世界雑感☆新しい世界は日本から始まる☆

世界の激動を感じつつ、日本経済への応援メッセージを徒然に綴るページです。
ご訪問ありがとうございます。

【下げ止まらない通貨ルピー】マネー流出!インドは粘れるか①

2013-08-27 00:04:17 | アジア

 アメリカ・FRBの量的緩和策(QE)縮小観測が高まるなか、通貨や株価の下落など、このところ新興国の金融市場が動揺しています。そのなかでも最近とくにマーケットの注目を集めているのはインド。本稿ではそのインド情勢について思うところを書いてみたいと思います。

 インドの通貨ルピーが下げ止まりません。今月23日時点のレートで1ドル64.3ルピーと過去最安値付近にあります。ルピーは今年の5月くらいから大きく下がり始め、同月1日(1ドル53.7ルピー)と比べると現在は約17%も価値を落としています。それだけルピーがドルなどの外貨に対して売られているということでしょう。

 ルピー下落の大きな根拠となっているのがインドの膨大な経常赤字。以下のグラフのとおり、2012年のインドの経常赤字額は930億ドルあまりと、アメリカに次いで世界のワースト2位です。アメリカは基軸通貨国であるので、ある意味で別格と扱えば、インドこそは世界一の経常赤字国とみることもできるかと思います。

 以前こちらに書いたとおり、現在のシビアな資本主義の世界で、各国と競争しながら国民を豊かにすることができる国は、(一部を除いて)実質的には自国に産出する天然資源を売って外貨を稼げる「鉱業国」か、その資源を加工して高い付加価値を持つモノを作って売る「製造業国」のいずれかです。

 ではインドはどうかというと、どちらにも分類できない感じ。インドの輸出金額のトップ品目は原油・石油製品ですが、一方でインドは世界第4位の原油輸入大国(2012年)。原油の国内消費量の約8割を輸入に頼る国です。鉄鉱石はけっこうたくさん採れますが、オーストラリアやブラジルのように金額的に主要輸出品に数えられるほどではありません。

 で、資源輸出がそれほど当てにできないとなれば、国を富ますためには製造業がいっそう重要となるわけですが・・・インドの貿易統計をみると、たしかに衣料品など、伝統的に強い分野があることはあります。しかし、もっと高い価格で売ることができる工業製品等の輸出数量や金額はまだまだ少なく、総人口約12億人(!)どころか、数千万人程度の人々を養うことすら難しそうです。最近はソフト開発などのIT産業関連の売り上げも伸びてはいるものの、経常収支を改善させるほどのパワーはありません。

 ということで、製造業が脆弱なために通貨安という輸出に有利な環境を生かせず、逆に輸入エネルギー価格の高騰で経常収支がさらに悪化しそうなインドは、この先ますます苦しい局面に追い込まれそうな気配ですが・・・。

 ところが、そんな危うい状況のインドには「意外に粘るかもしれないぞ!?」と感じさせる面がないではありません。それがこの国特有の「資本規制」です。

(続く)


金融・投資(全般) ブログランキングへ


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 【TPPの次のターゲットは... | トップ | 【低い国債の外国人保有率】... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

アジア」カテゴリの最新記事