Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

雷蔵はメンヘル系

2007年04月30日 | 映画など
市川崑監督『炎上』を見る。
三島由紀夫の『金閣寺』が原作で、
市川雷蔵主演の名作の誉れ高い映画だ。
今から50年近く前の映画なので、
さすがに古めかしいだろう、と思ったら、
とんでもない。今でも、というか今でこそ
真価を発揮する映画だと思う。
さすが三島。市川崑。そして雷蔵。

 炎上(1958)

三島由紀夫の原作は、高校生のときに読んだ覚えがある。
吃音の青年が、コンプレックスゆえに俗世に馴染めず、
ひたすら、金閣寺の美しさに没入していき、
その美しさと心中するように、放火するという物語だ。

この映画も、その原作に忠実に、
純粋ゆえに「美」に魅せられながら、
どんどん現実世界と折り合いがつけられなくなる主人公。
そんな主人公を雷蔵が演じているのだが、
いつもの美男スターとしての雷蔵ではない。
コンプレックスにさいなまれた醜悪な青年の姿である。

コンプレックス。
純粋な気持ち。
美への過度な妄想。
現実世界との乖離。

そうした人は現在でもいると思うし、
むしろ多いのではないかという気がする。
メンタルヘルス的な見地から見ると、
この名作も、新たな発見があるのではないだろうか。

金閣寺(映画では「驟閣寺」)が燃え上がる場面の
背徳的な美しさは一見の価値あり。


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