昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(280)金にまつわる不正行為を制御できるか?

2015-10-18 20:32:22 | エッセイ
 昨日は三鷹市民大学特別講座、第2弾「ピケティの21世紀の資本」について、翻訳者、山形浩生氏の講演を聴いてきた。
 
 5,500円の700ページもの分厚い本が日本でも十数万冊も売れたそうである。
 「格差」に焦点を当てたという点で注目を浴びたのだ。
 煎じ詰めれば・・・
 (1)世界中で所得と富の分配の不平等が進んでいる。
 (2)その原因は経済の成長取り分より資本の取り分が大きくなるからだ。
 (3)この世界的所得格差を是正するためにはグローバル資産課税や累進課税を促進しなければならない。
 という3点に集約できる。
 要するに1%の大金持ちに世界の富が集中しており、放っておけばこの傾向はますます拡大するよという警告書だ。

 これが引き金で4年前、アメリカ、ニューヨークのウオール街でデモが行われたのを覚えているだろう。
 
 99%の一般大衆を無視した取引なんかやめてしまえ!というわけだ。

 身体を張って働く人たちより、この世は金(資本、資産)を持っている人の方が儲かる仕組みになっている。正常な投資であればともかく、少なくとも不正とみなさざるを得ない類のものは取り締まる必要がある。
 たとえばヘッジファンドなどは投機マネーを駆使して、より損しない仕組みを考え出し、儲けはケイマン諸島などの税金のかからない所へ逃避させている。
 さらに最近はスターバックスやアマゾンやグーグルまでマネーの流れを駆使して巧妙に税金逃れをしている。
 
 

 さらに、正常な企業活動の中にも、フォルクスワーゲンや三井建設のように不正な手段を駆使してでも利益をあげようとしている。
 
 
 とかく金(資本、資産)の魔力に人は引きずり込まれやすい。
 不正と分かっていても手段を択ばない。
 これを取り締まる役は政治家にあると思うが、これが一蓮托生では話にならない。

 取り締まるべき役割の政治家は、あくまでも清廉潔白な倫理観を有した人物を選ばなければならないということだ。
 
 ここで、はるか昔、アテネのペリクレスという指導者を思い出す。
 
 民衆に悪口雑言を言われながらも、自身は財産を増やすという点ではあくまでもクリーンさを保ち40年間統治しつづけたという稀有な指導者だった。
 つまり、民衆とは統治されることは受け入れるが、統治者が不正に身を肥やすことを嫌い、しかも批判の権利だけは手放したくないという性格をもっていることを熟知していたのだ。
 
 これからの指導者はあくまでも清廉潔白、ちょっとやそっとの批判、悪口にはびくともしない「不正は打破するという強い倫理観」に基づく信念の人物を選ばなくてはならないということだ。

 <好奇心コーナー>
 
 
 小平 智 池田勇太との激闘を制し日本オープンゴルフで優勝。
 
 昨年の屈辱をはねのけて、キミは成長した!
 今後に期待できる清々しい闘いだった。