配し、朝鮮族が多数住んでいる元朝鮮高句麗時代の領土が、領有権問題の火種となりかねないという懸念がある。
 世界的に民族独立の動きがある中、沢山の少数民族を抱える中国にとって、民族問題が一番頭を悩ませるところであろう。

 バブルのころレストランを経営していた友人が言っていたことを思い出した。
 中国人を出入り50人雇った。
 北京、上海、四川、南京、各地の有名大学から来ていて、大半は東大だった。
 みんな頭はよかったが、郷土意識が強く仲が悪かった。
 特に北京、上海の仲の悪さには閉口した。
 上海人はいっさい北京語をしゃべらない。
 土地生まれのグループで行動する。
 その他の大学人は虫けらあつかい。
 まして台湾人はゴミ扱い。


 同じ民族同士でも自意識が強い。
 ましてや多民族に対してはなかなか寛容にならないのでは。
 政府のコントロールが強固になる所以か。
 あらためて、日本人の甘さを実感するとともに、この寛容の精神をいかに伝えるべきかを思った。

 
 
  


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2 コメント

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漢民族&中国の今 (すこや)
2012-06-23 23:43:00
この記事を読んで、偶然ですね。三鷹の某所のカウンターで飲んでて、私の大連旅行経験の話に口を挟んできたのが臨席の若者(40ちょっと前か)。これが日本人かと思った日本語完璧。知識のレベルが半端じゃない。そしてそこへ70代の老夫婦が入ってきて、中国人と知るや「共産党のあり方」論争を彼と始めた。この老人、半端じゃない筋金入りの毛沢東主義。こんな人がまだ日本に元気でいるのかと思うようなものすごい読書量を誇る「知識人」だったが、この中国人(北京生まれ)は同じ文献の読書量がもっとすごかった。青年の方が論理的で、資本主義化した中国の悩みを丁寧にに解説した。すごいやつが居るのだなと思いました。私のの高齢者論を強く支持してくれて、また飲むことになったり…。マロさんの中国論に加えて、新旧の中国人の議論対立も勧化ねばならない国際情勢が、身近に迫っていると感じました。
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Unknown (昭和のマロ)
2012-06-24 06:57:38
 すこやさんの懸念される通りですね。
 同じ多民族国家でも、アメリカと異なり、中国では<民族問題>のマグマは流動的で収まっていません。
 中国政府としても内外に強硬な姿勢を取らざるを得ないでしょう。
 そしてその派生するトラブルに日本も巻き込まれることは必至です。
 <民族問題>は領土問題ともからんで、<平和>を語る国際政治の場でも目の離せない問題です。
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