桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

袴田事件特別抗告書

2018-06-21 | Weblog
この18日、袴田事件弁護団が提出した特別抗告書を読んだ。
94ページにわたる大島隆明コート決定に対する反論は、いかに大島隆明らの判断が偏見に満ちたものであり、曲解を重ねたものであるかを示している。
DNA鑑定論争のような大島決定だったせいで、その反論の多くはDNA鑑定に付いてだが、もっとも印象に残るのは、過去の審理の中で、あの「捏造証拠である5点の衣類」から人血証明検査、血液型検査に成功しているという事実だ。
ならば、その血液からDNAを検出する技術を用いれば良いだけのことだ。古さゆえに鑑定不可能などとする論は根底から誤っている。
俺は良く判らないし、判りたいとも思わないDNA鑑定だが、本田教授の鑑定を否定する鈴木廣一大阪医科大学教授は、オーソ抗Hクレチンの使用はDNA酵素を分解する作用があるから、それを使用した鑑定は信用出来ないというらしい。
それは再審開始決定を出した静岡地裁も認識していて「その量や濃度によっては」と書いている。本田教授の鑑定は、その量や濃度を考慮した鑑定として信用性を認めたのだ。裁判所から「本田鑑定の再現実験」を求められた鈴木廣一は、本田教授の鑑定手法を行わずに、オーソ抗Hクレチンを大量に、かつ高濃度で使用した実験を行った。ならば、鑑定不可能になるのは当然だ。
こんなインチキ鑑定を大島隆明らは鵜呑みにして再審開始決定を取り消した。
更に、プロテナーゼKと呼ばれる試薬に対する判断では、端から再審開始決定を取り消す方針で歪んだ訴訟指揮をしたとしか思えなかった。
布から血液を溶出するときは使用しない、血液からDNAを検出させるときは使用する、そういう試薬に付いて説明した行為等を曲解し、誤解しただけでなく、更にDNA検査器材にあるメーカー側の説明を、そのまま鑑定書に記載した本田教授を嘘付き呼ばわりした大島隆明らを考えると、こいつはら腐れ検察の上を行く腐れ裁判官どもで、狂っているとしか思えなかった。呆れて言葉がない。
今回の大島隆明決定に賛同する意見の中に「本田教授が鑑定記録を破棄したのは不審、ゆえに鑑定結果も不審」と語るものがある。
実は、俺も「なぜだろう」と思っていたが、何のことはない、本田教授は静岡地裁での裁判の際、検察や裁判所などの求めるままに鑑定記録を提出している。だから破棄しただけだった。実験ノートがないのは、鑑定能力のある人ならば誰もが通常的に行う経過ゆえに、何時でもどこでも説明出来ることだらノートを使わなかったのだそうだ。
あたかも怪しげな実験をした捏造鑑定であるかのように判断する大島隆明たちは、甲羅に似せて穴を掘る蟹の類いなのだ。自らの思いが賤しいだけだ。
本田教授は誠実に公正に、かつ正しく鑑定を行った。
日本国民救援会は、本田教授の鑑定を否定する検察に対して、過去に本田教授の同じ鑑定を使って有罪判決を得ているダブルスタンダード、二重舌を批判しているが、これはパナジウム法と呼ばれる手法らしい。
検察は、このパナジウム法を信頼性があると喧伝していたそうだが、口を閉ざして知らぬ顔。ズボンのタグにある「B」が色を示すものであったのを、長く「それはサイズを示す」と欺き続けて来た腐れ検察の面目躍如たる事実だ。
俺は、今回の高裁決定は、これまで袴田巌さんを犯人に作り上げて来た警察と検察が犯罪者として裁かれる日になると思っていた。裏切られたが、今回の大島隆明コート決定が非難された日には、そこに大島隆明らも加えられるだろうと書く。
袴田弁護団のご苦労に深甚の敬意と感謝の思いを贈らせて頂きます。有り難うございました。
必ず、必ず、この特別抗告書は社会に広まり、勝利を勝ち取るものになると確信します。
最後になるが、大島隆明決定に盲従された郷原信郞氏は、この弁護団の渾身の想いをお読みだろうか。
聞けば、郷原氏と関わる美濃加茂市長冤罪贈収賄事件は、1審が無罪だったものを名古屋高裁が逆転有罪判決を下したが、その裁判長が袴田事件で再審開始決定を書いた村山裁判長。よもや、その怒りなどで村山決定を否定した大島決定に賛同したのではないかなどとは思いたくないし、思わない。俺は郷原氏の人格と人間性を信じている。法曹家として尊敬もしている。ゆえに、この袴田弁護団の特別抗告書を読まれて、1日も早く信じ難いブログ記事を訂正されることを願っている。

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4 コメント

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Unknown (orange mystery)
2018-06-21 22:44:44
冤罪と闘う人たちの中にもいろいろな対立が生じているようですね。
日本共産党が、狭山事件の石川さんの支援を途中でやめてしまったことを思い出します。
桜井さんは日本共産党を非常に高く評価していらっしゃるようですが、狭山事件に限っては共産党は間違っていると思います。
私からみれば、袴田事件も、狭山事件も、そして前美濃加茂市長冤罪事件もすべて再審無罪になるべきだと思います。

ともかく、誰がなんと言っても袴田さんが無実だと確信しています。最高裁の良心を信じて戦いましょう。
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クズ政党のクズ市議は、強制わいせつ魔。 (Unknown)
2018-06-22 01:59:24

強制わいせつ容疑で元市議を再逮捕 10代女性の体触る

6/21(木) 14:29配信

朝日新聞デジタル

 長野市内で10代の女性の体を触るなどしたとして、長野県警長野中央署は21日、元長野市議の生出光(おいでひかる)容疑者(28)=同市伊勢宮2丁目=を強制わいせつ容疑で再逮捕し、発表した。容疑を認めているという。

 生出容疑者は今月5日、1月に他人の自転車のサドルに自身の体液を付着させたとして、器物損壊容疑で逮捕され、その後、容疑を認めて市議を辞職していた。長野地検は21日、生出容疑者を器物損壊の罪で起訴した。

 県警捜査1課によると、再逮捕の容疑は、4月19日午後7時40分ごろ、同市内の路上で、歩いて帰宅していた10代の女性の体をいきなり触るなど、わいせつな行為をしたというもの。被害関係者の届け出を受け、署が捜査していた。

 代理人の弁護士によると、生出容疑者は「被害者や信じて投票していただいた有権者、家族に申し訳ないことをした」と謝罪の言葉を述べているという。

 再逮捕と起訴を受け、生出容疑者が所属していた共産党長野市議団長の野々村博美市議は取材に対し、「許されない行為であり、被害者、市民の皆様に大変申し訳ありません」と話した。

 党県委員会では近く開かれる会合で、党としての処分を決める方針。
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お前がクズだ! (Unknown)
2018-06-22 11:57:50
このコーナーは、冤罪をテーマとしている。
反共クソ野郎の出る幕ではない。

共産党をクズが政党と呼ぶならば、安倍昭恵や安倍晋三達自民党幹部や関係者が、国民の税金を自分の仲間達にばら撒いている事を、何と呼ぶ?
共産党は謝罪している。
安倍晋三や取り巻き連中は、ウソで誤魔化す事に汲々としているが、何故批判しないのだ!
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上から2番目のコメントの方への意見など (orange mystery)
2018-06-22 16:22:20
どんな組織にも過ちを犯す人はいるし、どんなに素晴らしい人でも時には過ちを犯すということです。
もし、報道内容が事実であれば、事件を起こした個人が被害者の方に謝罪し贖うべきで、この事件をもって日本共産党が悪だとか、クズだというのは良くないのではないかと思います。
私は先日、狭山事件に対する共産党系団体の姿勢に疑念を呈した者です。
しかし、日本共産党は人権問題に非常に熱心に取り組んできた政党だと思っております。
戦前から国家権力の暴走に一貫して立ち向かってきただけあって、共産党には冤罪問題に詳しい人たちがいます。
それだけに、狭山事件の救援活動に日本共産党が冷淡なのはもったいないと思います。
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