(前回からの続き)
前回ご紹介のように、東京2020オリンピックでは、「東京2020ゴールドパートナー」のアシックスをはじめ、ミズノ、ヨネックス、ユニクロなどの数々の、わが国のスポーツセクター企業が、日本選手団そして世界各国のアスリートにユニフォーム等を提供しています。ということで、様々な競技でこうした本邦ブランドが登場してくるので、TV観戦に当たっては、そのあたりにも注目したいですね・・・
ところで、そのへんで外国はどうか、ですが・・・先述のとおり、ハイテク技術等が取り入れられているスポーツウェア&用品類を作ることができるのは、おおむね日本を含む先進諸国の企業に限られるので、当該企業との関係をうかがえるのはそのホームカントリーだけ・・・となると、日本以外では、アメリカ、ドイツ(イタリア、スウェーデン等の一部の欧州諸国)、そして中国あたり、となるでしょう。それらはいずれも、上記の日本と対照的となっています。つまり本邦勢の顔ぶれが多彩なのに対して、かの国々では1社だけ突出、他にあってもせいぜい2社程度、といった状況です。
そのあたりがいちばんはっきりしているのは、やはりアメリカ・・・の「ナイキ」(Nike)でしょう。ご存じのように、ナイキはスポーツセクターで世界一の企業で、そのグローバルな売上シェアは8.0%(昨年)となっています。ナイキがもっとスゴいのはアメリカ市場で、そのシェアは現時点でほぼ半分と他社を圧倒しています。次いでアディダス(Adidas:ドイツ)とアンダーアーマー(Under Armour:アメリカ)がナイキから相当離れたところで2番目を競り合っている、といった感じ(3社の合計シェアはほぼ8割)。
というように、とくにアメリカではこのナイキが突出した存在となっているわけですが、それはオリンピックシーンからもはっきり窺えます。実際、ナイキはアメリカ選手団のユニフォームの公式サプライヤーであるとともに、野球などの個々の競技のアメリカ選手が身に着けるウェアの大半もまたナイキ、といった印象です。このあたりから分かることは・・・
・・・ナイキ―――この企業もまた、いまの米経済が頼り(?)とする「独占(寡占)」を象徴する存在なのだろうと考えています。それは、最近ではこちらの記事に書いた「GAFA(M)」(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoftの米IT企業)や、EVのテスラモーターズ、航空機のボーイング、小売のウォルマートなどと同じ、つまり、各業界において巨大なシェアを占有する企業1社だけを許容する―――これによって他の競争相手(とくにアメリカにとっての外国の競争相手)の市場参入を困難にすることで当該企業(経営者・株主)の独占利益を守る―――という戦略(?)で、ナイキはそのスポーツ版、といったところでしょう(?)。