N藤史郎様からぜひ手に取ってみて欲しいとの推薦があり、注文しておいた本が届きました。
「小林信夫の模型世界」
という題面ですが、この本は鉄道模型趣味(TMS)月刊誌に連載されていた方の本です。
イラストや本文中に出てくる模型などでお馴染みだった方なので、この本を手に取ると当時の記事を思い出します。
TMSは40代中頃までは気に入った号があれば購入していましたが、それ以降はRM MODELSを定期購入したので、20数年ぶりのTMSの本と言う事になりますかね。
彼の作品は自由形が主ですが、車両だけでなく様々な模型を手作りして、小林ワールドを作り上げていたといえます。
近年では模型人口の減少や高齢化もあってか、昔のように手作りをするモデラーはかなり少数派になっているかと思います。
私も若いころ20代~40代では手に入らないものも多かったので、無い物は作ると言う事で頑張ったことがありましたが、最近では車両に関しては完成品の購入が多くなり、それに装備を追加する程度になってますし、在庫がかなりあるキットの組み立てはだいぶ遅延している状況です。
模型の世界は仮想現実として自由に遊べるのですから、もっと楽しむべきなのですが、Nゲージは高度な規格化とそれを取り巻くアイテムの豊富さから、お金を出せばきっちりとした風景が短時間で出来上がるのを見ていると、どうも景色が規格化されてしまっているように感じてしまいます。
完成品や半完成品のストラクチャーを使うためにおこる、どこかで見たような街並みなど、実際にはそれぞれレイアウトの形は違うのですが、使うストラクチャーが同一なので、それらが一杯あるとそう見えてしまうのです。
自室のレイアウトもメーカー品の物が多いために、どうしてもその雰囲気から抜け出すことが難しいのですが、規格品に手を入れる事でかなり違うものに見えるので、そのような楽しみ方をすれば、他との差別化が出来ていいのかなと思います。
そうした事を再考するためにはこの本はベストかもしれませんね。
それに伴って究極の夢と言えるレイアウト製作もぐっと身近になって、精密なシステムの恩恵を受けて、誰でもが簡単に実現できる環境を提供してくれました。
しかしながら、個性的なレイアウトというものが少なくなってきたように感じます。
1970年代の諸先輩方のレイアウトを見ると、限られた資源の中で、どのように自分のイメージする世界を構築するかという努力とアイデアが盛り込まれていて、今と比較すればスマートさはないものの、その作品から訴えてくる情熱世界が時代が進んでも色褪せないように感じます。
最新の記事が素晴らしく思えてしまう錯覚がありますが、実は黎明期の記事には今でも通用する思想や技法があると思っています。
ものを形にして作り出すというのは、結構技量や知識を必要としますので、このようなことを習得することを古い考えだとかで、切り捨てるのではなく、まず試してみるという姿勢が大切ではないかと思います。
この本を手にしながら、小レイアウト着工はまだ未定ですが、以前載せた思案を煮詰めて実行できればと思っています。