片岡たまき「あの頃、忌野清志郎と
ボスと私の40年」(ちくま文庫)を読む。
市営グランドの駐車場で読むべき本だと思ったけど、
屋上でタバコの煙を見ながらにしようとしたら、
そんなの子供だましのモンキービジネスじゃねえか、
こちとらバッテリーはビンビンなのに、
空がまた暗くなってきて、いいことばかりはありゃしない、
嘘ばっかり、嘘、嘘。と言いながら読みはじめたら、
これはもう、たまらん坂。
著者は、清志郎の元マネージャー。
RCサクセションがあまり売れていない頃から
清志郎の実家がある国立の団地まで
聖地巡礼に行くほどの熱烈なファンだったという。
好きが高じて、RCのマネージメントをしている会社に
強引に入り込む猪突猛進なところが素敵すぎる。
RCが人気絶頂となり、
まさに「ドカドカうるさいR&Rバンド」みたいな
ツアーに同行し、大量の衣装の手配や
綱渡りなスケジュールに四苦八苦しながらも、
好きなバンドのために、働く姿が神々しい。
ステージとは真逆のナイーブさを見せる清志郎の
エピソードも微笑ましいけれど、
「カバーズ」やタイマーズで権力にたてつくロッカーとしての
清志郎を支えるのはさぞかし大変だったろうと想像しつつ、
ものすごい快感と高揚感があったんだろうな、と。
ポジティブな話ばかりではない。
清志郎の出自の意外な複雑さに驚きつつ、
RCが解散というか、無期限の休止状態になった経緯は、
清志郎やチャボの近くにいた著者でも
その真相はなかなかわからないようで、切なさが募る。
そして、清志郎が病魔に襲われていく悲痛さ。
結末はわかっているのに、ページを読み進めるスピードが
だんだん遅くなってしまうわけで。
本書の終盤で、久々にリンコと再会した著者が、
清志郎の話をするエピソードが泣けて泣けて。
高揚と落涙という、えらく落差の激しい読書体験となりました。
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