桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

密かに

2013-12-05 | Weblog
冤罪事件として有名な帝銀事件が終わったと、小さな記事があった。
どこから、どう考えても、1画家に過ぎない平沢さんが犯人ではあり得ないと、俺には思えるが、裁判では死刑判決となり、平沢さんは獄死した。
平沢さんを支援した方の息子さんが、平沢さんの養子になって再審の闘いを引き継いだが、その方が亡くなられたことで再審も終結することになってしまった。他人事ではない獄死だったが、無念なままに亡くなった平沢さんを思うと、このまま終わることが悔しくなる。
新しい冤罪である仙台北陵クリニック事件は、結局、鑑定人尋問を行うことなく、最終意見書の提出となった。確定した判決を覆す手続きとして鑑定人尋問などの「事実調べ」がなく終わる再審は、殆ど勝っていないことを考えると、この闘いも厳しい見通しと考えざるを得ない。
帝銀事件にしろ、北陵クリニック事件にしろ、捜査で集められた証拠の総てが開示され、弁護人が検討出来るようになれば、どちらも無実が明らかになる、と俺は確信している。
この2事件だけではなくて、どの冤罪も犯人に作りあげた経過を示す証拠が隠されることによって、無実の人が犯人にされている。
捜査で集めた証拠は、警察や検察の独占物でなくて、公共の財産として裁判に使われるようにしなければ、これからも冤罪は作られるのだが、余り社会の表面には表れずに、人に気付かれないままに冤罪者の苦しみは流されて行く。

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1 コメント

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Unknown (fune)
2013-12-05 21:29:46
最高裁も全くおかしい。検察と同様、国家的犯罪組織といっていい。冤罪で人を苦しめ、殺し、良心などない連中だ。それが自分の出世や安泰のためだから、人間として全く卑しい。こういう奴ら戦前の特高と何の変わりもない。
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