樋口真嗣監督「シン・ウルトラマン」を見る。
いろんな人がいろんなコトを言うだろう。
なので、見ようと思っている人は
なるべく情報をシャットアウトした方がいいです。
これから書くことは
ぜーんぶネタバレになるのでご注意をば。
でもね。ひと言だけ言わせてください。
本作は長澤まさみに尽きる! 以上。

なぜウルトラマンにカラータイマーがないのか。
なぜ「怪獣」が「禍威獣」で、「科特隊」が「禍特対」なのか。
なぜ登場する「禍威獣」や「異星人」のデザインがアレなのか。
なぜゼットンが「エヴァ」の使徒に見えるのか。
などなど、いろんな疑問や突っ込みが湧き上がると思う。
でも。そんな些末なことはどうでもいい。
この映画で最も重要なのは、
長澤まさみが出ているということだ。
しかもただ出ているだけではない。巨大化するのだ。
それはもちろん、かつての「ウルトラマン」で
フジ隊員が巨大化したエピソードを引用しているわけだが、
だからといって、巨大化した長澤まさみが
まさか、その美しい脚を振り上げてビルを破壊するとは思わなかった。
その偉容たるや、映画史に残るインパクトの強さ。
しかも、長澤まさみに
「お風呂入りそびれちゃった」というセリフを言わせ、
あろうことか、斎藤工演じるウルトラマンに
彼女の体臭をかがせるという展開。
山本耕史演じるメフィラスの指摘よろしく
「変態」以外の何物でもないが、
これほど嗅覚を感じさせる映画も珍しい。
ジョン・フォードの「荒野の決闘」で、
ヘンリー・フォンダ演じるワイアット・アープが、
香水をつけて軒下の椅子で戯れている場面を
彷彿とさせると言ったら突飛すぎるだろうか。
長澤まさみはきっとこれからも第一線で
俳優の道を歩んでいくだろうし、いずれは
大女優と言われる存在になると思う。
代表作もたくさん積み重なるだろう。
でも、お馬鹿なシネフィルの間では、
あの巨大化した長澤さんは素晴らしかった、
と永遠に語り継がれるような、
そんな気がしてならないのです。