Days of taco

やさぐれ&ヘタレtacoの日常と非日常

躍動さらさら

2024年06月22日 | 映画など
ジョン・カサヴェテス監督「グロリア」を見る。
初公開時に見たきりで、何十年ぶりかの再見。
名作であることは決まり切っているけれど、
いやあ。惚れ直しました。
ジーナ・ローランズすげえ。演出すげえ。
ロケーションすげえ。ガンファイトすげえ。


ジーナ・ローランズすげえ。
アヌーク・エーメも理想の大人の女性だが、
本作のジーナ・ローランズにもその称号を捧げたい。
度胸があって、ここぞというときの胆力もあって。
理性より本能が先に働くそそっかしさもありながら、
ギャングどもに銃をぶっ放すときの迫力といったら。
男社会のギャングの中で渡り合った
メンタルの強さは筋金入りだが、女だから割を食った経験も
さぞかし多かっただろう。
その恨みつらみを炸裂させるところのカッコ良さ。

演出すげえ。
親友の息子フィルを連れて逃げるグロリアだが、
ニューヨークの街という街にギャングたちが
蠢いていて、街の雑踏のなかで生きるか死ぬかの
やりとりが展開される。サスペンスを
たたみかけるような演出というよりは、
特にハッタリの少ない日常描写のなかで、
ところどころにグロリアの
喜怒哀楽を浮かび上がらせようとする感じ。
と言ったら、見た人には伝わるだろうか。

ロケーションすげえ。
ニューヨークのサウスブロンクスで撮影したらしく、
人物が風景に溶け込んでいて、
それでいて、キャラが立っているというか人間くさいというか。
グロリアがタクシーを巧みに使って、
逃げたり追いかけたりするのだけど、
その運転手がみんな一癖も二癖もあり、
なんとも豊かな映画になっているという。
音楽もいい。「ロッキー」のビル・コンティらしく
勇ましいがどこか哀感のある劇伴が
エンタテインメントとしての魅力を増幅させている。

ガンファイトすげえ。
ガキを渡せと言われて、
グロリアが拳銃を始めてぶっ放す場面。
ついに一線を越えてしまった場面のショック度がたまらない。
カサヴェテスは活劇を撮らせても上手だったんだなと。

おそらくカサヴェテス映画の中で
もっともヒットした作品で、そもそも彼は
子供が出る映画は売れると聞き、
脚本は書いたが、監督するつもりはなかったという。
映画が完成しても映画会社は満足せず、お蔵入りになりかけたが、
スピルバーグが絶賛して公開にこぎつけたらしい。
カサヴェテスはこの映画の続編の脚本を書いており、
10年後にグロリアとフィルが再会し、
またギャングに追われる話らしい。
いつか息子のニックか娘のゾエが監督してくださいな。


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