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Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

凍るような美しいような

2022年12月09日 | 日々、徒然に
吉田喜重監督が亡くなったという。
享年89。訃報はもうこりごりだと言っているのに。

大島渚や篠田正浩と並ぶ
松竹ヌーヴェルヴァーグの雄。
硬派で冷徹で知的。ごつごつした映像のなかに
浮かび上がる官能性と絶望感。


吉田監督といえば、やはりこれでしょう。
「秋津温泉」(1962)。戦中戦後をはさみ、
優柔不断で女にだらしないインテリ男と、
温泉宿の娘との恋愛模様。
成瀬巳喜男の「浮雲」みたいな
ダラダラとした感じはなく、爛れてはいるがとにかく刹那的。
いまこの瞬間だけ燃え上がろうとする二人。
ラスト、渓流の岩場で横たわる岡田茉莉子を
よくもこれだけ残酷に撮ったものだ、と。

熱心に追いかけて見たわけではないけれど、
映画史のなかで重要な位置を占める監督だったことは確か。
ATGで撮った「エロス+虐殺」「戒厳令」などで
アナキズムやテロリズムを映画にした功績はとても大きいと思う。

シネフィルのくせに、
三國連太郎が出た「人間の約束」とか
優作の「嵐が丘」は未見なので、
偉そうなことは何も言えません。
どこかの映画館でやってくれると思うので、
そのときは駆けつけますから。

松竹の助監督だったときに、
巨匠中の巨匠だった小津安二郎に
食ってかかったエピソードは有名。
後年、実は小津のことを敬愛していたという話もふくめて
映画史の伝説のひとつとして語り継がれることでしょう。

といろいろ書きましたが、
なんといっても岡田茉莉子を妻にした人なのだから
それだけで幸せな人生だったと断言したいです。
シネフィルの憧れの存在だったかもしれません。合掌。

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祭りの困惑

2022年12月08日 | 日々、徒然に
英国映画協会が10年おきに発表する、
史上最高の映画100という企画が
シネフィルのあいだで、ちょっと話題になっているような。
洋の東西を問わず、みなさんベストなんちゃら、って好きね。

https://www.bfi.org.uk/sight-and-sound/greatest-films-all-time

1 ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コルメス湖畔通り23番地
2 めまい
3 市民ケーン
4 東京物語
5 花様年華
6 2001年宇宙の旅
7 美しき仕事
8 マルホランド・ドライブ
9 カメラを持った男
10 雨に唄えば

1位はシャンタル・アケルマン監督の映画。
女性監督の映画が1位になったということで、
いろんな人がいろんなコトを言っている。
いまの時代がそうさせるんだろうけど、
女性でいい映画を撮っている人なら
誰でもよかったのではという気持ちになったりする。
アニエス・ヴァルダの「幸福」や
田中絹代の「月は上りぬ」でも交換可能ではないか、と。

7の「美しき仕事」のクレール・ドニ監督も女性で、
これは未見だけどきっと面白い映画なのだろう。
映画の善し悪しを決めるのは
監督の性差によるものではないことは明らかだとはいえ、
ジェンダーバイアスのせいで女性が監督になれない時代がずっとあった。
それが今でも続いているという警鐘を鳴らす意味で、
このランキングはいいアピールになると思う。

でもこの手のランキングって
無意味だなあと思うことがよくある。
たとえば「市民ケーン」と「東京物語」のどっちが上か、
って言われても困りますよね。ともに映画史上の1位なのだから。
「カメラを持った男」が9位なのを見て、
「ほほお、わかっちょるのお」と、ほくそえむシネフィルは
気持ち悪いなあと思っていたら、自分のことだったという。
つまり頭の悪いシネフィルの虚栄心や心の狭さを
いたずらに刺激する罪深さも、ある。
でもついつい気にしちゃうんですよね。まったくもお。

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ご報告

2022年12月07日 | 日々、徒然に
とりあえず。よかった。
それしか言えません。

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そのボディは同じレッド

2022年12月07日 | 宇宙人の悲哀

D社で打ち合わせをしたら、
お裾分けに、とリンゴをいただく。お歳暮でたくさん届いたようで。
そのまま食してもいいし、
サツマイモやレーズンと一緒に煮ると
いい副菜になるんだよな、と思っていたら、
例によって宇宙人(by岡本太郎)が目ざとくやってきたという。
あなたが好きなのは焼きそばとハムカツでしょう。
え、また散財したんですか。知りませんよ。
あそこの肉屋で売ってる100円のハムカツでも食したらどうですか。
そんな物欲しそうな目をしたってあげませんからね。
しっしっ、あっち行って。

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過去と現在のはざま

2022年12月06日 | 読んでいろいろ思うところが
深緑野分「ベルリンは晴れているか」(ちくま文庫)を読む。
ナチスドイツ敗戦直後のベルリンで
ドイツ人の少女とユダヤ人のおちぶれた俳優が
荒廃した国土を巡る地獄のロードムービー小説。


戦時中、ナチに追われた少女アウグステを
救った恩人クリストフが何者かに毒殺。
その犯人がナチの残党であり、彼の甥エーファであると
目星をつけたソ連NKVDのドブリギン大尉は
アウグステにエーファを探すように命令する。
俳優でユダヤ人のカフカが同行し、
この男の軽薄さが陰鬱な物語を少しだけ明るくする。

基本的にはミステリではあるのだけど、
アウグステが戦火で破壊されたベルリンやポツダムの街を
めぐるときの描写が微に入り細にわたっていて、
まるで現場を見てきたかのようなリアル感。
それを日本人の作家が書いているという凄さに感服するばかり。

各章のあいだに「幕間」として、
アウグステの過去が描かれる。
彼女の両親と近隣の人たち。ドイツ人もいれば
ユダヤ人もいるなかで、戦時下のドイツ国内にはびこる
ナチによる全体主義の非道ぶりが事細かに描写される。

500ページ以上の長篇を一気に読ませ、
最後の最後にあっと言わせる謎解きもある。
電車のなかで読んでいて、
本当に驚愕の声を出してしまいました。

ミステリ好き。戦争物好き。近代史好きなど、
いろんな読者のいろんな嗜好を刺激してくれる
エンタテインメントとしても一級品でしょう。
どうして直木賞獲れなかったんだろう。
事情に詳しいひと、教えてくださいな。
ともあれ、同じ著者の「戦場のコックたち」
「スタッフロール」も読みます。

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フトコロは相変わらず寒く

2022年12月05日 | 日々、徒然に
さ、寒い!
心も。そしてフトコロも。

と、いつものフレーズを連発する月曜日。
それにしても寒すぎやしませんか。
世間はWCで熱くなっているようですけど、
なんか今回は(も)乗り遅れた感じがあるというか、
それでもにわか精神で盛り上がるといいのかな。

福本伸行先生の「最強伝説黒沢」の冒頭。
仲間とWCを見ながら大騒ぎをする黒沢の心に
ふと冷たい風が吹きすさび、
「感動などないっ…!」という叫びが
炸裂する場面を思い出す。



とはいえ、「エルピス」の最新話を見て、
それなりに熱くなったので、今夜はこんなところかな、と。
明日も朝ドラあるし。この寒さ、なんとかなるでしょう。
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メモリー・オブ・グラス

2022年12月04日 | 読んでいろいろ思うところが
ゴダールの記憶 そのⅣ

「キネマ旬報」12月上旬号がゴダール追悼特集。
この雑誌を買ったのはいつ以来だろう。覚えていない。
少なくともこの20年は買っていないというか、
ちょっと申しわけない気もしつつ、ゴダール。


特集の冒頭は、
「さらばゴダール、さらば映画」と題した
山田宏一の追悼文だ。
1968年の五月革命を境に、
それまで幸福感に満ちた映画を撮っていたゴダールは
以降、不幸としか言いようのない映画を量産した。
映画というメディアにおいて、神にもなり悪魔にも
なったゴダールに対し、愛憎入り交じった決別の辞を述べている。

レオス・カラックスやバルドー、アラン・ドロン、
シャンタル・ゴヤ、イザベル・ユベール、
ビュル・オジェら、ゴダールと接したことのある映画人が
彼の神がかり的な映画づくりを回想しているのも興味深い。

晩年のゴダールの映画づくりを
サポートした人たちの証言も読ませる。
「ジャン=リュックの最期は、肉体的な苦痛を抱えていましたが、
 不思議なことに苦悩はなく、穏やかなものだったと思います」
と語るファブエリス・アラーニョという演出家の証言を聞いて、
そうか、それはそれで良かったのかなと思ったり。

日本におけるゴダール映画受容史、
という記事も興味深い。
「勝手にしやがれ」や「気狂いピエロ」を、
アヴァンギャルドな前衛映画としてとらえた
松本俊夫や花田清輝。66年に来日したゴダールと
大島渚、吉田喜重、蔵原惟繕らとの座談会が「映画芸術」に掲載され、
ある意味、共闘関係のようなものができたこと。
政治の時代となり、松田政男らが「東風」「プラウダ」などの
革命的闘争映画を徹底的に擁護したくだり。
そして前述の山田宏一と蓮實重彦の功績について語られていて、
こうした名だたる人たちに支えられて、
ゴダールは日本に根づいたんだな、と。

黒沢清の談話も無類の面白さ。
Vシネを撮っていた時代、自分はある意味ゴダール的な
表現ができていたかもしれない、と語る黒沢監督。
それはそうだろう、だってそのVシネって
「勝手にしやがれ」だもんな。と頭の悪い納得をしたりして。

要するに素晴らしい追悼特集だと思います。キネ旬凄い。
惜しむらくは、観客たちは
どのようにゴダールを受容していったか、
に言及した記事が読みたかった。
小西康晴の追悼エッセイがそれに近いが、
ゴダールの映画を見てきた
市井の観客およびアホなシネフィル(自分、だ)が
語ったり書いたりするべきなのかもしれない。

ゴダールの記憶Ⅳ おわり。
続きも書きます。たぶん。そのうち。

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ひきちぎってさっぱり

2022年12月03日 | 日々、徒然に
仕事場のMacのiTuneには
大量の音源を入れていて、
それをランダムに流しているので、
どんな曲が流れてくるか、油断も隙もない。

で、流れてきたのが
チャットモンチー「女子たちに明日はない」。
自分は女子でなく、ただのやさぐれたおっさんで、
明日なんか、とうの昔になくなっているけれど、
なんか駆け出さないといけない気持ちになる。

彼女たちを「日本のポリス」と称したのは
音楽評論家のスージー鈴木さんだが、
ポリスこそ「英国のチャットモンチー」だと思ったりする。
なんという疾走感。

首と肩と背中と腰が痛くても、走るのだ。
あなたの声が遠くなるから。

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いつわりのゲームはおしまい

2022年12月02日 | 日々、徒然に
訃報はもうたくさん。
クリスティン・マクヴィーが亡くなったとは。
享年79。もうそんな年齢だったんだな。

言わずとしれたフリートウッド・マックの
全盛期を支えたソングライターで歌姫のひとり。
「You Make Loving Fun」「Don't Stop」
「Hold Me」「Little Lies」など多くのヒット曲をものにした。
もうひとりの歌姫スティーヴィ・ニックスと好対照な
低音のボーカルとソフトでポップな楽曲群。
エキセントリックなメンバーが多いなか、
いちばんカタギというか、優等生ぽく見えたのは、
そういう役割だったのだろうか。
「噂」がバカ売れしたせいもあるのかな、
リンジー・バッキンガムやスティーヴィもふくめ、
正当な評価がちゃんとされていない感じもある。

バンドを出たり入ったりして、
長年引退状態だったのが、
17年にリンジーと共作アルバムを出して、
おお姐さん健在だなと思っていた。一度でいいからライブで見たかった。

そのリンジーとのアルバム。
08「Game Of Pretend」がこれまたいい曲で。
追悼はしません。ただ聞くのみです。

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奇跡を信じるなんてこと

2022年12月01日 | 日々、徒然に
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