昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

三鷹通信(179)第23回読書ミーティング(1)

2017-04-09 11:18:15 | 三鷹通信
 現役編集者の主宰する<第23回読書ミーティング>
 冒頭は、講師推薦の村上春樹「騎士団殺し」である。
 もちろん、大話題作である。
 初版から130万部(第1部70万部 第2部60万部)を用意し、真夜中に売り出し、行列ができるという、ありえない光景にびっくり!
 奇異な題名にもびっくり! しかも512ページ+544ページという大作!
 講師から「読んでみましたか?」という問いかけに、9名の参加者中買って読んだ人は4人。
 話題に興味はあっても、ボクには読む気はしない。
 村上春樹の作品そのものに関心がないのが3名いた。

 ボクが読む気がしないのは、分厚すぎる。歳のせいか、最近では長編ものに食指は及ばない。
 それに、村上春樹の本は講師が指摘するように、筋立てが推測できるという意味で新鮮味が感じられない。
 ①何かを失った主人公、あるいはあらかじめ何かを失ってしまっている主人公が、喪ったものを捜す旅に出て、
 ②紆余曲折を経て、苦難の果てにそれを取り戻すが、
 ③そのことによってまた別の喪失感を抱く。

 主人公の生きる世界は現実と非現実が交差しており、そのいずれにも<善悪>を超える<悪>が存在するという内容には共感を覚えるという意味で、今まで彼の作品を関心を持って読んできた。
 最初は<ノルウェイの森>の評判に釣られて関心を抱いたのだが、特に、短編<象の消滅>に痛く感銘を受けた。
 現実と非現実を描いて、人間の社会に潜む喪失感を浮かび上がらせるテクニックに・・・。

 村上春樹は、一部の選考委員の強硬な反対もあって、2度候補には上がっているが芥川賞を受けるに至っていないことでも有名だ。
 外国文学の剽窃ではないか、と謗られ「剽窃のどこが悪い」と反論もしている。
 むしろ文学的評価は日本より外国で高く、フランツ・カフカ賞、エルサレム賞、カタルーニャ国際賞、ウェルト文学賞など多数受賞していて、本も売れている。
 毎年ノーベル文学賞を期待もされている。
 ところで、今回の作品「騎士団長殺し」は、これまでとは異なる新境地に踏み込んだという評価もある。

 ─続く─