みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

赤い竪琴

2005年07月23日 | 
津原泰水(著)「赤い竪琴」
「竪琴」に惹かれて読んだのですが、とてもよかった。
端整で味わい深い大人の恋愛小説でした。プラトニックだからこそ、どうしようもなく迸る情熱を深く描くことができるのかな?こういう静かで深い話、好きだ。

硬質の文体がポロン、ポロンこぼれ落ちる竪琴の音とマッチしてる。全編、静かな竪琴の音の通奏低音が流れてるようです。
「きらきらきらららしどれみん。」なんて洒落た言葉遊びも、心憎い。

ところどころ現れる、格調高い詩も上品な雰囲気に花を添えてますね。
「吾(われ)、永劫に汝(な)がうちに潜まむ 玄」

主人公が楽器職人ということで、音楽ネタがところどころ現れるのも、音楽好きには面白いですね。
文中登場するイングリッシュ・ヴァイオレットという楽器、共鳴弦による深い響きが得られるんですね。同じように共鳴弦を使うハルダンゲル・ヴァイオリンと仲間の楽器ですね。
それに「イングリッシュ」という言葉の意味も知って、賢くなりました。
「英国」の意味はNG。

正解はドイツ語で「天使の」の意味とのことでした。イングリッシュ・ホルンも同様ですね。

音楽好きの方には、一押しの小説です。
静かに味わって頂ければと。(おわり)

コメント
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