塚本晋也監督「斬、」を見る。
この監督、初の時代劇とな。
さぞかし熱の籠もった、ヒリヒリとした剣戟が
見られるのだろうと思ったけれど、まさに想像通り。
上映時間は80分。これくらい短いのが、いい。
時は幕末。武士として、剣士として
何がなんでも立ち上がらなければならない。
そんな思い、いや妄想に取り憑かれているのが、
塚本監督演じる憂国の志士であり、池松くん演じる浪人も
その妄想から逃れることはできない。
見えないものに取り憑かれていて、
しかもそれが死と隣り合わせ。
塚本映画に出てくるのは、こんな人間ばかりというか、
刀と刀がぶつかり合うキインという音が、
男たちの阿鼻叫喚を増幅させ、観客を呼吸困難に陥らせる。
とにかく見るべきは、登場人物たちが操る刀である。
それさえ官能的に撮れたらOKだと
塚本監督は思っているかもしれない。きっとそうだ。
とかなんとか、シネフィルっぽく書いてますが、
神様(蒼井優)が出てるから見たんです!
逃げも隠れもいたしません。
神様(蒼井優)は映画で唯一、
何物にも取り憑かれていない農家の娘を演じていて、
彼女の悲痛な思いが池松くんに届くかどうか、
というあたりが本作のキモだと思ったりする。
ここしばらく、やさぐれ演技が続く神様(蒼井優)の
ある意味、集大成的な作品かも、
と、信者は思ったりする今日この頃。
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