世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【対米支援策としての円安誘導継続のために政府・日銀は自民党を勝たせたいが…】誰が総理大臣になっても変わらない日本③

2024-09-29 21:22:41 | 日本
前回からの続き)

 今般の与党自民党の新総裁の決定で、近いうちの解散総選挙(衆議院議員選挙)が取り沙汰されています。でその衆院選での関心事は・・・本稿の文脈からすれば、たったひとつです。つまり・・・「アメリカドルの支援」を「本当の目的」としている日銀現行金融政策円安誘導」が信認されるか否か、ということ。そこは、同政策が2012年12月から現在までの自民党政権(を表向きの看板にした政府[官僚機構])のもとで行われてきたため、次回の選挙における自民党の勝ちっぷり(あるいは負けっぷり)によって判断されるでしょう。つまり、自民が勝てば円安誘導は信認、負ければ不信認、です。この点、そんな判断を下すのは有権者や本邦メディア・・・などではなく株式市場参加者(とりわけ外国人投資家)で、彼ら彼女らが自民党勝利つまり円安誘導が信認されたとみなしたなら、選挙直後に株高円安、逆の場合は株安円高、となるはずです・・・

 まあそのあたりは、こちらの記事に書いた前回の衆院選(2021年秋)の前の状況と似ていますね。そこでは「自民党が勝てば物価は一段と上昇するだろう」と予想しましたが、実際、自民党が勝った・・・ことで同党政府が進める円安誘導にも国民の了解が得られたとして日銀が結果的にこれを強化した(より正しくは、この間、米FRB等が利上げを進めたなかで日銀は超低金利を維持した)ために円安がさらに進んで輸入インフレが喚起されて物価が上がったわけです。となれば同じ理由から今回も「自民党が勝てば物価は一段と上昇」することでしょう・・・

 が・・・今回は、その自民党の旗色は悪いといわざるを得ないでしょう。前回選挙以降にさらに進んだ政策的な円安が先述した「マイナス」(超マイナス経済成長、実質賃金の2年以上にわたるマイナス、等々)の苦しみを国民の大多数に強いてしまった・・・うえ、前述した現「岸田政権」の低支持率などから推測されるように、有権者の多くもそれが自民党が進める円安のせい・・・で、この苦しみを緩和するには円高による輸入物価の引き下げが有効・・・だと気づきつつあるからです。であれば、旗色の悪さは自民党・・・もそうですが、むしろそれ以上に政府・日銀(の現行金融政策「円安誘導」)になってしまいます。

 で、この何がマズいか、ですが・・・そうした国民の思いが円高環境を求めて日銀にもう一段の金融引き締めを働きかけることになりますが、実際に円高になると、前回記事で論じた政府の円安株高路線が動揺しかねない(円高株安・外債安になってその間に「政府」[公的年金基金政府系金融機関等]がしこたま勝ったこれらに巨額の評価損が発生しかねない)・・・ことに加え、上述「本当の目的」であるアメリカ&ドルの支援がますます困難になってしまう―――日米金利差がいっそう縮小してアメリカ&ドルに向かってほしいマネーがさらに減少し、かの国の「金利」を押し上げかねない―――わけです・・・

 以上からすれば、政府・日銀としては、前回選挙に続いて今回も自民党に勝ってもらいたい(日本株「買い」と市場が判断できるくらいに自民に勝ってほしい)―――そうなることで対米支援策としての円安誘導に引き続き「お墨付き」を得たい―――ところでしょう。そこで、どうするか、ですが・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【アメリカ&ドル支援の円安誘導政策を政治家(国民)に邪魔されたくはない…】誰が総理大臣になっても変わらない日本②

2024-09-27 21:28:54 | 日本
前回からの続き)

 先述したように、わが国では国家の意思決定(政策、法律、予算等の決定)を「政府」(官僚機構)が下しており、ここに「政治家」(国民)が関与できていない以上、その政治家(総理大臣や国会議員等)が誰であろうが、日本は変わりようがない―――官僚の上記決定事項に基づく政策が政治家の思いつき?程度で変更されるわけがない―――ということになります。そのあたり、たとえば、これまで脱原発を主張されていた国会議員が、党首選などに臨む自身の政策開示に当たって、いとも簡単に?これを封印、などと称して事実上、同推進派に宗旨替えして平然としている(?)ところにも、政府の方針等を前にした際の各位の節操?が感じられますね・・・

 さて前述、そして先日のこちらの記事を含めて本ブログでは繰り返し指摘のとおり、いまの為替レートの円安(ドル高)こそ日本の「体たらく」―――GDPや国民所得や実質賃金の大幅な「マイナス」(そしてこれによる生活費高騰[エネルギーなど外国に支払うべき費用の増加]が若年層に結婚・出産・子育て等を経済的に断念させること等による人口減や国力衰退等)―――の元凶と断言できます。さらにその「マイナス」が、国家国民が最善を尽くした結果ならば受け入れざるを得ないのでしょうが、けっしてそうではなく、官僚「政府」がそうなるように意図した政策、より具体的にはその意を汲んだ日銀の緩和的な金融政策「円安誘導」のおかげ(せい)?であることもシツコク指摘済み。

 でその政策の結果としての円安の影響に国民のネガティブ感が高まっているのは・・・現在の「岸田政権」の支持率が30%を下回るという歴史的な低水準で推移した時期が、実質賃金が2年以上(今年5月で26か月連続!)も下がり続けている時期とオーバーラップするあたりからも推測がつくところです。その間は(2022年春に開始された米FRBによる利上げで日米金利差の拡大がマーケットで意識されたこと等で)急速かつ急激な円安が進んだ時期とカブるわけで、これが上記「マイナス」の主因であることは、ここのところのガソリン代や電気代等の高騰で、普段は経済にそれほど興味を持たない人々だって気が付くというもの・・・

 となると、(総理大臣が誰になるかに関係なく、これを演出する)政府としては、政権の支持率を明らかに引き下げる方向に作用するこの円安誘導政策への対処が最大の課題になってきます。つまり、これを続けるために国民の円安への拒否感をいかにかわして政権を維持するか、といったことです。そこまで苦労して(国民の反感をはねのけてまで)同政策を政府と日銀が継続したい理由は、何度も書いてきているように、たったひとつ、すなわち、アメリカドルの下支え、にほかなりません。そのあたり、最近ではこちらの記事に書いたように、ドルは準備通貨等として保有されるべき根拠を失いつつあるから、なおさら、これに持つべき価値がまだあるかのようにみせるべく、日本のの利回りをそれ以下に抑え込む必要があります。それこそ日銀の円安(≒超低金利)誘導の「本当の目的」であり、ゆえに現政権を支持しない―――円安に反発する―――国民の多く(7割超?)・・・の声を代弁する「政治家」には絶対に邪魔?をされたくないところでもあるわけです・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【この国の意思決定において政治家(国民)は「蚊帳の外」だから…】誰が総理大臣になっても変わらない日本①

2024-09-23 17:32:28 | 日本
 かの国もそうですが、わが国もそうですね・・・ってこのあたり、似ているような、そうでもないような・・・?

 日本はいま「誰が総理大臣になっても変わらない」と思っています。その理由ですが、本質的なところは、こちらの記事に書いたとおり、この国には「総理大臣」・・・をはじめとする「政治家がいない」ためです。

 でそのあたり正確には、国の重要政策やこれを裏付ける法律および予算等は「政府」(≒官僚機構)が作成・決定しているために本来の意味での政治家(閣僚国会議員等としてこれらを作成・決定・実行する人々)は存在し得ない(ぶっちゃけ「蚊帳の外」)、といったこと。その意味では、そうした名ばかりの「政治家」の舞台である国会や閣議などは、あたかも「政治家がいる」―――主権者たる「国民」が選挙で選んだ彼ら彼女らが論戦等し意思決定をしている―――かのようにみせる、いわばカムフラージュにすぎません。実際、それらはすべて政府が仕切っている・・・って、たとえば国会なら、野党議員の質問も(与党の)大臣等の答弁も、ほぼすべて関係官庁・・・の行政職員(官僚)が作成しているし、閣議だって官僚が上げてきたものをノーチェックで了承するだけ、となっていますからね・・・

 この点、わが国における真の意味での「国会」(本当の立法府)は「内閣法制局」であり、「閣議」は現「次官連絡会議(旧事務次官等会議)といえます。重大なのは、こうした場で、国民が選挙で選ん・・・でいない(国民のチェックを受けない)官僚らが、新しい政策や法律等について、国民に非公開で議論して決めているところ。その後は、国会や閣議を上記のように操って国民(の代表者である「政治家」)が自らの意思と責任をもってそれらを決定したかのような演出をする(ことで官僚らが責任を取らされる[やめさせられる/金銭を支払わされる、等の]リスクを回避する)といった仕組みになっています・・・

 であれば、「政治家」(≒国民)ができることはきわめて限定的です。つまり・・・(官僚の意思が反映された)政府提出の法案やら予算案に「ノー」をいうこと、くらい。かといって、それで否決されたA案とは異なるB案が国会(表向きの立法府)から出てくるはずがないのは、上記からすれば当然ですね、「案」を作っているのは官僚で政治家ではないから。そのあたり野党政治家のことを、反対しかしない(対案等を出さ[出せ]ない)、などと揶揄する場合がありますが、それは与党(および与党の政治家で構成された政府の閣僚ら)が、(官僚作成の案に)賛成しかしない、というのと同じ。いずれにしても与野党とか政党とかの違いによらず、こうして政治家(国民)は国家の意思決定に参画させてもらっていない(うえ、その上記「責任」だけ取らされる)わけです、官僚各位に・・・

 以上により、この国には「政治家がいない」がゆえに、本稿タイトルのとおり、といった次第です。にもかかわらず現在、このたびの自民党総裁選で分かるように、「政治家」に多くの注目が集まっているところです。まあそこは・・・政府に全面協力する?メディア各社の演出としての上記カムフラージュの一環でもあるわけですが、とくに今回は、本邦政府にそれらを必要とする意向が強いものと推測します。なぜなら、それだけ現在の政府の政策に対する国民のネガティブ感が大きいためです。でその政策とは・・・いうまでもなく「円安誘導・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【仏、ユーロ導入後の対外赤字拡大には仏独枢軸への「甘え」が…】フランス&EU:「メッキが剥げた」メダルとユーロ⑥

2024-09-19 21:14:13 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 これまで綴ってきたように、フランスの対外収支の大赤字体質は、「メイド・イン・フランス」の武器をどれほど輸出しようにも、もはや改善は望めず、これが類似体質の他のEU諸国(イタリア、スペイン、ギリシャなど)とともに共通通貨ユーロの信認低下に手を貸すこととなって、結局、EU圏全体がインフレに沈んでいく・・・となるしかないでしょう。

 この点、やはりユーロは構造上こちらの記事等を含めて以前から指摘しているとおり、インフレになりがちな通貨だということをあらためて示していますね。すなわち、その発行体である欧州中央銀行ECB)は、ユーロ圏のなかでも経済基盤が弱い国々の債務が持続可能になるよう、どうしても緩和的な(低金利を維持する)政策スタンスをとらざるを得ないわけですが、かの国らはそれに「甘え」、(財政改革や輸出振興等をサボって)さらに債務や赤字額を膨らませて、そのせいでECBの金融引き締めがますます困難になって・・・インフレが激化していく、といった次第。

 そして、フランスについては、ユーロ圏のなかでも同導入前後で上記のように対外収支の悪化の度合いが大きいわけですが、これには他国以上に同国のドイツへの「甘え」が影響しているのだろうと推測しています。つまり、両国、とくにフランスのほうには、両大戦後の欧州の平和と統合の基盤である仏独枢軸は「鉄板」、との思いが強い・・・ために、自分(だけ?)は何があってもドイツ(の経済力等)に支えられる(ドイツは支えるしかない)・・・から甘えてもOK!との意識があるのだろう、と。いっぽうのドイツ(国民)は、独仏枢軸の大切さは理解しているものの、かの国力に照らせば理不尽なインフレ(と低い金利≒バブル)に苦しめられるなか、その原因となっているフランス(を含む同国「以下」の[長期金利が高い/長期国債が安い]国々の過剰な対独依頼心)にイライラを募らせているはず・・・

 さらに、いうまでもありませんが、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化がユーロ圏各国に強いる巨大な財政支出もユーロの劣化に拍車をかけることになるでしょう。そこは上記のとおりフランスやドイツの軍需メーカーやその株主らにはこの「戦時経済」がもたらすプラスの恩恵がある(?)かもしれませんが、同じ財政出動でも武器等の生産等は公共インフラ投資などと違って乗数効果はずっと小さいだろうから、総合的にはマイナス、つまりインフレの害悪のほうが勝るに違いありません・・・

 その他、あげればキリがないくらい、ユーロの先安観つまり止めどなきインフレ・・・がもたらすであろう欧州全体の不安定化の兆しがあちらこちらで見受けられます。それは本稿冒頭でご紹介の、たった1日でメッキがはがれる「メイド・イン・フランス」のオリンピック・メダルのクオリティーが象徴しています・・・って、ユーロの価値は本当はその程度だよ、と・・・

(「フランス&EU:『メッキが剥げた』メダルとユーロ」おわり)

金融・投資(全般) ブログランキングへ
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【仏の「戦時経済」体制(武器輸出)が対外収支改善等にプラス寄与し得ない理由】フランス&EU:「メッキが剥げた」メダルとユーロ⑤

2024-09-13 19:38:59 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 前述のように、フランス(およびドイツなど一部を除く全EU諸国)は、EU共通通貨ユーロを手にしたのをいいことに、その「強さ」に20年あまりも安住した(輸入代替や輸出振興を怠った)結果生じた対外収支(および財政収支)の大赤字と、これがもたらすインフレ(ユーロの弱体化)に苦しむ羽目になりました。でようやく目覚めたか、その改善に向けて輸出強化に乗り出して・・・って、いまさらメイド・イン・フランスの何を売るのかと思ったら・・・やはり武器・兵器の類だったわけですね。その対外セールスの勢いは、GDPで世界7位の同国を世界2位の武器輸出大国に押し上げるほどのスケールであるのは前述したとおりです・・・

 が、結論からいえばフランスが、マクロン大統領らが、戻った!と期待を寄せる「戦時経済」(戦争や対立で儲ける・・・って武器輸出)で上記赤字等のマイナス要素を解消することは不可能と断言できます。

 でそのあたりは・・・同国製の武器を買う側からみると分かってくるというものです。たとえばインド・・・はいま世界一の武器輸入国で、フランスはここのところ同国への売り上げを増やすことに成功してはいます・・・が、インドはフランスと同様の貿易・経常収支の大赤字国(世界ワースト3位!)だから(通貨安→インフレの抑制等の必要から)これ以上、(つまりフランスの赤字額を目に見えて埋めるほど多額の)武器類を買い増す余裕はないはず。

 となると次の期待は、その購入原資となるオイルマネーで潤う中東諸国になりそうです(実際、2013~2022年の最大の輸出先はUAEで、以下、エジプト、カタール、インド、サウジアラビアと、上位5か国中で同エリア国が4つを占める)。しかし、かの国々がフランス製武器をさらに買うために必要なマネーを得るには、原油(や天然ガスなどのエネルギー)の価格がさらに上がる必要がある(販売量の増加はそうは望めない)ところ、かりにこれが現実となっても、今度はフランスの対外収支がそのエネルギー価格の高騰によっていっそう悪化し、せっかくの産油国相手の武器売り上げ増分が打ち消されて・・・といったことになるでしょう・・・

 であれば、頼みはそれら以外の、対外収支等が安定した先進国・・・などですが、アメリカ英国やドイツなどはいうまでもなく武器の自給国・・・であるばかりかその輸出マーケットではフランスとバッティングし合うくらいだから、これらの国々が「F-16」に替えて「ラファール」(戦闘機)を大量購入するわけがありません・・・

 ・・・となって最後?は・・・世界一の貿易黒字国である中国。当然、おカネはたくさん持っているでしょう。ですが、いうまでもなく、かの国は現在、ウクライナに侵攻中のロシアを支える?側、つまりフランス・・・やアメリカなどで構成されるNATO(加盟国)とは潜在的・軍事的に敵対する側に位置づけられています(?)。そのうえ、少し前からアメリカは様々な面で中国との対立を深めています。となると(本音は逆だが建前上は)フランスが中国を相手とした軍事ビジネスを拡大するのは(同盟国アメリカへの遠慮等もあって?)難しそう・・・

 以上(の輸入側の事情等)から、フランスの武器商法はうまくいくはずがない―――同国の国際収支の均衡・経済プラス成長・インフレの抑止等に寄与し得ない―――といい切れるわけです。かといって非軍事セクター(自動車等の輸出など)で黒字を、というのもまた無理なことは上述のとおり。よって、フランスの赤字体質はもはや改善が望めず、これが類似体質の他のEU諸国とともにユーロの信認低下に手を貸すことになって・・・自国ばかりかEU圏全体がインフレへ、となっていく以外にないでしょう・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【仏、武器輸出で世界2位に浮上…の背景は…】フランス&EU:「メッキが剥げた」メダルとユーロ④

2024-09-11 00:01:58 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 前述のとおり、フランスが対外収支を悪化させることとなったターニング・ポイントは、EU共通通貨「ユーロ」の導入(2002年)といえるでしょう。まあ・・・悪くなってもしばらくはよかったのでしょう、が・・・同国は以降20年あまりもユーロの「強さ」に安住し、輸入代替・輸出振興等をおろそかにし続けて(ギリシャやスペインなどとともに)すっかり(大)赤字体質になってしまったことで・・・さすがの?ユーロも、これに引きずり降ろされるかたちでその実力が相対的に低下してしまったわけです。そのあたりは、先述した、かの国の2022年の巨額赤字の主因となったエネルギーのユーロ換算輸入額の大きさに表れています。すなわち・・・それだけユーロが弱体化した(購買力が小さくなった)ことで、かの国民らはその弊害である・・・インフレに苦しめられる羽目に・・・(同年5.9%!)

 ここでフランスはようやくその大きな原因が自分たちの上記赤字にあることに気づいたようで(?)、これを減少させようと、国家をあげてメイド・イン・フランスの輸出強化に乗り出しています。かといって・・・先述のように(自国産業の競争力向上等をサボってきたため)、いまさら「〇ノー」などが急に外国に売れるワケ(魅力)がないことはフランス自身がいちばんよく分かっているはず。では何を?・・・とくれば、やはり武器・兵器の類になるしかないですね・・・

 そのあたりは以下の数字などで明らかです。ストックホルム国際平和研究所によると、2019~2023年の5年間のフランスの武器の輸出はその前の5年比で47%も増加し、国別ランキングでロシアを抜いてアメリカに次ぐ世界2位!になりました(ってトレビア~ン?)。同国のGDPは世界7位(2023年)ですから、他国と比べても、いかに武器の対外販売に傾倒しているかが分かるというものです。実際、日経新聞などによれば、かの「政府は外交力をテコに世界各国への輸出を拡大することで」自国の軍需産業にいっそうの武器の生産を促しているそうな・・・

 「まあこの間、欧州ではロシアによるウクライナ侵攻があったからね」たしかに。そこを念頭に?エマニュエル・マクロン大統領は、武器工場でのあいさつなどで「戦時経済が戻ってきた」という、第一次世界大戦などの総動員体制を指す表現をしばしば用いて、ウクライナ向けの弾薬等のいっそうの生産増を働きかけています。ところが・・・そのロシアに対してもフランスは直前といえる2020年ごろまで、当時の最新鋭の武器を販売していたことがNGOに暴露されています。この点、2014年のロシアのウクライナ領クリミア半島侵攻・併合の際にEUは、同国への武器輸出を禁止する制裁を開始したにもかかわらず、フランスは以後も売り続けたことになりますが、同大統領は、それは契約が残っていたためで国際法上は問題ない、といった主旨の、何とも苦しい弁明をしています・・・

 上記からすれば、ぶっちゃけフランスは、メイド・イン・フランス・・・の武器を買ってくれるところには、ロシアだろうがウクライナだろうがインド(いちばんの売り先)だろうが、つまり対立関係にある双方も含め、どこにだって売る・・・ことで少しでも自国の収支を改善して経済成長(とインフレ[ユーロ信認低下]の抑止)を図りたい、ということなのでしょう。なので、ロシアの脅威に各国は備えを!なんてことは、そんなヤ〇シ~本心を覆い隠すための大義名分に過ぎないのでしょうね・・・

 こうして彼ら彼女らは必然的にこれらが売れる、戦争と対立(殺し合い&憎しみ合い)に満ちた世界を望み続けることになるわけです。すなわち・・・多くのフレンチ・カソリックは今日も荘厳なノートルダム大聖堂に集い、スんゴイ恰好をした神父とともにイエス様?に祈りを捧げます、自分たち・・・以外の人々がそうありますように、と。そこは上述の、かの国の威信の象徴でもある自国オリンピック「メダル」の「見た目」(伽藍)の華麗さと「中身」(願い事)の劣悪さが映すところでもありますね・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ユーロ導入がフランスをワースト4位の対外赤字国にした最大要因】フランス&EU:「メッキが剥げた」メダルとユーロ③

2024-09-09 00:00:16 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 前述のように、フランスが貿易収支(&経常収支)において世界4位(2022年2004億ドル)もの大赤字を計上するに至ったいちばんの要因は・・・EU共通通貨「ユーロ」への切り替え(2002年本格運用開始)だと考えています。

 そのあたりはその前後の、同国の上記収支の推移から読み取れます。すなわち・・・これより前、つまり自国通貨「フラン」の時代のフランスの貿易収支は、黒字の年もあれば赤字の年もあって、まあ(ちょっと贔屓目ですが)おおむねプラスマイナス・ゼロ、といった感じでした。実際、1980年以降でみると、赤字額がいちばん大きかったのは1990年の235億ドルですが、直近のそのデカさに比べれば少ないといえるスケールだし、1990年代半ばは黒字(1997年171億ドルなど)を数年間継続するなど、貿易が同国の経済成長にプラス寄与をした時期もあったわけです。

 ところが・・・かの国のフランからユーロへの切り替え以降の各年の貿易収支は・・・昨年2023年までオール赤字、それも・・・年ごとに多少の増減はあったものの、時間がたつにつれてその額が増加/高止まりになるトレンドになってきています。実際、2002年はわずかながらも黒字(25億ドル)だったのが以降2008年の1006億ドルまで6年連続で赤字額が増加し、その後はしばらく同水準かやや下回るくらいに食い止めてはいたものの、2021年に(コロナ禍等の影響で?)それまでの最悪である1300億ドルもの赤字を出してからは現在まで・・・といったことになっています。まあ、これほど赤字額が膨らんでしまえば、もうフランスは貿易で黒字を生む―――メイド・イン・フランス「モノ作り」で対外支払い以上に稼ぐ――――ことはこの先、まず不可能でしょう・・・(以上データ出典:世界経済のネタ帳・Statista HP)

 では、どうしてユーロ採用がフランスの貿易収支をこのように悪化させることになるのか、ですが・・・それは、ユーロが、それ以前のフランよりも強い(購買力が大きな)通貨だから、といえます。つまりフランスは、ユーロを手にしたことで(フラン換算額では高くて買えなかった)他国の「モノ」をより多く買える(輸入できる)ようになり、次第にそれらへの依存度を高めていった―――輸入代替能力を低下させていった―――結果、増加した輸入額に輸出の稼ぎが追いつけなくなって・・・ということ。ここで、フランスはどの国の「モノ」を多く輸入?ですが・・・象徴的にいうと、それまでは「国産車」(ル〇ーとか)で我慢していたのをベンツBMWに乗り換え、ってことですね。そこは、同時期からフランスとドイツの間の貿易額が急拡大していったことからも推測できるわけです(当然、フランスの恒常的な入超です)・・・

 本来、一国の対外収支が悪化すると、当該国の通貨は安くなってインフレがひどくなるから、国民はこれに危機感を覚え、同収支を改善すべく輸入の抑制と輸出の振興等を図ろうとするもの。しかし・・・ユーロ(の購買力)を手にしたフランス(を含むEUの多くの国々)にはそのインセンティブが希薄でした。したがって、それから20年あまり、このあたりをサボり続けてしまったのですね。そこは上記のデータそしてパリ・オリンピックの「メダル」―――この瞬間のメイド・イン・フランス―――のクオリティーに如実に表れているところでしょう・・・

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【ワースト4位の貿易赤字は仏「モノ作り」の競争力&魅力の無さの反映】フランス&EU:「メッキが剥げた」メダルとユーロ②

2024-09-05 21:03:57 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 前述のとおり、先月行われたフランスのパリ市でのオリンピックでメダリストに授与されたメダルの多くに短期間でメッキ剥がれなどの品質上の問題が生じた事例は、(それが同国高級ブランドのデザインをまとっていることから分かるように)同国が威信をかけたシンボルでもあったことから、かえって世界に見た目の素敵さと中身の貧弱さのギャップを強く印象付けてしまった・・・ってメダル・・・に象徴される・・・に、といった感じでしょうか。

 で、そのメイド・イン・フランスの魅力―――フランスの「モノ作り」のクオリティー―――の劣化は、それらと外国製品の売買の収支、ようするに、かの国の貿易収支に表れるところですが、まあそのとおりで、このところは巨額かつ慢性的な赤字が続いています。とくにヒドかったのは2022年で、この年のフランスの貿易赤字は過去最悪の2004億ドル(1627億ユーロ)となりました。これEU諸国ではワースト、世界全体ではアメリカイギリスインドに続く4番目のデカさ・・・って赤字の、といった有様です。そのあたり、エネルギー価格の高騰にともなう同輸入額の急増が大きな要因ではあるものの、その多額の支払いを少しでも取り戻すべきメイド・イン・フランスの輸出貢献度が低いから、という面もあるはずです。

 そして、このあたりは通貨ユーロの対ドルレートからも窺えます。同年のユーロはドル石油交換券)に対してやや弱含みで推移したものの、その弱さの度合いは超~安くなったほどではありませんでした。でその円・・・の日本の同年の貿易赤字額は、これまた史上最大(フランスに次いで5番目の大きさ)を記録してしまいましたが、だからこそその第一の要因は(メイド・イン・ジャパンの競争力の低下などではなく、政策意図的な)超円安(によるエネルギー等原材料の円換算輸入額の急増)のせいといえるわけです。その逆に、上記のように、為替のマイナス要因が日本よりもずっと少ないはずのユーロ圏のフランスが日本よりも赤字額が大きくなった、というのは、やはりその「モノ作り」(輸出力・輸入代替力)の相対的な弱さが影響しているのでしょう。ちなみに、同年の経常収支ですが、日本は何とか黒字ゾーンに踏みとどまりましたが、フランスは・・・貿易収支と同じくワースト4位の大赤字です・・・

 といったように、フランスの対外収支のトホホぶりは、同収支への寄与力が乏しい同国産品の(上記メダル並みの?)クオリティーレベルの反映でもあるわけですが、じつはそのトホホに向かうこととなったタイミングがありました。それは・・・EU共通通貨であるユーロの導入(2002年1月1日紙幣流通スタート)です

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

【パリ五輪のメダルのメッキ、わずか数日ではげ落ちる…】フランス&EU:「メッキが剥げた」メダルとユーロ①

2024-09-03 22:12:49 | ヨーロッパ
 文字どおり「メッキが剥げた」ということですね、メダルはもちろんですが・・・

 ご存じのように、フランスで先月行われたパリ・オリンピックにおいて、栄えあるメダリストに授与されたメダルの多くが、その後のわずか数日で表面のメッキが剥げるなどの劣化の気配を示す事例が伝えられています

 ネット情報によれば、これを最初に紹介したのは、先月8日に男子スケートボードで銅メダルを獲得したアメリカの選手。彼はインスタグラムで、当該メダルは新品の時はとても素敵だった、と前置きをしたうえで、少し汗をかいた肌に触れたり友人たちに身につけさせたりした後にメダルのいくつかの部分からブロンズの色が欠けてきたことで品質の低さが窺えた、そして、オリンピックのメダルならもう少し品質を上げないと、などと語ったうえ、「メダルはまるで戦争に行って帰ってきたかのようだ」と結んでいます。同様の報告は、日本を含めた世界各国のメダリストからも相次いでおり、その点から、どうやらこれは一部の例外ではなく、ほぼすべてのメダルにも当てはまると推測されmます。そのあたりパリ五輪組織委員会はメダル劣化現象を把握しており、選手から申し出があれば鑑定のうえ、交換に応じるとしている・・・とのことですが、上記のとおり全メダルの品質が同じように低劣でしょうから、交換されるメダルもまた・・・ではないでしょうかね?

 パリ市、そしてフランスは、このたびの五輪に自国・・・産業の威信もかけていたはず。そこは、聖火リレー、開会式、メダル授与式、そして閉会式に至る多くのシチュエーションで、かの国が誇る高級ブランドであるルイ・ヴィトン(MHLV)をしきりに登場させたところに表れています。で、上記メダルは、そのLV傘下のショーメ(CHAUMET)がデザインした、パリのシンボルであるエッフェル塔の改修工事で収拾された鉄で作った六角形の盾と勝利の女神ニケなどがあしらわれている、ステキなもの・・・

 まあフランスとしては、五輪の自国開催というチャンスに、そのあたりも含めて自身らのクラフトマンシップの高さを世界に知らしめ、メイド・イン・フランスの世界へのいっそうの売り込みを図ろうとしていたのでしょう。が・・・(やはり、というべきか、)上記からすれば、これ結局は逆効果になってしまった、すなわち、こうして見た目が高級でオシャレなぶん、なおさら中身の貧弱さが際立つ、といった印象を(フランス製品のクオリティーはその程度だと)世界に与えてしまった、といった感じ。なので、上記した所期の目的―――威信の誇示&自国産業PR―――は果たせないことに・・・

 このあたりが象徴するように、フランスの「モノ作り」はいま(というか、かなり前から)危機的な状況にあるといえます。それを具体的に示唆するのが、かの国の最近の貿易赤字の大きさでしょう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする