みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

五月闇

2005年07月18日 | 俳句・短歌
枝豆をつまむ幼児と晩酌す
(矢島渚男)

万緑や我が恋川をへめぐれる
(角川源義)

しほるるは何かあんずの花の色
(松永貞徳)

昼顔を風がゆがめし写楽の絵
(鈴木多江子)

五月闇ゴルフボールの新しく
(明石市 川木明光)

五月闇屋敷の隅に舫(もや)ひけり
(岡山市 大森哲也)

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・枝豆の句、なごやかで、あたたかな、家庭の情景。
・万緑の句、「へめぐる」=「経回る」=「遍歴する」なんですね。みどりの川底を魚たちの群れ集って泳ぐ様子が印象的。
・あんずの句、あんずが「案ずる」「杏」の掛詞で、しほるる、花の色からは、あの小野小町の歌「花の色は~」を踏まえて詠まれてる。芸、細かすぎ。
・昼顔の句、ちょっとアートな絵をみてるような・・・。昼顔と写楽が繋がる作者の瑞々しい感性に脱帽。
・ゴルフボールの句、黒と白の対比の妙、絵になるな。五月闇の和とゴルフボールの洋の組み合わせも、印象的。
・船を舫う句、闇に浮かび上がる屋敷から洩れるほの明るい灯火(ともしび)はラ・トゥールの絵のように船人を照らし出す。闇の中を行く船の航跡が、す~っと線になる様子も風情のある日本画のよう。たいへん趣ある一句。

7/13放送のNHK俳句にて
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