ベルナルド・ベルトリッチ監督「暗殺の森」を見る。
名作の誉れ高い映画だけど、以前見たときは
ぐっすり眠ってしまい、あまり覚えていないというか。
だって物語は複雑だし、時制はあちこち飛ぶし、
覚えているのは、エッチなところだけという体たらく。
ということで、再見。今度は寝ずに見ることができました。
才気煥発な映画だと思う。
撮影当時、20代後半だったベルトリッチは、
やりたいことを思い切りやっているというか。
構図も、カット割りも、照明もキメキメ。
撮影監督ヴィットリオ・ストラーロによる、
カッコ良すぎる移動ショットに酔いしれる。
舞台はムッソリーニ時代のイタリア。
ファシズムの嵐が吹き荒れるなか、
反ファシズムの大学教授とその妻の殺害に関与する主人公。
しかし確固たる信念があるわけでもなく、
子供時代のトラウマに悩まされ、
そしてびくびく怯えながら、
時の政権に迎合しながら生きていく。
そんな主人公だが、美人の妻をもらい、
奔放な大学教授の若妻とも訳ありの関係を持つ。
小心者でインテリで美女にモテモテ。
だが、主人公を演じるジャン=ルイ・トランティニャンは
ちいとも嬉しそうじゃなかったりする。
時代に翻弄され、イデオロギーに屈し、
官能に溺れる。
そんな男の悲劇というか、
これは喜劇に近いのかもと思ったりする。
妻を演じるステファニア・サンドレッリと、
教授の妻役のドミニク・サンダが踊る場面が、やはりこの映画の白眉。
二人とも、美しさとしては絶頂期でしょう。眼福。
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