みちしるべの伝説

音楽と希望は刑務所でも奪えない。

インタビュー&エッチング的アート

2021年03月19日 | 芸事全般
少し前になったしまったけれど、NHK R1 3/12の高橋源一郎「飛ぶ教室」について。
この回のテキストは、いとうせいこう著「福島モノローグ」

本筋とは直接関係ないけれども・・・。
この作品、聞き書きスタイルだけども、極力、インタビューアーの著者の言葉をそぎ落として、話し手だけの言葉で構成した点が、とてもユニークとのこと。
作者は黒子に徹している。
版画のエッチングの技法を、文章作成に応用している感じ。

版画と文芸の異なる分野での相似を知り、とても興味深かった。

あと、作者本人が脇役に回って、作品を作るアプローチも、興味深いのだった。
先日の県芸卒展でも、第3者の体験をインタビューして、それを元にアートを作る作品が、賞を取っていた。
インタビューされる側の体験に基づいて生まれる作品。
分野は違うけれども、この「福島モノローグ」と同じアプローチなのだった。

ネットワークでいろいろなものを繋げるのが流行りの今日、
アートの世界でも協働・コラボレーションのいろんな形が模索されている???

では音楽では?
ラフマニノフの「パガニーニの主題による狂詩曲 - 第18変奏」は
主題を、ひっくり返すところがエッチングに似ている。

相似を見つけるのは、楽しい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

人生に大切なことはすべて絵本から教わった

2018年12月22日 | 芸事全般
目覚めのラジオは、絵本編集者、末盛千枝子さんの講演。
ハートウォーミングで心が洗われる、いい話! 目頭が熱くなる。

想像力、相手への思いやり・労り、奥に隠れて見えないものを見る努力、
眼では見えないそのものの周りのあれこれに思いを馳せること、
絵本でも、音楽でも、分野は違えども、人の心に響く芸術には、共通点があると思う。

様々なエピソードが語られていたけれども、長年、絵本の世界の第一線で活躍されてきた編集者だけあって、心の感度がすばらしい方だと思う。とても説得力がある。
話の中で、ターシャ・テューダーや谷川俊太郎さん、皇后様のことも触れられて、興味深い。

「僕のパパなのに死んだ!」

◎人生に大切なことはすべて絵本から教わった
https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=0969_01_21973
ラジルラジルでしばらく聞けますね。

ピアノ調律師 (末盛千枝子ブックス)
クリエーター情報なし
現代企画室


あなたのひとり旅 (末盛千枝子ブックス)
クリエーター情報なし
現代企画室


わたし (かがくのとも絵本)
クリエーター情報なし
福音館書店

=====
いい話で休日をスタートできて、運が良かった!
話の中で紹介されてた絵本、少しずつ、集めてみようかな・・・。
メリーゴーラウンドに来てもらえないかな・・・。

岩手山、八幡平、姫神山に囲まれた、土地で生活されているとのこと。
一昨年、訪ねてよかった・・・。
後で調べて、キリスト教の信仰もある方だったか・・・。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

分数バイオリンからタングルウッドの奇跡

2015年09月06日 | 芸事全般
先日、姪っ子たちが遊びに来たので、分数バイオリン(ちびっ子用の小さいサイズ)を弾かせてもらいました。

楽器が小さい分、左手の音程の間隔が狭くて、さぞや難しいだろう・・・と思いきや、
意外なことに、けっこう弾けるので、驚いたのでした。 

このところ、ハイポジションを練習することも多くなってきているので、
(高いポジションは左手の押さえる間隔は、とても狭くて、より音程を取るのが難しい!)
ハイポジションで弾く感覚が、応用できているんだなあと思い至る。

子供の頃、分数バイオリンで、練習していて、大きなバイオリンに持ち替えた時、ごく自然に慣れていくことや、
小さい頃からやっている熟達者の方がハイポジションでも、音を外すことがあまりないのも、なんとなく、からくりが分かった気がする。。。

それでも、あのタングルウッドの奇跡は、とんでもないことですね。
(五嶋みどりさんが、演奏中、弦が切れるアクシデントに見舞われ(2回も!)、
3/4サイズから、普通サイズのバイオリンに持ち替えて、一音も洩らさず、弾き切った!)

五嶋みどり タングルウッドの奇跡


世界的ヴァイオリニスト五嶋みどりin長崎 (ノーカット)

本当に、神がかり的ですね。
心の深いところに響いてくる、もう音楽を通り越して、
音楽とは別の芸術表現と言うか・・・。

一度、こういうライブを目の当たりにしたい。。。

アンコール!
クリエーター情報なし
SMJ(SME)(M)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

白銀比

2009年10月04日 | 芸事全般
数と美についての話です。
少し前の日経ですが、「日本人なぜキムタク好き?」という記事がありました。
ここで知ったのは「白銀比」なる、美の基準。
黄金比(1:1.618・・・)はよく知られているけれど、白銀比(1:√2)という比もあるんですね。
記事によれば、
・黄金比・・・クレジットカード、洋書のペーパーブック、モナリザ ⇒ 面長で大人びた印象、西洋人好み
・白銀比・・・日本の文庫本、A判、B判のコピー用紙など、キムタク ⇒ 丸みを帯びて幼い印象、日本人好み
なのだそうです。
白銀比には、"カワイイ文化"に通じる魅力が隠されているかも? と締めくくってありました。

興味深い記事だったので、もう少し調べてみました。

~ 黄金比と白銀比の謎 ~

白銀比は、大和比とも言うのですね。
法隆寺や四天王寺の建築、仏像などにも、この比率が適用されている。ふむふむ。

ピアノの演奏でも、より日本人にしっくりくる演奏には、白銀比がひそんでいるのかも?

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

美しい字について思うこと

2008年03月05日 | 芸事全般
少し前、テレビを見ていたら、書道の番組だった。
偉い書家の先生が、すっすっす~と筆を運んでゆく。体全体でリズムに乗って描いてゆく。その様子を見ていると、すべからく、芸というものは、無駄な力を抜いて、脱力して自然であることが、基本であるのだなと思った。
日展で書を眺めても、ゆわゆら揺れる、たゆたう筆の軌跡が、なんとも言えず艶かしく感じたのだった。

ということで、美しい字に惹かれて、ペン字を練習してみたりする。自分の字、もう少し何とかならんのかな?と常日頃思うところでもあったので。

イメージトレーニングとしては、書家の先生のような、脱力して、すっすっす~と書くのを目指そう。(ペン字と書道ではまるで違うかもしれないけど・・・)
ピアノの経験からすると、何回も弾いて、ほとんど無意識で弾けるぐらい曲を手に馴染ませた状態、その状態まで字を書く動作を手に覚えこませれば、勝算はあるのではないか?と思ったりする。

お手本の字を観察していると、ひらがなって、本当に、美しい形をしているなと思う。微妙なふくらみが魅惑的で、本当に見事な造形、オブジェだなあと思う。

そう言えば、眠りに就く前に、字を練習するのは、気分が落ち着いて、気持ちよく眠りに入っていけるような・・・。気のせいかな?

U‐CANの実用ボールペン字練習帳
鈴木 啓水
ユーキャン

このアイテムの詳細を見る


U‐CANのくらしのつづけ字練習帳
鈴木 啓水
ユーキャン

このアイテムの詳細を見る


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セロトニンとセレニティ

2008年03月01日 | 芸事全般
仕事の雑誌を読んでいたら、鬱病にならないようにするための記事だった。
ポイントは、セロトニンを増やすことだそうな。
セロトニンは、気持ちを穏やかにする作用のある神経伝達物質。この物質が不足すると、感情のバランスが崩れて、ひいては、鬱病を招いてしまう。

では、どうしたら、セロトニンは増えるのか?

1.食事(トリプトファン)。セロトニン合成に必要なアミノ酸、トリプトファンをしっかり摂る。トリプトファンが多いのは、バナナ、乳製品、豆腐、きなこ、大豆加工食品。

2.光。2500ルクス程度の光が良いのだそうだ。朝日を浴びるのがいい。

3.リズミカルな運動。筋肉をリズミカルに緊張・弛緩させる運動がいい。(ピアノのハノンやエチュードはいいかも?)

とのこと。今まで特に意図はしていなかったのだけど、バナナと牛乳、ヨーグルトの朝ごはんを食べ、駅まで、てくてく歩いて行くことは、実は、なかなかに有益な行いだったのだ。今後も継続すべし。

それで、ここからが本題。
この記事を読んで、予想したのだった。
セロトニンの言葉の由来は、英語の「セレニティ」にあるんじゃないかと。
 serenity (セレニティ)=晴朗、うららかさ、静穏、平穏
少し前にグレン・グールドの「アンド・セレニティ」のCDを聴いたところだった。落ち着きのある静かなピアノの調べが、なかなか良くて、「セレニティ」という単語が記憶に残っていたのでした。語感も近縁な感じで、セロトニンはセレニティをもたらす物質であるのだから。

でも、残念。外れ。こちらによれば、セロトニンの命名は、(sero = 血清、ton-ic = 緊張)からだそうな。

それはそうとして、このCDの解説に出ていたグールドの言葉は、一ピアノ愛好家としては、とても示唆深い。

The purpose of art is not the release of a momentary ejection of adrenaline but is, rather, the guradual, lifelong construction of a state of wonder and serenity.
(Glenn Gould)

芸術の目的は、アドレナリンの瞬間的な放出ではなく、驚きと穏やかな心の状態を生涯かけて築いてゆくことにある
(グレン・グールド)

このCD、選曲が素晴らしくて、収められた曲の幾つかは、少しずつレパートリに入れていけるといいなと思う。そのご利益で、静かな温かみのある人格に近づけるといいのだけど・・・。

まとまりが悪いけれど、気分がふさぎこみがちの時は、バナナですぞな、もし。ゴリラを見習ってバナナをバクバク食べてみる。バナナはどこへ行ったかな?バナナ~、バナナ~。ウッホッ、ウッホッ!(駄目だ、こりゃ・・・。)


アンド・セレニティ~瞑想するグレン・グールド
グールド(グレン)
ソニー・ミュージックジャパンインターナショナル

このアイテムの詳細を見る


(写真)福寿草咲き始め
コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

木喰~円の魅力再び

2008年02月13日 | 芸事全般
展覧会の紹介番組で、次の歌が紹介されてて、面白いと思った。

まるまるとまるめまるめよわが心 まんまるまるくまるくまんまる
(木喰)(もくじき)

まるまるまる、見事に、丸いことに拘った歌だ。丸さにかけて、右に出る歌はないんじゃないかな?
詳しいことは、この辺りを読むとして、木喰は、円空より少し後の時代、人の心を丸くするような、丸い仏像を彫り続けたお坊さん。(木喰の彫った仏はこの辺りで見られますね。グーグルでも
以前、円の魅力について書いた(ここの3/17)ことがあるけれども、円の魅力は丸い心に惹かれることでもあるんだな。

そもそも、丸っこいものを見て、心が和んでくる事自体が、神秘で不思議だと思う。

余談、そらみみと円が、円空で繋がっているのは、これまた不思議な偶然だな・・・。
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハーモナイズ効果

2008年02月07日 | 芸事全般
ハーモナイズと言っても、音楽の話ではなくて、香水の話。
少し前、日経夕刊で出てて、なるほどと思った。

ハーモナイズ効果(Harmonious Effect)
一箇所、パズルのようにピースが欠けたみたいに穴があいている香料をつくって、その穴のなかに、消したいにおいの成分がはいると、よい香りとして完成する

いろんな香りが混ざることで、深い余韻を残す官能的な香水が生まれるが、その中の1つの香りは、えてして臭かったりする。
嫌な臭いの代表格、加齢臭も、加齢臭が加わることで、よい香りとして完成する未完成香水を作ってしまえば、さようならですね。こういう逆転の発想、素晴らしい。

で、これからが本題。同じことが、音楽の和音にもあてはまると思った。和声進行の難しい曲を譜読みしていると、和音一つ一つは、なんじゃらほい?と思える変な響きだったりするのだけど、やがて曲が弾けるようになって、音楽が流れるようになってくると、その不可解な響きが、実は絶妙の響きだったことが、分かってくるんですね。嫌な響きも、全体の中では大切なピースで、大切な役目をもってるわけだ。

そして、さらに発展編。こう言うことは、もっと大きな、例えば人間関係や経済活動、社会などにも、あてはまるのだろうな、と。ぱっと見、嫌な人や、まるで役に立たなそうな何かが、大切な役目を帯びていたり・・・。無用の用などと言うこともあるし・・・。なんだか優等生的な結論になってしまいましたが・・・。ちょっと発展しすぎかな?とにかく、森羅万象を繋ぐ法則を見るのは、愉快だな。

(一番愉快なのは、もう加齢臭も怖くないぜよ!かな?人類の叡智は素晴らしい)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

共感覚~ニ長調は黄金色

2007年08月26日 | 芸事全般
少し前の記事だけれども、音楽と他の芸術分野とのつながりは、関心のあることなので、紹介します。

*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*
アルチュール・ランボーが18歳のころに書いた『母音』という詩がある。「Aは黒、Eは白、Iは赤、Uは緑、Oは青。母音よ、僕はいつか君たちの誕生の秘密を語ろう…」天才詩人は後に「母音の色を発見した」と語っている。
 言葉や音を聞くと、色彩が見える。独立しているはずの五感が、脳内のどこかで連結している。そんな不思議な「共感覚」の持ち主は少なくない。絵の具をぶちまけたようなカンディンスキーの作品群も、その源には音楽がある。30歳で初めてワーグナーの『ローエングリン』を聴いた際、眼前に「猛り狂った線の軌跡」があらわれたという。・・・(以後略)
(8/15日経新聞朝刊・春秋)
*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*-*

共感覚っていろいろあるんだなぁ・・・。
自分は調性と色のイメージが共感覚です。
・ハ長調・・・白
・ニ長調・・・金色
・ヘ長調・・・クリーム色
・ト長調・・・青
・変ロ長調・・・瑠璃色
だろうか。こういう感覚って、自分だけなのかな?

と思っていたら、少し前に読んだ、青島広志著「やさしくわかる楽典」で、24調の性格について、解説がされてたっけ(p108「調は24の瞳」の章)。自分の感覚と近い。よかった変人じゃなかった(笑)。ニ長調の黄金のイメージについては、まったく同じだった。こういう感覚って、音楽を続けていると身に備わってくるんですね。

音律、調性の話題は、奥が深いですね。音のきれいなピアニストは、平均律の3度の濁りを目立たなくするように、和音を弾く際の音量をコントロールしている?ような話もあったっけ…。

やさしくわかる楽典
青島 広志
日本実業出版社

このアイテムの詳細を見る


興味のある部分しか読んでいないけれど、肩が凝らずに読めるので、お勧めですね。この本の帯には、少し前、亡くなられた羽田健太郎氏の推薦!が出ています。改めてご冥福をお祈りします。羽田さんが弾かれたガーシュインで、どうしても弾きたい曲があり、いずれチャレンジします。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

大和路~花~万葉集~入江泰吉

2006年11月24日 | 芸事全般
今年は、忙しい仕事の合間をぬって、奈良や京都の寺社を訪ねる機会に多く恵まれた(このブログには報告できていないけれども・・・)。あと、もともと、花の写真が好き。俳句やら和歌(万葉集)の世界もいいなぁと思っている。

そういう自分にとっては、まさにうってつけの一冊が、この本、万葉花さんぽ。
大和路を愛した写真家、入江泰吉(いりえ・たいきち)の花の写真、花に関する万葉集の歌の紹介、中西進氏の興味深いエッセイが三位一体になってる。お気に入りの一冊だ。

古くから日本に自生している草花は、不思議と安心感があるな。日本の風土に根ざしていて、無理がないからだろうな。静かに咲く花々の写真を眺めつつ味わう万葉集は、すんなりと入ってくる。いい歌がたくさん。

花々のことを知りたくて、百人一首からもう少し発展したい自分にとっては、ほんとうにぴったりくる一冊だ。この本に出会えて、運がいい。花、和歌、写真で繋がる古き佳き和の世界。

折りしも、11/25(土)の夜22:00~、テレビ東京系で放送される美の巨人たちは、入江泰吉。楽しみだ。

入江泰吉の写真は、奈良市の写真美術館でも楽しむことができる。
少し前、訪ねたのだけど、静かに落ち着いて写真を鑑賞できる、いい美術館。奈良に行くことがあれば是非。


入江泰吉・万葉花さんぽ

小学館

このアイテムの詳細を見る
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする