みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

五月闇

2005年07月18日 | 俳句・短歌
枝豆をつまむ幼児と晩酌す
(矢島渚男)

万緑や我が恋川をへめぐれる
(角川源義)

しほるるは何かあんずの花の色
(松永貞徳)

昼顔を風がゆがめし写楽の絵
(鈴木多江子)

五月闇ゴルフボールの新しく
(明石市 川木明光)

五月闇屋敷の隅に舫(もや)ひけり
(岡山市 大森哲也)

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

・枝豆の句、なごやかで、あたたかな、家庭の情景。
・万緑の句、「へめぐる」=「経回る」=「遍歴する」なんですね。みどりの川底を魚たちの群れ集って泳ぐ様子が印象的。
・あんずの句、あんずが「案ずる」「杏」の掛詞で、しほるる、花の色からは、あの小野小町の歌「花の色は~」を踏まえて詠まれてる。芸、細かすぎ。
・昼顔の句、ちょっとアートな絵をみてるような・・・。昼顔と写楽が繋がる作者の瑞々しい感性に脱帽。
・ゴルフボールの句、黒と白の対比の妙、絵になるな。五月闇の和とゴルフボールの洋の組み合わせも、印象的。
・船を舫う句、闇に浮かび上がる屋敷から洩れるほの明るい灯火(ともしび)はラ・トゥールの絵のように船人を照らし出す。闇の中を行く船の航跡が、す~っと線になる様子も風情のある日本画のよう。たいへん趣ある一句。

7/13放送のNHK俳句にて
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世界バレエコンクール クラシックバレエ ファイナル

2005年07月16日 | バレエ
今日は世界バレエ&モダンダンスコンクールのクラシックバレエ部門ファイナルに行く。
世界バレエ&モダンダンスコンクール
バレエ鑑賞は、まだ入門したばかりで、わからないことばかりだけど、美しい舞に、うっとり見とれて、至極、満足。内心「凄い」「凄い」を連発。男性ダンサーの高い跳躍、切れ味のある回転、流れる線の美しさ、男の目からみても、惚れ惚れする。
上手い、上手くないはよくわからないのだけど、クラシックの作品の中で、気に入ったのは「タリスマン ヴァリエーション」というもの。繊細で揺れるような女性美が特に印象に残った。
クラシックもよかったのだけど、コンテンポラリー(最近の振り付けの)作品がより楽しめたかな。思わず会場が笑いの渦になるようなユニークな作品(振り付け)や、コミカルな踊り、男性ならではの激しさ力強さを表現したもの、さまざまで、ほんとうにバレエって、体を使った動く芸術であるなぁ、と思う。
しかし、ほんとうに様々なコンテンポラリー作品、一体どんな観点で、審査をするんだろうか?疑問?
2回の休憩をはさみ、4時間の長丁場で、正直、疲れました。(コンテンポラリーが後でよかった・・・)
(追記05/07/17)
そう言えば、ピアノの先生によれば、バレリーナの多くの人は、バレエが上手くなるために、ピアノを習うのだそうだ。確かに、表現上のメリハリ、自然なリズム感・・・。ピアノを美しく奏でることと、バレエを美しく踊ることは、相通じるものがある。
美しさの基本は、背筋がすくっと伸びていること、変な力が入っていないこと、しなやかなことだ。
結果発表でコンテンポラリーで印象的な方が、上位入賞だなぁ。いいなぁと思った人が上位入賞するの嬉しいですね。
・アレクサンドル・ブーベル「ランチ ブレイク」
・ヤナ・サレンコ「ラ・ランデヴー」
・キム・ヤンヨン
・ダニイル・シムキン

バレエなんか、女性の楽しむものという偏見で、人生何年も、損してたかもしれない。自分で勝手に壁を作ってしまわないようにしないと・・・。
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スタインウェイ・フルコンの練習室

2005年07月10日 | ピアノ
愛知県北部方面(大口町近隣)のピアノ好きな方には、耳寄りで嬉しいニュース。(ちょっと、号外を出したいくらいに!)
先週、新聞で、大口町にスタインウェイのピアノが寄贈された旨の記事が出てて、気になっていたのですが・・・。問い合わせてみると、なんと!、大口町のほほえみプラザにて、スタインウェイのフルコンD274が弾けることが判明。しかも以下の利用料で。

 ・ 9:00~12:00 1900円
 ・12:00~17:00 2500円
 ・17:00~21:00 2200円(施設使用料とピアノ使用料の合算)

また、スタインウェイクラブなるピアノの友の会も発足で、会員になると、年会費3000円で
 ・ 9:00~12:00 450円
 ・12:00~17:00 750円
 ・17:00~21:00 600円

で利用可能とのこと。もちろん、この会に早速入会しました。営利目的での利用はできないけれど、仲間内でのピアノの会などにも活用できますね。大口町近隣のピアノ愛好家の方には、たいへんお薦めです。新聞の記事では、ただスタインウェイのピアノという表現しかなく、まさかフルコンだったとは思ってませんでした。

今日の午後ずっと弾いたのですが、気持ち良く練習できました。スタインウェイ・フルコンを5時間も自由に弾くのは、はじめての体験で、じっくり弾いてみて感じたのは
 ・高音部、思ったよりも鳴らない(部屋の全面が吸音カーテンだったからか?)
 ・低音部、底なしにパワーに応えてくれる。
 ・思ったよりも鍵盤が重いかんじ(タッチは申し分なし)
 ・高音の金属性の響きが気になる(特にペダル踏んだ時)

など、まぁ猫に小判には違いないのですが・・・。
普通は、こういうピアノはホールの奥にしまわれて、あまり利用されない話も耳にしますが、音楽室で利用できるようにしてくれた関係者の英断に深く感謝!大いに活用させて頂きます。

連絡先:大口町スタインウェイ友の会事務局(温水プール内)0587-95-3155

2007/4/9追記、2007/3月末をもって、この利用料は見直されて、通常の施設利用料となるようです。
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音のかげろう

2005年07月09日 | ピアノ
ピアニッシモになるまでを耐え指先を離れゆくらし音のかげろう
(飯沼鮎子)

三十一文字(みそひともじ)のパレット2より。万智さんの解説にもあるように、かげろうは、陽炎よりも、蜻蛉だと思う。曲の最後、ピアニシモの消え行く中、最後に指先を離す瞬間を「音のかげろう」とは、なんて素敵なんだろう。

ためいきや弱気の夜もあったっけピアノ弾きつつ思う三年
(俵万智)
(元歌は  その夜かの夜よわきためいきせまりし夜琴にかぞふる三とせは長き  与謝野晶子)

みだれ髪チョコレート語訳2より。う~ん。ピアノを弾きながら、そんなこと、僕は考えない。というか、まだ考える余裕は無い。
俵万智さんは、ピアノを弾かれないから、こういう訳になるのかな?弾いているのではなくて、聴きながら、頭を過ぎったんじゃないだろうか?
コメント (2)
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チャイコフスキーコンクール

2005年07月07日 | ピアノ
今更と言われそうだけど、中村紘子著「チャイコフスキーコンクール」を少し前に読んだ。出版されてから既に15年。ピアノ界の古典的名著でしょうか?

趣味でピアノを弾くとは言え、特別に熱心なクラシック音楽愛好家でもないので、ピアノ好きの方との話についてゆけないことも、あるのだけど、少しは改善されるでしょうか?

・コンクールの裏事情 
・どんな観点で審査されるのか? 
・クラシック音楽界に根強く残る女性差別(本書を読んで、上原彩子さんの1位の意味の重さを再認識)
・ロシアピアニズムの系譜(プレトニョフ、ブーニンらも出てきますね)
などなど興味深かった。

本書の問題提起で一番目を引いたのは、今のコンクールの仕組みでは、一芸に秀でた天才は発掘できないという問題点。コンクールの審査は、古典派から、ロマン派、現代、アンサンブルまで幅広いジャンルのどれでも、合格点を取ることが上位入賞の鍵となる。だから、モーツァルトだけ、バッハだけ、圧倒的な才能があっても、予選突破は覚束ないとのこと。偏った分野の100点よりも、平均して80点とれるピアニストが上位に行く。
およそ人間の行うこと、完全なシステムはないのだけど・・・。でも逆に、1つの作曲家、いや1つの作品についてだけのスペシャリストは、案外、身近にいるのかも?アマチュアのピアノ弾きにも1曲だけなら歴史的名演!の可能性はあるのだろう。

折りしも、今年は第15回ショパン・コンクールの年。予選スタートは9月。読んでおくと、コンクール、楽しめるんじゃないでしょうか?今読むなら「コンクールでお会いしましょう」の方かな?

今年は、女史のリサイタルも是非、行ってみたい。
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かたつむり的ピアノ

2005年07月05日 | 俳句・短歌
1年ぶりぐらいに、モーツァルトのソナタK.331(第1楽章)を弾いている。大好きなのだ。
最初にとりかかったのが、2002年の2月なので3年越し。第6変奏の左手で、どう練習しても、うまくいかない箇所があり、チャレンジする度に、跳ね返されていた。
1年ぶりだったけれど、数日、弾いたら、ほぼ1年前の状態に戻って、嬉しいことに、その難関の左手が、けっこう進歩しているのに驚く。粘りが出てきて、ついてゆける感じなんですね。
牛歩というよりも、恐らく、蝸牛よりずっと遅いスピード。でも、進歩している。ピアノを弾いてて嬉しい瞬間。
30も過ぎてしまうと、本当に弾けないところは、1ヶ月、2ヶ月の練習で、どうにかなるものではない。1年、2年の単位なんだなぁ。チェルニーやハノンのような、確実な上達のメソッドが存在するおかげで、こういう喜びが感じられる。幸せなことだ。

話は変わって、日経新聞俳壇(7/3)

青空といふもの知らず蝸牛
(船橋 白石 勉)

この句はいい。大きな空と、小さな蝸牛の対比、乾いているものと、潤っているものの対比がうまい。恐らく、人間は誰しも蝸牛のような存在で、自分には窺い知ることのない、大きな存在、世界があることを暗示している。青空に縁が無い中で、けなげに頑張る蝸牛的存在に対して、作者の冷静さを失わない中で、さりげないいたわりの気持ちも感じられる。たった17文字で、よくもまぁ、俳句の奥深いこと。
でも、最近、蝸牛君をあまり見ないのだけど・・・。彼等、元気にしてるんだろうか?
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ボリス・ペトルシャンスキーのピアノリサイタル

2005年07月02日 | ピアノ
ボリス・ペトルシャンスキーのピアノリサイタルに行く。
この前のプレトニョフに感激して、どうも、ロシア人の追っかけになってるなぁ・・・。
会場の「みのぎくホール」、こじまんまりとしたホールで、かつ、舞台が客席よりもかなり低い位置なので、目の前で、指の動きまで良く見える中、迫力の演奏を楽しむ。このホール、公開レッスンなどにうってつけですね。

前半のショパン、どれも、好感のもてる演奏。後半、超絶技巧と爆音が炸裂するスクリャービンとリスト、間近で見ると、迫力あって、ほんとうに、凄い。聴き応えあり。
今回、作曲家が変わるまでは、拍手しないようにとのことで、拍手したいのにできないのは、ちょっとストレスですね。前半のショパンに関すれば、曲と曲の組み合わせで、ソナタのような、効果を意図されていたんだろうな。即興曲で何気なく、スルスルスルっと始まり、幻想***で自在に展開して、フィナーレは英雄ポロネーズで締め、だ。

聴いていて思ったのは、美しさの基本は、やっぱりレガートだなぁということ。フレーズのかたまりを、もっと感じて、音がきれいに繋がることで、音楽に命が宿るんだなぁ~と。
非常に弾くフォームが美しくて、すくっと伸びた背筋、肘から手首から指先まで、きれいにしなった手の形、無理の無い丸い曲線を描いてる。そのフォームと奏でられる音は、相似の関係にあるように感じる。音の粒が、とても丸くまろやかに感じられたのは、テクニックもそうだけど、たいへん弾き心地の良さそうなベーゼンドルファーのピアノにもよるのだろうか・・・。

あとフィニッシュのフォルテシモを決めた後、左手をグルッと高速で回転させる、キメのポーズ、あの回転スピードは、イチローのバットよりも高速だろうなとか、馬鹿なことを考える、駄目そらみみでした。

自分が弾いたことのある曲は、非常に興味深く聴けるのだけど、アンコールの最後のワルツ7番、今まで聞いた中で、もっともゆっくりで、味わい深い。9番ワルツを思わせるような、おぼろげに、しっとりと歌われた7番。あぁ、こういうのもいいなぁと。弾き飛ばす人が多いから。

いい演奏を聴くと、自分の駄目・駄目さに、ため息ですね・・・。おい、空耳、君、人前で、弾いちゃちゃいかんよ・・・。何が楽しくて、この年になって、ピアノを練習するんでしょうね・・・。

プログラム
~前半(Allショパン)~
・即興曲第1番 ・幻想即興曲  ・幻想曲 ヘ短調 Op.49   ・ポロネーズ第7番 「幻想ポロネーズ」
・ポロネーズ第6番「英雄」
後半
・2つの詩曲 Op.32 ・ワルツ Op.38 ・幻想曲 ロ短調 Op.28  以上スクリャビン
『巡礼の年報第2年イタリア』への追加「ヴェネツィアとナポリ」
ゴンドラの漕ぎ手、カンツォーネ、タランテッラ 以上リスト
アンコール
超絶技巧練習曲「雪かき」、スカルラッティ「ソナタハ長調」、ショパン「ワルツ7番」

in羽島市文化センター みのぎくホール
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