うひょひょひょひょひょひょ。
ぐっ。年末の大掃除でくまなく駆除したと思ったのに、
性懲りも無く現れやがって。邪悪なT君よ。
「いや〜切り口に困ってると聞いたもんですからね〜。
そんなモノ簡単ですよ〜時流に乗りましょうよ〜時流〜」
時流って何だ。
もしかして恵方巻きのコトを言ってるのか。
「そうそう。そこですよ〜。
旬のモノをいちはやく取り入れるんです〜。
そうすれば何とかなりますから〜」
だから恵方巻きのポテトチップスなのか。
意味がわからん。
「だから意味なんてあるわけないじゃないですか〜。
とりあえずやっちゃえばいいんですよ〜カルビーを見習いましょうよ〜。
ほうら恵方巻きみたいに、東北東の方を向いて、
ポテチを口のなかに入れるだけ入れるんですよ〜。
ほら〜桃源郷が見えてきませんか〜」
桃源郷に行って、二度と帰ってくるな。
そう叫び、畳2畳ほどの海苔に奴の体を巻きつける。
「うひょ〜恵方巻きになるんですね〜
だったらキュウリと卵焼き、
あとサーモンを入れてくださいよ〜」
そんな言葉を完全無視して、
奴を海苔で巻きつけたあと、
カンピョウできつく縛って、川に流す。
「流れていく方向は東北東ですかね〜。
桃源郷までの近道ですね〜」
そう言いながら、
川の下流に向かって流れていく邪悪なT君は、
ただでさえどす黒いのに、
海苔のどす黒さがよりいっそう、
奴の汚れた心を表しているようだったのです。