昭和のマロ

昭和に生きた世代の経験談、最近の世相への感想などを綴る。

エッセイ(14)自然

2008-10-17 05:58:40 | エッセイ
 自然の恵みというと、河島英五のことを思い出す。
 <酒と泪と男と女>、<時代おくれ>、<野風増>などで有名な歌手だ。

 彼がテレビで瀞八丁紀行のことを語っていた。
 三重、和歌山、奈良三県にまたがる瀞八丁のことだ。
 
 瀞とは水が淀んだ部分です。
 流れる川からカヌーで入って行く。
 低い目線に緑と空の青がどーっと覆いかぶさってくる。
 日本というより、中国の千年の歴史に浸っているような気分になる。
 釣った鮎を即、川辺で焼いて丸ごと食べる。
 ”うまい!”
 わるいけど皆さんに伝える言葉がない。
 高菜で巻いたおにぎりを一口でほおばる。

 秘境<七重の瀧>まで登って、ミネラルいっぱいの清冽な川の水を賛美する。
 ついでに苔まで味わってしまう。
 山間をドライブすると野うさぎがヘッドライトから逃れられない。
 追いかけていくと意外に肺活量がなくてぜいぜいしている。
 そして木や草花の声が聞こえてくる。

 淡々と語る受け口の彼に、歌うときとは別の、人間的素材の魅力を感じた。
 司会の向井亜紀さんは、彼に野人としての男っぽさを感じたのか興奮しているように見えた。

 そんな彼は48歳の若さで逝ってしまった。
 天に召された河島英五よ永遠なれ!。