Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

隣合わせの神と死

2018年12月15日 | 映画など

塚本晋也監督「斬、」を見る。

この監督、初の時代劇とな。

さぞかし熱の籠もった、ヒリヒリとした剣戟が

見られるのだろうと思ったけれど、まさに想像通り。

上映時間は80分。これくらい短いのが、いい。

 

 

時は幕末。武士として、剣士として

何がなんでも立ち上がらなければならない。

そんな思い、いや妄想に取り憑かれているのが、

塚本監督演じる憂国の志士であり、池松くん演じる浪人も

その妄想から逃れることはできない。

見えないものに取り憑かれていて、

しかもそれが死と隣り合わせ。

塚本映画に出てくるのは、こんな人間ばかりというか、

刀と刀がぶつかり合うキインという音が、

男たちの阿鼻叫喚を増幅させ、観客を呼吸困難に陥らせる。

 

とにかく見るべきは、登場人物たちが操る刀である。

それさえ官能的に撮れたらOKだと

塚本監督は思っているかもしれない。きっとそうだ。

 

とかなんとか、シネフィルっぽく書いてますが、

神様(蒼井優)が出てるから見たんです!

逃げも隠れもいたしません。

神様(蒼井優)は映画で唯一、

何物にも取り憑かれていない農家の娘を演じていて、

彼女の悲痛な思いが池松くんに届くかどうか、

というあたりが本作のキモだと思ったりする。

ここしばらく、やさぐれ演技が続く神様(蒼井優)の

ある意味、集大成的な作品かも、

と、信者は思ったりする今日この頃。

 

 

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