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【ユーロ導入がフランスをワースト4位の対外赤字国にした最大要因】フランス&EU:「メッキが剥げた」メダルとユーロ③

2024-09-09 00:00:16 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 前述のように、フランスが貿易収支(&経常収支)において世界4位(2022年2004億ドル)もの大赤字を計上するに至ったいちばんの要因は・・・EU共通通貨「ユーロ」への切り替え(2002年本格運用開始)だと考えています。

 そのあたりはその前後の、同国の上記収支の推移から読み取れます。すなわち・・・これより前、つまり自国通貨「フラン」の時代のフランスの貿易収支は、黒字の年もあれば赤字の年もあって、まあ(ちょっと贔屓目ですが)おおむねプラスマイナス・ゼロ、といった感じでした。実際、1980年以降でみると、赤字額がいちばん大きかったのは1990年の235億ドルですが、直近のそのデカさに比べれば少ないといえるスケールだし、1990年代半ばは黒字(1997年171億ドルなど)を数年間継続するなど、貿易が同国の経済成長にプラス寄与をした時期もあったわけです。

 ところが・・・かの国のフランからユーロへの切り替え以降の各年の貿易収支は・・・昨年2023年までオール赤字、それも・・・年ごとに多少の増減はあったものの、時間がたつにつれてその額が増加/高止まりになるトレンドになってきています。実際、2002年はわずかながらも黒字(25億ドル)だったのが以降2008年の1006億ドルまで6年連続で赤字額が増加し、その後はしばらく同水準かやや下回るくらいに食い止めてはいたものの、2021年に(コロナ禍等の影響で?)それまでの最悪である1300億ドルもの赤字を出してからは現在まで・・・といったことになっています。まあ、これほど赤字額が膨らんでしまえば、もうフランスは貿易で黒字を生む―――メイド・イン・フランス「モノ作り」で対外支払い以上に稼ぐ――――ことはこの先、まず不可能でしょう・・・(以上データ出典:世界経済のネタ帳・Statista HP)

 では、どうしてユーロ採用がフランスの貿易収支をこのように悪化させることになるのか、ですが・・・それは、ユーロが、それ以前のフランよりも強い(購買力が大きな)通貨だから、といえます。つまりフランスは、ユーロを手にしたことで(フラン換算額では高くて買えなかった)他国の「モノ」をより多く買える(輸入できる)ようになり、次第にそれらへの依存度を高めていった―――輸入代替能力を低下させていった―――結果、増加した輸入額に輸出の稼ぎが追いつけなくなって・・・ということ。ここで、フランスはどの国の「モノ」を多く輸入?ですが・・・象徴的にいうと、それまでは「国産車」(ル〇ーとか)で我慢していたのをベンツBMWに乗り換え、ってことですね。そこは、同時期からフランスとドイツの間の貿易額が急拡大していったことからも推測できるわけです(当然、フランスの恒常的な入超です)・・・

 本来、一国の対外収支が悪化すると、当該国の通貨は安くなってインフレがひどくなるから、国民はこれに危機感を覚え、同収支を改善すべく輸入の抑制と輸出の振興等を図ろうとするもの。しかし・・・ユーロ(の購買力)を手にしたフランス(を含むEUの多くの国々)にはそのインセンティブが希薄でした。したがって、それから20年あまり、このあたりをサボり続けてしまったのですね。そこは上記のデータそしてパリ・オリンピックの「メダル」―――この瞬間のメイド・イン・フランス―――のクオリティーに如実に表れているところでしょう・・・

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