Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

YES I DO LIKE YOU

2023年02月07日 | 映画など
沖田修一監督「さかなのこ」を見る。
さかなクンがさかなクンになるまでの
ライフストーリーをのん主演で描く。
さかなクンは好きでも嫌いでもないが、
この映画は好きだ。だからそのうち
さかなクンのことも好きになるんだろう、と思ったり。


幼い頃から魚が好きで、
その思いをずっと忘れず大事にして、
社会にうまく適応できない困難さを抱えながらも、
ついには本物の「さかな博士」になる。
実話ではあるけれど、かぎりなくおとぎ話に近く、
主役を演じられるのは、のん以外いないだろうと思うぐらい
はまった演技と佇まいで、彼女がいるからこそ
本作の成功があると思う。

のん演じる高校生が、埠頭で磯村勇斗ら演じるツッパリたちに
いちゃもんをつけられるも、その天衣無縫ぶりで
不良どもを圧倒し、癒やしていく。
このシークエンスはけっこう長くてダラダラしているのだけど、
なんという心地良さだろう。緊張とは無縁の
ただゆるくて穏やかで、自然と笑顔になってしまう場面。

のんの母親(井川遥)も決して幸せな人生を
送っているわけではないことを暗示させるし、
自宅のアパートに転がり込んでくる
シングルマザーの友人(夏帆)の悲哀もうっすらと漂ってきて、
能天気なこの映画に、いい感じのスパイスが効いている。

沖田監督の映画はどれも心優しい。
本作はもとより、傑作「横道世之介」や
「キツツキと雨」「子供はわかってあげない」など、
見るひとのやさぐれた心を穏やかにしてくれる
マジックのようなものがあるのです。


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