ロバート・ワイズ&ジェローム・ロビンス監督
「ウエスト・サイド物語」を見る。
スピルバーグじゃないですよ。オリジナルです。
リメーク公開の前におっきなスクリーンで見る機会に恵まれた。
ありがとう立川シネマシティ。
何十年ぶりかの再見。
初めて見たのはいつだったかな。
十代の頃なのは間違いない。遠い遠い昔のこと。
でも、なんか苦手だったのです。
圧倒的な映画体験とはいえ、
かなりシリアスだし、楽しくないし。
犯罪映画を見ているような気分になった記憶が。
それもそのはず。ミュージカルと言えば、
わかりやすくて親しみやすい
「サウンド・オブ・ミュージック」ぐらいしか
知らなかったし、何の知識も経験もない
ガキンチョに何がわかるというのか。
人種差別や格差問題が色濃く練り込まれた設定。
計算されつくした厳しいダンスと、
見る者に社会問題を訴えかける楽曲。
再見して驚いたのは、
禁じられた恋に落ちるマリア(ナタリー・ウッド)と
トニー(リチャード・ベイマー)が実に活き活きとしていること。
自分の記憶のなかでは、マリアは内向的な女の子で、
トニーはおっとりしたお坊ちゃんというイメージがあった。
感情を爆発させる主役の二人の魅力があってこその本作、というか。
ジョージ・チャキリスを始めとする
俳優たちのきびきびとした身のこなし。みんな走るし
叫んで泣いてわめく。堪えきれずに踊り、歌う。
自らの存在意義に悩み、世の中への怒りを燃え上がらせ、
一途な思いを発露させるのに
ミュージカルという手段を取っているんだな、と。
いや。もう。感服しました。
本作が名作だったことにずっと気づかず、
やっぱりミュージカルは
アステア&ロジャースじゃけんのお、
とか言いながらシネフィル風を
吹かせていた自分が恥ずかしい。穴があったら入りますよ、すぐ。
戦後、能天気でハッピーな
ハリウッドのミュージカルを見ていた人たちが、
本作にものすごい衝撃を受けた、という箇所が
小林信彦の小説などを読むと出てくるのだけど、
その心情が少しわかるというか。知識でなく、体感として。
スピルバーグ版を見る前に、
行ける人は立川に走るべきでしょう。
今夜にでも。トゥナイト♪トゥナイト♫
歳をとると時間貴重だぞ、若者!
と、言いたい。
リモートが便利すぎるからなあ。
効率いいしコストもかからない。
映画館に行き、映画を見るなんて
いまや贅沢な体験かもしれない。
タイミングが合わなかったというか、
喰わず嫌いな感じです。
見たら面白いんだろうけど、きっと。