みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

チャイコフスキーコンクール

2005年07月07日 | ピアノ
今更と言われそうだけど、中村紘子著「チャイコフスキーコンクール」を少し前に読んだ。出版されてから既に15年。ピアノ界の古典的名著でしょうか?

趣味でピアノを弾くとは言え、特別に熱心なクラシック音楽愛好家でもないので、ピアノ好きの方との話についてゆけないことも、あるのだけど、少しは改善されるでしょうか?

・コンクールの裏事情 
・どんな観点で審査されるのか? 
・クラシック音楽界に根強く残る女性差別(本書を読んで、上原彩子さんの1位の意味の重さを再認識)
・ロシアピアニズムの系譜(プレトニョフ、ブーニンらも出てきますね)
などなど興味深かった。

本書の問題提起で一番目を引いたのは、今のコンクールの仕組みでは、一芸に秀でた天才は発掘できないという問題点。コンクールの審査は、古典派から、ロマン派、現代、アンサンブルまで幅広いジャンルのどれでも、合格点を取ることが上位入賞の鍵となる。だから、モーツァルトだけ、バッハだけ、圧倒的な才能があっても、予選突破は覚束ないとのこと。偏った分野の100点よりも、平均して80点とれるピアニストが上位に行く。
およそ人間の行うこと、完全なシステムはないのだけど・・・。でも逆に、1つの作曲家、いや1つの作品についてだけのスペシャリストは、案外、身近にいるのかも?アマチュアのピアノ弾きにも1曲だけなら歴史的名演!の可能性はあるのだろう。

折りしも、今年は第15回ショパン・コンクールの年。予選スタートは9月。読んでおくと、コンクール、楽しめるんじゃないでしょうか?今読むなら「コンクールでお会いしましょう」の方かな?

今年は、女史のリサイタルも是非、行ってみたい。
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