Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

恩師の死と下ネタ

2013年03月14日 | 日々、徒然に
映画評論家の梅本洋一さんが亡くなったという。
今日、知り合いから聞かされて驚く。享年60。若すぎる。

なぜショックかというと、
大学時代に教わった経験があるからだ。
「映画論」という授業があり、シネフィルだった自分は
喜んで受講したのだけど、そのときの講師が梅本さんだった。

一回の講義で一本の映画を語り尽くすというスタイルで、
学生たちはその話をひたすら聞くだけの授業だった。
映画評論の分野では蓮實重彦というビッグネームがいたけれど、
自分が大きく影響を受けたのは、和田誠と山田宏一、
四方田犬彦、そしてこの梅本さんだと思う。

ウディ・アレンを否定し、岡本喜八を奨励。
成瀬巳喜男を絶賛し、伊丹十三を貶す。
その根拠は、映画というものの運動性だったり、
映画自体が持っている美しさのようなものだった。
と書くと、いかにもハスミ的なのだけど。

いちおう学年末に試験もあった。
一問一答のペーパーテストで、
今でも覚えている問題がある。

1 ゴダール、トリュフォー以外のヌーヴェルバーグの監督を挙げよ。

2 ヴィットリオ・ストラーロとは何者か。

といった問題だった。あとは忘れた。

ちなみに答えは

1 エリック・ロメールかジャック・リヴェット
2 撮影監督

なのだけど、そんな試験で良かったのだろうか。
大学なんだから、論文とか書かせれば良かったのに、と
今になって思ったりする。

梅本さんは、のちに「カイエ・ド・シネマ・ジャポン」と、
その後継誌「NOBODY」という映画評論誌の刊行に尽力する。
横浜国立大学の教授になり、映像論を教えていた。
梅本さんの教え子で映像の道に進んだ人もいると聞く。

その死は急だったらしい。
直接梅本さんと話をしたことは無かったけど、まぎれもなく
教わった先生の一人であり、その名を忘れることはないと思う。

梅本さんの講義でいちばん覚えているのは、
ゴダールの『カルメンという名の女』の主演女優、
マルーシュカ・デートメルスの話になり、

「もう見ただけで勃起してしまいますね」と
あまりといえばあまりな下ネタをぶちかましたとき、だ。

なんか自由で、面白い先生だった。
そして映画を深く愛していたと思う。
ご冥福をお祈りします。




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2 コメント

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Unknown (taco)
2013-03-18 16:58:43
梅本先生とハスミ先生。
アテネフランセ、それと
雑誌「リュミエール」のおかげで
こんな人間になってしまいました。どうしてくれる、
と言っても遅いですな(苦笑)。
返信する
Unknown (denkihanabi)
2013-03-17 01:33:47
「映画論」あったねえ。
ヴィットリオ・ストラーロとは何者か?撮影監督。
それじゃ、なぞなぞにもなってねーだろうって思いますが。
梅本先生、あの世でも熱く映画を語ってください。
返信する

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