ステージおきたま

無農薬百姓33年
舞台作り続けて22年
がむしゃら走り6年
コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

映画の好みで己を知る!

2018-04-05 08:26:37 | 映画

 イベントのチラシもらった。お洒落だなぁ、高尚だなぁ、フルート演奏に合わせて朗読会だって。それも会場は明治の薫り高い洋館。敵わねぇ、こういうの菜の花座にゃ、ぜったい無理だよなぁ。だって、・・だって、なんでだ?

 農作業しながら脳内独り言してたら、思い浮かんだ。だってぇ、宮藤官九郎の『少年メリケンザック』見て涙流して喜んでんだもの、そりゃクラシック音楽なんてあちらの世界だよ。なんせ、パンクだし、中年オヤジの下衆野郎たちのお話しだし。あっ、宮崎あおい、いいなぁ小生意気で可愛いくて。そう、数日前アマゾンビデオで見たんだ、2回目。上品とか、高尚とか、気高さ、静謐なんてものの、すべて対極の世界、そこにとことんのめり込んでんだもの。アル中、騒音、絶叫、憎しみ、蔑み、若き日への激しい希求、おなら?これが共感世界。

 そうだ、まだあった。そのさらに前日見たのは、『砂の器』松本清張原作、野村芳太郎監督。これも感動だった。丹波哲郎と森田健作の刑事はいただけなかったが、ハンセン氏病を患った父親と息子の逃避行、(この作品の時代、ハンセン氏病は恐ろしい伝染病と見做され、村に入ることさえ拒絶された。)季節を超え、様々な風景の中、身を寄せ合い漂っていく父子の姿はせつなくも美しく、涙腺は完全な超開放状態に突入していた。殺人が行われるのが大田区蒲田、孤児から他人の戸籍を乗っ取り人生のやり直しのを始める、これ以上ないくらいふさわしい場所だ。地方から殺到した中卒金の卵たちが身を寄せた町だ。これも心打つ。貧しさ、ひもじさ、せつなさ、暴力!

 も一つ、これは一昨日、NHKBSプレミアムで放映になった『ヒューゴの不思議な発明』監督・マーティン・スコセッシ。いやぁなんてこったい、大当たり!3日続けて素晴らしい映画見られたんだ。これはスコセッシの映画愛に溢れた作品だけど、設定が興奮ゾクゾクものだ。巴里の終着駅、時計台に住み着く少年が主人公。彼の仕事はネジ巻き時計の保守管理。ああ、時代は第1次大戦直後の1900年代半ば、この時代かかった装置群も特撮もカメラも凄いんだが、やっぱり、心動かされるのは、少年の孤独!

 感動の映画3連発。ほらほら見えて来るじゃないか、己の心の傾きが。孤独、貧しさ、破滅、下品、暴力・・・・。これじゃフルート伴奏で朗読なんて、あっちの世界のお話しだよな。高貴な美しさなんて縁はない、残念だけど。

 でもさぁ、だからって、悲観しちゃいないんだぜ。それが自分だから。そこにだって心打つものはたんと隠されているって知ってるから。って、ことで、菜の花座はこれからも気高くはなりませんので、お見知りおきを!

 

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