桜井昌司『獄外記』

布川事件というえん罪を背負って44年。その異常な体験をしたからこそ、感じられるもの、判るものがあるようです。

こんなときに

2014-11-29 | Weblog
京都で再婚を繰り返した女性が、その相手を殺害したと騒がれている。
この人、良く喋っていたよね。問うに落ちず、語るに落ちるという言葉もあるが、再婚相手に公正証書を書かせるあたりの話などは、何のために結婚するかが明け透けに見えて、こりゃあ財産目当てだし、殺ってるなあ、と思わせる。
でも、そう思うことが多くの冤罪を作らせて来た、と俺は思っている。
和歌山カレー事件の林真須美さんは、あの当時、誰もが犯人だと思ったはずだ。いや思わされたと言った方が正しいだろうか。塀の上から報道陣にホースで水を掛ける、 少し笑みを浮かべたような表情に、これが毒を盛った犯人なのか!と今でも思う人があるだろうが、林さんは冤罪だ。林さん宅から押収された砒素とカレーの砒素が一致したとする鑑定は、昨年だったか、偽造鑑定が問題になった和歌山県警の科警研技師の捏造だ。
社会が「あいつは犯人だ!」と思わされて、「逮捕しろ、懲らしめてやれ!!」の世論を作り、警察の人権無視の捜査を「犯人なのだから手荒なことをしても仕方ない」と許してしまう。そして警察自身も「悪い奴を懲らしめるのだから、何をしても構わない」とした自己弁護で証拠の捏造までもしてしまう。
京都の女性は、実に怪しいが、だからこそ証拠に基づいた誤りない捜査を行うべきだし、興味本意の無責任な報道に惑わせられないことが必要だろう。
でも、他人の不幸は蜜の味。好きなんだよなぁ、こんな騒ぎが。

最新の画像もっと見る

3 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (五体満足)
2014-12-02 00:07:23
林真須美は、どうみても冤罪じゃないでしょう。
最高裁で、死刑が確定。
無実なら、第1審で、黙秘しない。
無実だと言うはず。

最高裁で無罪になった中勝美のことでは、最高裁の判決に逆らうなと、僕を罵ったでしょう。

林真須美が冤罪なら、真犯人の名前を教えてください。

返信する
どなたと戦っていらっしゃるんでしょう? (kura3)
2014-12-02 22:16:22
一応ルールでは、バイアスのかかった人は外すことに成っているけれども、五体満足さんの様な考えの人がいる以上、裁判員制度は駄目な制度だということが本筋とは違いますが分かりました。推定無罪とか基本なのに。立件内容に合理的な疑いを挟む余地があれば無罪。桜井さんと私の考えは違うかも知れませんが、無罪と無実は一般的に違います。
返信する
スケープゴート (森利行)
2014-12-03 17:50:39
五体満足さんへ

帝銀事件を知ってますか?冤罪で逮捕された平沢貞通さんは、本人が芸術家(高名なテンペラ画家)だったことも手伝ってか、世論は冤罪に傾いていたそうです。しかし、過去に詐欺事件を起こしていた事がリークされると、世論は一挙に真犯人説に変わったのです。日本では一度犯罪者となるとその罪の重さとは無関係に「スケープゴート」とされ、差別されます。そうなると真犯人はどうでもよく、冤罪であろうがなかろうが、悪い奴は死んでもかまわないという心理が働き、真実とは無関係に犯人とされてしまいます。
 でもこれは一般人も警察も同じ心理で、例えば冤罪であると解っていながら、社会的弱者だった菅谷さんの逮捕をもって連続説人事権の足利事件を終息させてしまった警察や、それを黙認したマスコミ、世論も、そして裁判官も同じ心理が働いたと思います「別にこいつが犯人でもいいじゃないか」と。
 浮き世思想が根底にあるためか、なぜか、日本人は、「生命」「人権」「権利」等に対しての意識が極端に乏しく、自分の身になって考える事ができない。非差別者を「運の悪い人」で終わらせてしまう。突飛な例ですが、早々と国籍を抹消されてしまった5000人の中国残留孤児や、他国よりも40年も廃止が遅れたハンセン病者隔離法の問題等も、このような日本人の精神の欠陥が招いた悲劇だと思っています。
 特に犯罪者に対しての差別は、何のうしろめたさもなくバッシングできるため、過酷なものになります。林真須美さんも、間違った刑を言い渡された光市事件の福田さんや、闇サイト殺人事件の犯人達は、ストレスを溜め込みスケープゴートを渇望する日本社会や日本人の餌食になったと思っています。あなたもそのような人のひとりです。
返信する

コメントを投稿