Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

渾身から決別して

2010年10月06日 | 読んでいろいろ思うところが
「レポ」という雑誌が創刊された。
「裁判長、ここは懲役4年でどうすか?」で知られるライターの北尾トロさんが
編集長をつとめ、年4回、取次を通さないで購読者に直接宅配する雑誌だ。
読者に手紙のような雑誌を送りたい、とのコンセプトで、
えのきどいちろう、やまだないと、といったメジャーではあるけど、
マニアックな書き手による、いまだかつてないノンフィクション誌になっていると思う。



笑ったのは川内有緒さんの「国連で働いてみました!」という記事。
たまたまフランスの国連の空きポストに応募した筆者が、
なんと2年も経ってから「書類選考に通りました」との連絡を受け、
慌ててパリに行き、面接を受けるくだりから、
多種多様な人種のるつぼである国連職員たちのユニークすぎる生態が楽しい。

その他にも和田静香さんが書く「チームマダム~最強コンビニ伝説」。
コンビニでバイトをすることになった筆者の目を通して
店長やほかの店員との交流の温かさに、ほのぼのとする。

北尾トロさん自身も何本か書いていて、
なかでも「奥崎謙三のラブレター」が面白すぎ。
あの『ゆきゆきて神軍』の奥崎がたまたま自分のイベントに来た
若い女性に、ラブレター(のようなもの)を寄こすというエピソード。
その手紙の文面の凄さに唖然とする。

その他にも興味深い記事があり、次の号も楽しみというか。
めっきりノンフィクションが売れないという話だけど、
こういう方向に可能性があるのかもしれない。
北尾トロさんも書いているように、
本の帯にある「渾身のノンフィクション」というものほどつまらないものはない、と。
確かに書店で見る「ノンフィクション」は「渾身」だらけというか。
そこから遠く離れたものを目指しているのが、この「レポ」のようだ。

個人誌で、しかも手紙のように届くというのがまた、いい。
本が売れない、雑誌が売れないと嘆く前に、
行動する人たちの潔さを見習うべきだ。
やはり動かないと駄目ですな。

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