そういえば、
ジーン・ハックマンの映画を最近見たんだった。
コッポラの旧作が連続で公開されたときに見た
「カンバセーション…盗聴…」だ。
実はこれまで見る機会がなく、
たぶん見られないまま死んでいくんだろうな、
と思っていたけど、ハックマンが先に逝っちゃったのです。

ハックマン演じる盗聴のプロである主人公が、
依頼を受け、ある男女の会話を傍受したはいいが、
その会話の内容に不穏なものを感じたことから、
独自に調査を進めるストーリー。
この主人公、事件の真相に迫っていくはずが、
いつのまにか自らの半生でおかした罪に苛まれていく。
淡々とした描写ながら、
主人公の妄想なのかそれとも現実なのか
区別がつかなくなってくるところはホラー風味。
でもメカニックな盗聴の仕掛けもしっかり描写されていて、
幻想的な場面とリアルな場面のメリハリが巧みというか。
本作はウォーターゲート事件を予感した映画と言われたが、
コッポラはプライバシーをテーマにしたと語っているようだ。
社会派な映画というよりは、
一種の心理的スリラーといったほうがいいのかな。
ジーン・ハックマンが無骨に見えて、
じつは繊細な盗聴屋を好演していて、
彼の代表作の一本であることは間違いない。
さらにテリー・ガーとフレデリック・フォレスト、
ジョン・カザール、ロバート・デュバル、
さらにハリソン・フォードも出ていて豪華。みんな若い若い。