ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

アクション映画は情報の宝庫!

2020-10-12 08:42:24 | 映画

 毎夜のNetflixタイムは続いてるぜ。イングランド建国直前のブリテン島を描いた『ラストキングダム』を見終えて、今度は『ファウダ=報復の連鎖』を一気見だ。

 パレスチナを題材にしたアクション映画。前に見た『ピーキー・ブラインダーズ』と言い、『ナルコス』と言い、すべてアクションものって、好きなんだなぁ、荒々しい世界が。暴虐、殺戮、闘争、の生々しさに圧倒されつつ引き付けられてるってことなんだ。なんだい、若いねぇ!と自分でも呆れるが、これらの映画、実は乱暴、狼藉ばかりじゃないんだよ。と、言っても、お定まりの家族愛とか、恋と別離とかのサイドディッシュの美味しさを上げるつもりはない。いや、それはそれでなかなか味わい深いんだがな。

 これら4本のアクションものに共通してるのは、知らない世界、縁遠い社会を丁寧に描写してるってことなんだ。『ナルコス』のコロンビアと麻薬密売の実態も、『ピーキー・ブラインダーズ』の第一次大戦直後のイギリスの労働者やその風俗も、『ラストキングダム』の荒々しいバイキングの暮らしぶりや当時の戦いの様子や町や村の貧弱さも、当然ながら、へぇーこんなだったのか!と、目を見張らせてくれる。いや、実際その通りじゃないんだろうけど、それなりに近似的に描かれているんじゃないかな。

 今回見終わった『ファウダ』はパレスチナで作られたイスラエルの映画だ。が、イスラエル側の宣伝臭や正義の押し売りはまったくない。愛する者を殺された者たちの復讐の物語だ。その報復の激しい殺意は、どちらにとっても同じ重さで人々を揺り動かして行く。もちろん、個々人の憎しみの底には、イスラエル建国に伴うユダヤとアラブの歴史的な軋みがある。映画で使われる言葉も、ユダヤ人のヘブライ語とパレスチナ人のアラビア語がほぼ同量で使われている。あっ、アラブ語ってとても早口で字幕終えないことしばしばだったが、これって翻訳のせいなのか?この復讐の連鎖を見ていると、まさしく、パレスチナとイスラエルの相いれない敵対感情が、いくつもの憎悪の積み重なりの肥大化からなっており、相互の和解など物語としても到底語れないものだとわかってきて、鬱々とした気分になる。今も継続する現実なだけに、全然スカッとしない暗く重たいアクション映画だ。

 この映画に惹きつけられるのには、パレスチナの現実を視覚的に伝えてくれていることにあるんだよ。町の様子や家屋、人々の暮らしぶりや表情、部外者には何もか真新しい現実なのだ。しかも、あの社会特有の不思議な実態ってものも判って来て、それがとても新鮮だ。一方で洒落たカフェでデートする人たちがおり、他方、むき出しのコンクリートの家屋で暮らす人たちの姿がある。

 まず、ユダヤ人とパレスチナ人とは、決して別個に隔離されて暮らしてるわけじゃないってこと。見かけから言ってもどちらとも取れる人たちがかなり多いらしいんだ。主人公のドロンはユダヤの秘密警察?の一員だが、アラブ人としても通用する。生い立ちからして、アラブ社会にかなり根を張っているようだ。統治機構や警察組織?もはっきりと敵対して存在してはいない。互いに牽制し、攻撃しつつ、手を結べるところは手を結ぶ。したたかな混住社会の現実を知らせてくる。パレスチナ人の抵抗組織も一枚岩ではない。ハマスの支部事務所は立派なものだが、その方針に従わない一派もある。その過激なテロリストが途方もない自爆テロを計画しているってことが、全体を通しての筋になっている。ユダヤ人も対応をめぐって上部と現場が食い違っていたり、そうなぁ、こういう錯綜したありようが紛争地の実態なんだろうなと教えられる。こういう、現地にいれば当たり前の様子が、部の者には驚きの発見になっているんだ。

 以前のように、アメリカが英語を使ってご都合主義で描くご当地ものとは違う生々しさが、今の映画には溢れてきているのだろう。テレビ報道などでは、到底見透かせない現実、そんなものの一旦を視覚化してくれる。それも堅苦しいドキュメンタリーや文芸映画としてでなく、エンターテイメントとしてさりげなく、かつ、執拗に、伝えてくれる。世界にネットを広げたNetflix ならではの贈り物なのかもしれない。

 それからすると、同じネトフリでも、日本の作品は・・・・。あまりにたわいなく薄っぺらで15分で視聴を止めた『GIRI/HAJI』なんか、おい、頑張ってくれよ、って応援と言うより、ぼやきたくなっちまうんだぜ。

 

 


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