ステージおきたま

無農薬百姓33年
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コントとランとご飯パンにうつつを抜かす老いの輝き

テーマいろいろ、見方様々!『流れ旅 星の流れに』

2023-06-28 14:19:35 | 菜の花座
今回のお芝居のテーマはなんですか?
記者の取材じゃ必須の質問、うーん、困るんだよなぁ、この質問にゃ。
だって一つじゃないんだよ、テーマらしきもの。
狙いを一つに定めて、あちらから迫り、こちらから這い寄るって方法も当然あるさ。それだと芝居の構造がすっきりはっきりで、観客もすんなり入り込めるってことになってる。まっ、たしかに。
でもなぁ、人間てそんなに簡単にそぎ落とせるか?
一品料理って物足りないだろ。いや、シンプル勝負のラーメンだって、チャーシューやら白髪ねぎやらナルトやらシナチクやら取り合わせいろいろ飾って出て来るじゃないか。
まして、演劇においておや、だぜ。
主人公を一人に限定したとしても、悩み、苦しみ、願い、喜び、屈辱、・・・もう万華鏡だろ。これが人間の厚みってもんさ。
まして、今回の『流れ旅 星の流れに』群像劇だからね。登場人物多数、エピソード盛りだくさん、時々のテーマもしこたまってことなのさ。
主役の咲哉だって、若き日の咲哉と老境に足を踏み入れつつある咲哉、それぞれに悩みや課題を抱えてる、当然。
青春の蹉跌とか、自分への不安とか、根を張る生き方への憧れとか、若さゆえの悩みだ。歳を重ねた咲哉なら、終戦の混乱への戸惑いとか将来への不安とか、あるさ、それなりに。

脇役だって、労働争議を三線一本渡り歩く鶴蔵の失望と気迫とかね。

戦時中の性的恥ずかしめをバネに村議選に挑戦する静江の屈辱や憤り、家父長的ボス支配に愛想尽かして、村からの脱出を試みる若者たちとか、村社会から排斥された梅毒に罹ったパンパンの恨みつらみとか、いろんな人生の一コマがちりばめられているのさ。

で、俺は、そんなごちゃまぜの闇鍋が芝居だと思うのさ。
単純明快、悩みは一つ!なんてのは性に合わねえなぁ。登場する人物だけテーマはある、それが現実なんじゃないのかい。
そのあちこちにぶん撒かれた人々の悩み、苦しみ、喜び、連帯、意気込み、その他もろもろを、一つ一つ観客の心に突き刺したいと思っているのさ。
欲張りだねぇ、たった2時間の芝居で次から次と皿を並べてフルコースを堪能してもらおうってんだから。
ただ、この魂胆が図に当たったか?って言うと、ちょっと上滑りだったような気もする。そこは演出が役者の力を十分引き出せなかったせいだよな。
誰だい?演出したのは。
って、今さら、自分にダメだししたって遅いぞ。もっと、台本を読み込んで作者の意図をしっかり生かし切らなくっちゃ。
作者に申し訳ないだろ、って書いたの俺だった。
たくさんの登場人物のさまざまな思い、悩み、何か一つでも感じてもらえりゃそれでいいのさ。

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